神奈川県の工務店の社長より、顧客管理の相談を受けました。その方は以前、IT業界で働いていた2代目の若手社長でした。
当時は黎明(れいめい)期であったCRM・CTI(注)などよくご存じで、それを活用した業績拡大を考えていました。
家の新築より利益が低くなると職人からも敬遠されていたリフォーム事業を強化。その狙いについて、お話を伺いました。

神奈川県の工務店の社長より、顧客管理の相談を受けました。その方は以前、IT業界で働いていた2代目の若手社長でした。
当時は黎明(れいめい)期であったCRM・CTI(注)などよくご存じで、それを活用した業績拡大を考えていました。

新築に比べリフォームは、お金にもならず、まして人の住んでいる家での小規模な作業が多く、職人も敬遠しがちという時代でしたが、社長はビジネスモデルも新築よりリフォーム・リノベーションを強化したいとのことでした。当時はリフォーム専門業者も現れ、ホームページなどでもBefore / Afterが確認できるようになってきましたので、やはり社長には先見の明(めい)があったのだと思います。
結局のところ、お客様との関わりが希薄であることが大きな問題であり、施主と「家族のような存在」になることが必要だと話されていました。
「自分の会社で建てた家なのに、知らないうちに知らない業者にリフォームされること自体あってはならないし、恥ずかしいことだ」
業界知識はなくても、顧客関係の構築について感銘を受けたのを覚えています。
さらに社長からは、「CRMを使って管理すべき項目にはどういったものがあるか」という質問があり、恥ずかしながら、過去の提案で経験したエピソードをお伝えしました。
「家族構成」「家族の誕生日」を把握している会社では、顧客カードが会社の宝であるという内容です。具体的には、子供が中学生になる頃に増築の提案をするというのは、アルアルな話ですが、さらにその会社では、奥さまの誕生日に花を贈るということを続けていました。これが大変参考になったようでした。
新築で家を建てたなど、一度接点のあった顧客と信頼関係ができていると、リフォームなどが必要になった際には必ず連絡をもらえて、価格に関係なく高い確率で成約に進めることができるとお話しされていました。
家はご主人が建てる流れの一方で、リフォームでは奥さまが仕切るという経験則も手伝って、改築時は奥さまが、ご主人に「口は出さずに金を出せ」という流れもあるのだとか(何事にも当てはまるかもしれませんが……)。
さて、業界のリピート率は30%~50%らしいです。皆様の会社ではどうでしょうか?

この記事の著者 プロフィール
大塚商会で、建設業にたずさわり、20年。当初、製造業・ビルメンテナンス業も兼任しましたが、建設業のみ担当は15年この間いろいろな方とお会い、興味あるお話を伺いました。思い起こせば、建設業の訪問は、2,000件を超えました。
本来SIerのマーケティング本部(私の立場)としては、製品開発にお客様の意見を反映し他社製品と差別化をはかり、営業部門へ販売促進策を提案するのが本分でありますが、せっかく、いろいろと「気付き」を教えてくれた建設業のお客様に、SIerとして心に残ったエピソードをお話したいと思います。もちろん、プロの皆様には、意に反していることも多々あるかと思いますが、そこは、しがないSIerの「建設業の与太話」として読んだもらえれば最高でございます。