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コミュニケーション活性化のためにできること~重要性や注意点も解説
この記事では、コミュニケーション活性化の重要性や、活性化のためにできること、注意点などを解説します。
ビジネスの現場において、円滑なコミュニケーションは業務の効率化や生産性向上に欠かせない要素です。しかし、コミュニケーションの機会が少なかったり、情報共有が不十分だったりすると、企業にとってさまざまな悪影響を招く可能性があります。
本記事では、コミュニケーションの活性化の重要性、不活性化によるリスクを解説するとともに、コミュニケーションを活性化するための具体的な方法や注意点を紹介します。職場のコミュニケーションを改善したい方はぜひ参考にしてください。
目次
1.ビジネスシーンにおける「コミュニケーション」とは?
業務上必要な情報に関する相互伝達を図ること
ビジネスにおけるコミュニケーションとは、単なる会話ではなく、業務を行ううえで必要な情報や考え方を共有し合う「相互伝達」を指します。業務に必要な情報を伝達することにより、チーム内での役割分担や業務の進捗状況、問題点などを正確に把握でき、円滑に業務が進められるようになります。また、情報共有は、業務効率化や迅速な意思決定にも必要な要素です。
円滑なコミュニケーションを実現するために、「Microsoft Teams」や「LINE WORKS」「Zoom」などのコミュニケーションツールが活用されます。これらのツールは、業務上必要な情報の相互伝達を効率化し、お互いが同じ場所にいなくてもリアルタイムでのやり取りを可能にします。
ビジネス上のコミュニケーションの課題とは?
円滑なコミュニケーションが取れている職場が望ましくはありますが、なかなか理想どおりにいかず課題を感じている人も多いのではないでしょうか。コミュニケーション課題にはさまざまな側面があるため、改善を図るには自社のコミュニケーション課題がどれに当てはまるか的確に把握しておく必要があります。
【1】コミュニケーション手段のルールがない
企業としてコミュニケーション手段のルール・ガイドラインを策定しておらず、従業員一人一人のコミュニケーション能力に依存してしまうパターンです。
例えば、「社内チャットでまず声掛けするのが一般的」というルールがあれば、顔を知らない相手や立場が上の相手でも比較的簡単にコミュニケーションが取れます。しかし、そのようなルールがないと声掛けのタイミングを計りかねたり、他の人に根回しをお願いしたりするなど、コミュニケーション能力が未熟な人ほどスムーズなやり取りに苦労することになります。
【2】心理的ハードルが高い
職場に声掛けや「報連相(報告・連絡・相談)」がしづらい雰囲気があるパターンです。これはお互いの信頼関係が構築されていないことに起因する「心理的安全性の低さ」が背景にあります。
例えば、「こんなことを質問したら怒られるのでは?」「自分の意見を言うと否定されるかもしれない」といった不安を感じる職場では、従業員が積極的に発言しづらくなります。その結果、業務に必要な情報共有でさえもためらうようになる場合もあります。
【3】場所やタイミングの制約がある
リモートワークや時差出勤など、働き方が多様化したことでリアルタイムでの情報伝達が難しくなってしまったパターンです。
オフィスワーク環境下では、ちょっとした疑問や相談も近くの同僚や上司に声を掛けてすぐに解決できました。しかし、リモートワークやフレックスタイム制の導入によって勤務時間や勤務地がバラバラになると、「今、相手が対応できる状態かどうか分からず声を掛けづらい」という問題が生じます。また、「会ったときに話そう」と後回しにしてしまい、結局伝え忘れてしまうなど情報共有が遅れてしまうケースもあります。
2.コミュニケーションの不活性化がもたらす悪影響とは?
上記で述べたコミュニケーションの課題を放置すると、企業運営や事業の安定化を揺るがすようなさまざまな問題につながります。
業務の非効率化による生産性低下
コミュニケーションが不足すると、業務に必要な情報共有が遅れたり、意思決定に不可欠な情報が関係者に伝わらなかったりするケースが発生します。チーム内で認識が統一されていないために、進め方のズレが生じたり業務が停滞したりする問題につながります。
具体的には、以下のようなトラブルが発生する可能性が高まります。このような状況が続けば、業務の生産性は著しく低下してしまうでしょう。
- タスクの優先順位が不明確なまま作業が進められ、後から大幅な修正が発生してプロジェクトが遅延する
- 上司や他部署への確認がスムーズに取れないことで意思決定が遅れ、対応が後手に回る
- 情報共有の不足により同じ問題に対して複数人がそれぞれ別々に解決を試みてしまい、無駄なリソースコストがかかってしまう
ミス・トラブルの発覚が遅れる
コミュニケーションが取りづらい環境下では、業務上のミスやトラブルが発生しても、従業員はミス・トラブルを引き起こしたことに対する叱責を恐れ、それを上司や同僚に報告するのが難しくなる場合があります。
その結果、問題が拡大する前に適切な対処ができなくなり、後になって修正や対応に余計なコストがかかってしまう可能性が高まります。問題を早期に発見して対処することができない状態が続けば、最終的に企業の評判や利益にまで悪影響を及ぼすことになります。
従業員エンゲージメントの低下
コミュニケーションがうまく機能していない環境では、従業員同士の心理的安全性が低くなり、職場での信頼関係が希薄化することがあります。このような状況では、従業員が積極的な発言をするには心理的ハードルが高くなりすぎてしまい、孤立感や疎外感を感じるようになりがちです。
こういった状態が続くと、従業員のエンゲージメント低下を引き起こします。コミュニケーションが不足していると従業員は自分の働きが評価されていない、もしくは組織の一員として認められていないと感じるようになり、その結果、業務に対するモチベーションが低下し、成果にも悪影響が出る可能性が高まります。
3.コミュニケーション活性化の重要性
コミュニケーションにかかるコストをできるだけ減らし、より効率的かつ効果的な相互伝達が実現されることで、コミュニケーションは活性化されていきます。
従業員同士の連携力向上による目標達成の促進
円滑なコミュニケーションが取れている職場では、従業員が互いの業務状況や役割を正しく理解でき、個々の対応範囲が明確になります。その結果、無駄な重複作業や見落としが減少するだけでなく、メンバーが互いにサポートし合いながら業務を進めることができ、チームとしての連携力が強化されます。
このような環境では、問題が発生しても解決に向けて連携しながら迅速に対応し、経営目標の達成に向けて効率的に業務を進められるようになります。
従業員エンゲージメントの向上
従業員同士や上司とのコミュニケーションが活発になると、職場での心理的安全性が高まり、従業員が自分の意見や考えを積極的に表現しやすくなります。意見や考えを否定されず、建設的な議論が行われるようになることで従業員はチームの一員であると実感しやすくなるでしょう。
このようなポジティブなコミュニケーションの循環は、従業員のエンゲージメントを高めます。また、尊重され、意見を歓迎される環境で働いていると、定着率の向上にも寄与します。結果として、職場全体の士気が向上し、企業の生産性向上や事業運営の安定化にもつながります。
イノベーションの創出
自由な意見交換が行われ、意見が歓迎される文化が根付いている環境では、従業員が新しいアイデアを提案しやすくなります。特に、異なる部署や専門分野の人々が意見を交わすことで、視点の多様性が生まれ、従来の枠にとらわれない新しいアプローチや解決策が見つかることもあります。
このような環境では、革新的なアイデアが次々と生まれ、従業員同士が協力して新しいサービスの開発や業務改善などのイノベーションにつながる可能性が高まります。イノベーションの創出・促進は、企業の成長と発展に寄与するでしょう。
4.コミュニケーションを活性化させるためにできること
コミュニケーションを活性化することで企業はさまざまなメリットを得られます。そのため、より円滑な相互伝達が可能になるような施策を実施することが求められます。
互いに声を掛けやすくなる雰囲気づくり
職場で円滑なコミュニケーションを促進するためには、まずは上司やリーダーから積極的に声を掛けることが重要です。定期的に部下やチームメンバーに話しかけることで、雑談や「報連相」が行われやすくなり、心理的なハードルが下がります。
また、上司や先輩が自らの失敗談をオープンに共有し、ミスや失敗を許容する雰囲気を醸成することも大切です。こうした姿勢を示すことで、従業員は「ここでは自分も安心して意見を言っても怒られない」と感じ、発言しやすくなります。さらに、他者の意見を頭ごなしに否定せず、一度受け止める姿勢を組織全体で意識することで、心理的安全性が高まり、コミュニケーションが円滑に進む環境が生まれます。
コミュニケーションのガイドライン策定
「自由にコミュニケーションを取ってよい」といわれても、個々のコミュニケーション能力によっては「どのように話しかければいいのか」と迷ってしまう人も少なくありません。そのため、職場のルールとして基本的なコミュニケーションの方針を定めることも大切です。
例えば、「話しかける際に根回しや前置きは不要」などのルールがあると、遠慮せずに声を掛けやすくなります。特に、普段あまり話す機会のない上司や他部署のメンバーとも、適切な距離感でやり取りしやすくなるでしょう。また、話しかけられる側のルールも定めておきましょう。「誰からの質問も歓迎する」「忙しくても一次返信はする」といったルールを設けることで、より安心してコミュニケーションを取れるようになります。
シンプルに明文化したガイドラインを策定し、社内に浸透させることで、会話や相談の方法に迷うことなく、コミュニケーションを進められる環境が整います。
社内イベントやチームビルディング活動の企画
日常業務の枠を超えた交流の場を設けることも有効です。そのために、社内イベントやチームビルディング活動を積極的に企画・実施することで、従業員同士の関係を深められ、よりコミュニケーションがしやすい環境を生み出すことができます。
例えば、社内全体のイベントとして、部署を横断した懇親会やランチミーティングを定期的に開催することで、普段の業務では関わる機会が少ないメンバーの交流を促進します。異なる部門の業務内容や課題を理解するきっかけとなり、今後の業務連携にもよい影響がでてくると考えられます。
業務に直接関連がなくてもカジュアルな場での雑談により、心理的な距離を縮めていくことで、日常業務での相談のハードルも下げる効果があります。
オープンな情報共有ツールの活用
リモートワークの普及により、従来の対面でのやり取りだけではなくなった環境下では、業務の円滑な進行やチームワークを維持するためにオープンな情報共有ツールの活用が不可欠です。
例えば、チャットツールやプロジェクト管理ツールを導入することで、従業員同士がリアルタイムで業務の進捗状況を確認し合い、必要な情報を迅速に共有できるようになります。個別のメールや対面でのやり取りに比べて、コミュニケーションの手間が軽減されるだけでなく、過去のやり取りも履歴として残せるため、後から見返して確認することもできます。また、「報連相」を行う際にも、上司やチームメンバーに対して、わざわざ個別に報告する手間を省きながらも、必要な情報が全員に行き渡る環境を作ることができます。
5.コミュニケーションを活性化させる際の注意点
コミュニケーションを活性化させる際の注意点も押さえておきましょう。「コミュニケーションを増やすこと」そのものが目的にならないよう注意し、従業員にとってストレスの少ない形で運用することが、長期的な効果につながります。
自社の課題を明確化したうえで施策を実行する
まず自社が抱える具体的な課題を正確に把握し、それに応じた施策を講じることが重要です。単に「もっとコミュニケーションを増やそう」といった抽象的な方針では、従業員の行動変容にはつながりにくいため、まずは現状を正しく分析し、職場のどの部分に課題があるのかを明確化する必要があります。
例えば、情報共有の遅延が原因で業務の進行が滞っている場合は、情報伝達フローやツールの活用状況を見直し、リアルタイムで共有しやすい環境を整えることが解決策になります。一方で、上司と部下の間で部下が意見を言いづらいことが課題であれば、1on1ミーティングを増やすなどの施策が求められるでしょう。
このように、課題に応じた適切なアプローチを取ることで、より効果的な施策を実施しやすくなります。
従業員に負担がかからないような運用をする
従業員に過度な負担をかけないよう注意することが重要です。「コミュニケーション量を増やすために」と頻繁にミーティングを設定すると、従業員のスケジュールが圧迫されて本来の業務時間が削られてしまう可能性があります。これにより、むしろ業務効率が低下し、結果としてコミュニケーションの質も下がることになりかねません。そのため、ミーティングの頻度や時間を適切に管理し、本当に必要な場面で効果的に活用することが求められます。
また、新しいコミュニケーションツールを導入する際にも、従業員が使いこなせず負担にならないような工夫が必要です。ツールの習得に時間がかかりすぎるとかえって負担になるため、会社側で操作マニュアルやトレーニングの機会を提供し、スムーズに導入できる環境を整えることが大切です。
6.コミュニケーション活性化をサポートするサービス
社内のコミュニケーションコストを下げ、情報の迅速な相互伝達を活性化させることに役立つサービスをご紹介します。er
Microsoft Teams
「Microsoft Teams」はチャットを主体としたコミュニケーションツールです。チャットや音声・ビデオ電話によって、メールより気軽にコミュニケーションが取れるだけでなく、Word、Excel、PowerPointなどの資料の同時編集、プロジェクトの進行状況・メンバーのタスク状況の可視化など、業務効率化のための機能が揃っています。
LINE WORKS
「LINE WORKS」は、スピード感のあるコミュニケーションを実現するチャット機能に加え、掲示板、アンケート、部署ごとに選択できるアドレス帳、部署メンバーの予定を一目で確認できるカレンダーなど、ビジネスコミュニケーションに必要な機能を搭載したツールです。
eValue コミュニケーション
「eValue コミュニケーション」は、セキュリティを考慮しつつ、スムーズな情報伝達を実現するコミュニケーションツールです。公開範囲を部署ごと・関係者ごとなどで制限できる掲示板機能、いつ誰が見たかを一目で把握できる回覧板機能などで、安全かつ効率的に情報を共有できます。また、掲示板とワークフローを活用することで業務手順を見える化し、ヌケ・モレ・ムダを削減し業務効率化を実現します。
まとめ
本記事では、コミュニケーション活性化の重要性や、コミュニケーション課題を放置する悪影響、活性化させるための具体的な施策などについて解説しました。
ビジネスにおけるコミュニケーションは、業務遂行に必要な情報を相互に伝達することを指します。円滑な情報共有は業務効率化や迅速な意思決定に不可欠ですが、ルールの欠如、心理的ハードル、場所や時間の制約などの課題が存在します。これを放置すると生産性低下や従業員のエンゲージメント低下を招きます。適切な対策を講じ、コミュニケーションを活性化することで、業務の円滑化や組織の成長が期待できます。