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クライアントPC購入時の検討事項
Windows OSのサポート終了や故障、従業員の増加など、さまざまなタイミングでPCの検討の機会があります。現代では多くのベンダー企業がPCを販売しており、またビジネスPCであってもWebで購入できるため、調達に悩むことは少ないです。しかし、新しくビジネスPCを購入する際は、検討すべきことがあります。
目次
購入PCのスペックについて
ビジネスPCを購入する際、スペックの選定は重要です。特にWindows OSが新しいものに変わる際は注意が必要です。PCのスペックで確認すべき点は四つです。
- プロセッサー(CPU)
- メモリー(RAM)
- ストレージ
- 大きさや重さ、光学ドライブやインターフェース
特に(1)のプロセッサー(CPU)とメモリー(RAM)はPCの価格に直結するスペックであり、かつ性能が足りないと業務上ストレスがかかるため、間違いのないよう気を付ける必要があります。
よくあるトラブルとしては以下のようなケースがあります。
最新のWindows OS搭載PCを、従来のPCと同スペックで購入
→ 想定より動作が遅い
事務作業のためのPCなので、最低限のスペックで価格を抑えて導入
→ Windows Updateのタイミングなど、突然動作が不安定に
Windows OSはバージョンが新しいものほど多機能となるため、必要となるスペックは高くなっていきます。そのため、従来のPCと同スペックのPCで価格を抑えて導入をしてしまうと、「動作が遅い」「フリーズをしてしまう」といった事態が起きる可能性が高くなります。
また、事務作業にしか使用しないため、最低限のスペックで価格を抑えて導入する場合、導入後しばらくは問題は起きません。しかし、Windows UpdateなどPCのリソースが業務外のことに割かれてしまうと、動作が不安定になる可能性が高くなります。特にWindows 10やWindows 11は定期的にWindows Updateが行われているため、少し余裕をもったスペックを選定することをおすすめします。
Windows 365などのクライアントPCのクラウド化の検討
近年ではPC環境のクラウド化という選択肢が浸透してきています。PC環境をクラウドへ移行することで、PC紛失によるデータ流出や、故障によるデータ損失、コンピューターウイルス感染の脅威といったリスクの低減が可能です。
Windows 365 とは
Windows 365とはMicrosoft社の提供するクラウドPCのサービス名称です。インターネット環境があれば、PCやタブレットなどのWebブラウザーからクラウドPCへアクセスして操作ができます。いつでも、どこからでも、どの端末であっても、自身のPCを利用できるため、柔軟な働き方を実現可能です。
定額の月額制であるため、繁忙期にライセンスを増やし、閑散期はライセンス数を減らすなど柔軟な対応が可能です。
Windows 365には「Windows 365 Business」と「Windows 365 Enterprise」の大きく二つのプランが展開されています。ユーザー数の制限や必要なライセンス、管理方法など違いがありますが、社内のデータへアクセス可能なのは「Windows 365 Enterprise」であるため、使用方法や業務の範囲に沿った検討が必要です。
Active Directoryの運用の見直し
Active Directoryとは、アカウントやリソースの情報を集中管理する仕組みですが、管理者権限の情報など重要な情報が格納されているため、適切な管理・運用が大切です。既に導入されていて運用中であっても、定期的に見直しを行うことが推奨されます。
- 不要なメンバーがグループに登録されていないか
- 不要なアカウントが放置されていないか
- 共有アカウントとして利用されていないか
定期的に確認することで、健全な管理運用を維持しましょう。
Active Directoryを導入していない場合
Active Directoryはアカウントやリソースを集中管理する仕組みであるため、クライアントPCが20台を超える場合は導入が推奨されます。PCの台数以外にも次のような問題がある場合は導入の検討をおすすめします。
- 各従業員のPCの設定を実施・確認するために、1台ずつ対処する必要があり、半日~1日作業となる
- Windows Update実施日などに、事務所内の通信速度が遅くなり、業務に支障をきたすことがある
- Windows Updateが問題なく実施されているかを確認するために、1台ずつ確認する必要がある
クライアントPCを一元管理する仕組みであるActive Directoryを活用することで、このような問題から解放され効率的な管理運用が実現します。
- * Windows Updateを管理するWSUSはワークグループ環境でも設定可能ですが、大塚商会では推奨していません。
社内にスキルを持った人がいない場合
Active Directoryの運用や管理はそれら知識を持った担当者がいないと難しいものです。大塚商会では、Active Directoryの運用管理を代行するサービスもありますので、構築から運用までお気軽にご相談ください。
近年、特に見直しが推奨される背景
2024年9月にMicrosoft社よりWSUS(Microsoft社が提供するWindows Updateを管理する無料ツール)の開発の終了が発表されました。少なくとも10年はサポートされるためすぐに機能が使えなくなるわけではありませんが、別のツールへ移行していく必要があります。
Microsoft社はWSUSに変わるサービスとして、「Microsoft Endpoint Manager」や「Windows Update for Business」など、クラウドベースの更新管理ツールを有料で提供しています。Microsoft社のサービスがクラウドベースに移行しつつある昨今、私たち企業のIT環境もクラウド化を踏まえて見直しをしていく必要性が出てきています。
IT資産管理運用の見直し
クライアントPCの入れ替えは、PC端末に関する情報やPCにインストールされているソフトウェアの管理・運用について見直すいい機会です。セキュリティにも関わるため、定期的な実施が推奨されます。
IT資産管理ツールを導入していない場合
Pマークなどの取得を目指す際は、IT資産管理ツールの導入が必要ですが、そうでない場合は台帳などで管理・運用をするケースもあります。昨今、さまざまなITツールがリリースされ働き方に合わせたソフトウェアの導入も多くなっているため、IT資産管理ツールを活用することで効率的でセキュアなIT環境の構築が可能になります。
また以下のような問題がある場合は導入の検討をおすすめします。
- ソフトウェアライセンスの購入数とインストール数の比較、確認は1台ずつチェックする必要がある
- インストールされたソフトウェアが使用されているか否かは聞かなければ分からない
- 破棄対象のPCに関する付随情報(リース/レンタル/購入元/保守サポートなど)が契約書などと参照しないと分からない
このような場合は、IT資産管理ツールの検討を推奨します。
大塚商会ならクライアントPCの選定から運用までサポートします
大塚商会なら複数のメーカー、機種の中からお客様に最適なPCをご提案可能です。メーカーごとの資料や見積の取り寄せ、比較・検討は手間がかかりますので、大塚商会にお任せください。また、PCの購入、入れ替えに伴うIT環境の見直しについても、さまざまな角度でご提案が可能です。
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