建設業者2,000社以上と商談したベテラン担当者のSIerが語る! いかした建設業 建設業の顧客管理

家の新築より利益が低くなると職人からも敬遠されていたリフォーム事業を強化。その狙いについて、お話を伺いました。

建設業の顧客管理

建設業の顧客管理

先見の明があった2代目の若手社長

神奈川県の工務店の社長より、顧客管理の相談を受けました。その方は以前、IT業界で働いていた2代目の若手社長でした。

当時は黎明(れいめい)期であったCRM・CTI(注)などよくご存じで、それを活用した業績拡大を考えていました。

リフォームのBefore・After

新築に比べリフォームは、お金にもならず、まして人の住んでいる家での小規模な作業が多く、職人も敬遠しがちという時代でしたが、社長はビジネスモデルも新築よりリフォーム・リノベーションを強化したいとのことでした。当時はリフォーム専門業者も現れ、ホームページなどでもBefore / Afterが確認できるようになってきましたので、やはり社長には先見の明(めい)があったのだと思います。

工務店の社長は、自社の弱みとして、以下のような点を挙げていました。

  1. 顧客との接点が一度限りである
  2. アフターフォローや定期点検の仕組みがない
  3. 顧客情報の管理が不十分で、再提案のタイミングを逃している
  4. リフォーム専門業者と比較して価格面で不利である

結局のところ、お客様との関わりが希薄であることが大きな問題であり、施主と「家族のような存在」になることが必要だと話されていました。

「自分の会社で建てた家なのに、知らないうちに知らない業者にリフォームされること自体あってはならないし、恥ずかしいことだ」

業界知識はなくても、顧客関係の構築について感銘を受けたのを覚えています。

さらに社長からは、「CRMを使って管理すべき項目にはどういったものがあるか」という質問があり、恥ずかしながら、過去の提案で経験したエピソードをお伝えしました。

「家族構成」「家族の誕生日」を把握している会社では、顧客カードが会社の宝であるという内容です。具体的には、子供が中学生になる頃に増築の提案をするというのは、アルアルな話ですが、さらにその会社では、奥さまの誕生日に花を贈るということを続けていました。これが大変参考になったようでした。

顧客との良好な関係を構築するということ

新築で家を建てたなど、一度接点のあった顧客と信頼関係ができていると、リフォームなどが必要になった際には必ず連絡をもらえて、価格に関係なく高い確率で成約に進めることができるとお話しされていました。

家はご主人が建てる流れの一方で、リフォームでは奥さまが仕切るという経験則も手伝って、改築時は奥さまが、ご主人に「口は出さずに金を出せ」という流れもあるのだとか(何事にも当てはまるかもしれませんが……)。

さて、業界のリピート率は30%~50%らしいです。皆様の会社ではどうでしょうか?

誕生日には花を贈る

  • (注)CRM:Customer Relationship Management。顧客関係管理。顧客の情報を収集・分析して、最適で効率的なアプローチを行い、自社の商品やサービスの競争力を高める経営手法のこと。
    CTI:Computer Telephony Integration。コンピューター電話統合。コンピューターと電話機、PBX(構内交換機)、FAX、モデムなどの電話系装置を統合し、コールセンターやサポートセンターの情報機能を効率化するシステム。

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