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職場環境の整理に必要な6つの考え方~整理の効果や注意点も解説~
この記事では、良好な職場環境を実現するための条件やメリット、職場環境を改善するための具体的な考え方などについて解説します。
業務の生産性や効率を向上させたり、従業員のモチベーションを高めるために見直すべき重要なポイントの一つが「職場環境」です。具体的には、従業員が自由に意見を言い合える雰囲気を整え、ストレスを感じずに仕事に専念できる環境を作ることが鍵となります。
目次
1.良好な職場環境とは
「良好な職場環境」とは、社員が働きやすさを感じ、個々の能力を最大限に発揮できる環境を意味します。
職場環境は「物理的な面(業務する空間)」と、「精神的な面(人間関係や仕事へのプレッシャー)」を含めた、従業員を取り巻く環境です。近年、職場環境の質を向上させることが、従業員の働きや企業の発展に重要だと広く認識されるようになり、多くの企業がその改善に向けた取り組みを進めています。
良い職場環境の条件
良い職場環境には、次の六つの条件があります。
- 従業員が意見を言いやすい雰囲気がある
- 社内のコミュニケーションが活発で、情報共有がスムーズ
- 業務に対して、従業員が過度なストレスを感じることなく前向きに業務を遂行できる
- 人事評価制度の透明性が高く、公正な評価がされる
- 福利厚生が充実している
- ワークライフバランスを重視した柔軟な働き方ができる
1.従業員が意見を言いやすい雰囲気がある
自由に意見を述べやすい雰囲気は、従業員の生産性や創造性を高める鍵となります。このような環境では新しいアイディアが生まれやすく、問題解決もスムーズに進みます。
2.社内のコミュニケーションが活発で、情報共有がスムーズに行われる
活発なコミュニケーションや円滑な情報共有は、仕事の質を向上させ、効率アップも期待できる点から、良好な職場環境に必要な要素です。従業員同士が互いの状況を把握できることで協力体制が築きやすく、チームワークも良くなるでしょう。
3.業務に対して、従業員が過度なストレスを感じることなく前向きに遂行できる
適度なストレスがない環境では従業員が仕事に集中しやすく、より効率的に業務を進めることができます。さらに従業員の満足度が高まることで、長期的に会社に貢献したいという意欲が生まれたり、心身の不調を防いで従業員の健康を維持したりと、組織にとっても良い結果がもたらされます。
4.人事評価制度の透明性が高く、公正な評価がされる
人事評価制度の透明性と公正性は、会社に対する従業員の信頼と満足度を高め、良好な職場環境を構築するために不可欠な要素です。評価基準が明確かつ公平であれば、従業員は目標に向かって努力しやすく、モチベーションが向上します。また、公正な評価は会社への信頼感を強め、不安や疑問が生じにくくなります。
さらに、能力や成果に基づく適切な評価は、従業員の成長意欲を刺激し、結果として組織全体の発展にもつながります。
5.福利厚生が充実している
充実した福利厚生は優秀な人材を引き付け、長期的に定着させるために欠かせません。ワークライフバランスを実現しやすい環境は、従業員の満足度と組織への愛着を高めます。
例えば、充実した休暇制度の整備や健康支援などを行うことで従業員の健康維持・増進がサポートでき、心身ともに健康な状態で働くことができます。その結果、チームの生産性や企業イメージの向上につながり、組織の競争力も高めることができるでしょう。
6.ワークライフバランスを重視した柔軟な働き方ができる
ワークライフバランスを重視した柔軟な働き方は、従業員の生活の質を向上させるだけでなく、企業への愛着を高め、生産性向上にもつながります。
適切な休息と私生活の充実により、従業員の集中力とモチベーションはアップし、その結果生産性も向上にもつながります。
また、勤務形態や勤務制度の充実を図ることで多様な人材の活用が促進され、企業の成長も後押しできるでしょう。
職場環境の整理が重要な理由
職場環境を整理し、良好に保つことは従業員のモチベーションや生産性を向上させるために重要です。快適な職場環境は、従業員の健康を守り、仕事への満足感を高めます。
また良好な人間関係を築くことでチームの結束力が高まり、企業全体の業績向上にも寄与するため重要であると考えられています。
2.職場環境を整理することで得られる効果
職場環境を整理すると、どのような効果が期待できるでしょうか。ここでは、四つの好ましい効果を紹介します。
従業員のモチベーションが向上し、離職率が下がる
良好な職場環境は働きやすさや充実感、安心感をもたらします。心理的安全性が確保されることで、従業員は失敗を恐れずにさまざまな仕事に挑戦できるようになります。それにより、仕事への満足度も向上し、モチベーションアップにつながります。
さらに、自らの働きが上司や同僚に認められる環境で働くことはストレス軽減にもつながり、職場への愛着や組織への帰属意識が高まります。その結果、職場定着率が安定し、離職を考えにくくなる効果も期待できます。
従業員の生産性が向上する
良好な職場環境は、従業員のパフォーマンスをさまざまな面で高め、企業全体の生産性を押し上げます。
例えば、従業員が自由に意見を言い合える雰囲気があると、創造性が向上したり、新しいアイディアを提案しやすくなったりします。また、ミスや懸念事項を隠さず報告できるため、問題が大きくなる前に対処することが可能です。
このような環境では、従業員の集中力や自己肯定感が高まり、困難な課題にも積極的に取り組む姿勢が生まれ、全体の生産性向上につながります。
社内のコミュニケーションが活性化する
発言しやすい環境が整うことで、人間関係におけるストレスやプレッシャーが低減され、従業員間のコミュニケーションが活性化されます。
また、公正な評価制度や定期的な面談なども、従業員の精神衛生に良い影響をもたらし、コミュニケーションを活性化させる要因の一つです。評価や面談での上司のフォローは、従業員の成長意欲や帰属意識への刺激にもつながります。
企業のイメージや知名度が向上する
良好な職場環境では従業員のモチベーションが高まり、商品やサービスの品質向上につながります。これが顧客満足度に良い影響を与え、企業のイメージアップに寄与します。
従業員自身が働き方に満足していると、自社の魅力を自発的に発信することが増えます。福利厚生が充実している企業、あるいは従業員の満足度が高い企業として求職者からポジディブな評価をしてもらいやすくなるでしょう。
3.職場環境を良好にする6つの考え
職場環境を良好に整理するためには、どのような方法で改善を進めればよいのでしょうか。6つの考え方について確認しましょう。
1.人事評価の方法を見直す
職場環境を良好にするために大切なのが、人事評価方法の見直しです。評価基準を明確にし、自社の人事評価が合理的に行える仕組みかどうかを見直すことが重要です。
人事評価を公正かつ透明性のある制度にすることで、従業員は自分の努力や成果が正しく評価されていると感じることができ、モチベーションアップにつながります。
2.業務の進め方を見直し、属人化を防ぐ
職場環境を整備するためには、業務を属人化させないことも重要な要素です。特定の個人に業務が集中することを防ぐことで、過度な負担やストレスを軽減でき、体調不良による休職や離職を防いだり、業務の停滞を防いだりすることにつながります。
属人化を防ぐためには、業務のIT化やマニュアル化を進めることや、一つのプロジェクトや業務を複数人で担当する仕組みを整備するとよいでしょう。
3.休暇を取得しやすい環境をつくる
職場環境の整理に影響を与える要素の一つが従業員の心身の健康です。適度に休暇を取って休息してもらえるよう、会社の制度や仕組みを見直すことが重要です。
また、会社全体やチーム内で休暇を取りやすい雰囲気を醸成する工夫も大切です。上司が率先して休暇を取得したり、部下へこまめに呼びかけたりするなど、雰囲気づくりも意識しましょう。
4.学びや成長をサポートする仕組みをつくる
社員のスキルアップや自己啓発の促進は、モチベーションアップ、業務の品質アップなどに直結します。
業務に必要な資格を取得する際の受講料を支援したり、勉強時間の確保をサポートしたりする仕組みを整えることで、職場環境はより良いものになるでしょう。また社内研修などを実施して、成長の機会を提供することも効果的です。
5.柔軟な働き方の導入を検討する
良好な職場環境を整えるためには、子育てや介護をする従業員が働きやすさを感じることが非常に重要です。
フレックス制度やリモートワーク制度、時短勤務制度などを充実させることで、全ての従業員がストレスや不安を感じずに働くことができ、満足度の向上やモチベーションの維持につながります。
6.コミュニケーションを促進させる
良好な職場環境には、活発なコミュニケーションが必要不可欠です。
仕事に関する悩みや意見を気軽に言い合える雰囲気や環境を整備するために、例えば1on1ミーティングの実施や、気軽なやり取りができるチャットツールを導入するのも良いでしょう。また社内イベントやコミュニケーション研修の実施も有効な手法の一つです。
4.職場環境の整理に取り組む際の注意点
職場環境を整理する際には、以下の三つのことに注意をしましょう。
従業員間の不公平さがない施策を考える
職場環境を整理するうえで重要なのが、「多くの従業員のためになる施策かどうか」という点です。
一部の従業員が優遇され、ほかの従業員が不利益を被るような改善施策にならないよう、公平性を意識して環境整理に取り組みましょう。
従業員や組織の状況を施策に反映させる
職場環境を良好にするための施策を行っても、従業員のことを第一に考えた内容でなければ、企業側の自己満足となり、持続できない可能性があります。
職場環境の整理を進める際には、従業員の不満やニーズを適度にヒアリングし、それらに対する適切な改善策を検討することが大切です。
施策の形骸化を防止するために定期的に見直す
一時的に職場環境が良好に保たれたとしても、施策が継続できなければ再び悪化してしまったり、従業員のさらなる不満や不信感につながったりするおそれがあります。
業務状況や社内状況、業績の変化などに対応した施策かどうかを定期的に見直し、必要であれば改善や再検討を行いましょう。
まとめ
本記事では、職場環境を良好に保つことの重要性や、良好とされる条件、メリット、職場環境を整理するための考え方などを解説しました。
職場環境は生産性や従業員のモチベーション、心身の健康、離職率などに直結する要素であり、悪化させないためには企業側の工夫や努力が不可欠です。従業員の働き方を観察し、時に意見をヒアリングするなどして、自社に合った方法で職場環境により良くしていくことが大切です。
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