第3回 毎年4月1日は何の日でしょう?

世界的にはエイプリル・フール、アメリカでは就労ビザの一つ、H-1Bビザの申請の開始日、アメリカに残って働きたい移民がアメリカン・ドリームをかけて、一斉にビザ申請を開始する大事な日でもあるのです。

H-1Bビザとは、一般的には四年生大学卒業以上の資格を持つ専門職に就く人に、発行されるビザで、その発行数は年間65000件、そのうちの6800件はFree Trade Agreementsを締結しているシンガポールとチリからの移民に与えられてしまうので、残りの58200件の枠を全世界からの移民が目指すことになります。
9月11日事件が起こる前は年間195000件のビザが発行されていましたが、今はその数約3分の1、景気のよかった2007年には4月1日に15万件以上の申請書が届き、第一審査は“抽選”で行われたとか、この申請状況は景気の波によって変わりますが、H-1B取得は決して簡単ではありません。

日本の企業の採用ご担当の方に “アメリカで大学を卒業した日本人の学生はアメリカに残って働かないんですか?”という質問をよく受けますが、働かないのではなくて、“働けない”という回答が正しいかもしれません。

H-1Bビザの申請は企業側にとってはリスクがあります。まずは、申請費用と弁護士費用を合わせ$5000の費用が必要、次にその企業がアメリカ労働局が認める、その“地域”で、その“職種”で就労するアメリカ人と同レベルの程度の給料を払うという保証が必要(これがかなり高めに設定してあるように感じます)。
また、たとえビザを申請したとしても、年間の発行枠が埋まってしまったり、厳しい審査に引っかかれば、すべてが無駄になってしまう、ということで、予算の限られる中小企業にとってはH-1Bビザを発行してまで移民を雇用するよりは、その必要性のないアメリカ人を採用したいと思うのは当然かもしれません。

日本人の留学生の中には、アメリカでの就職を希望し、必死に就職活動をする学生もいますが、ビザの取得が必要と分かった時点で、書類選考で落とされるのが通常、うまく面接に残ったとしても最後の時点で、アメリカ人と争う場合には、ビザの取得と語学力というハンディがあれば、それを補う高度な知識、技術がなければアメリカ企業からのオファーを勝ち取ることは難しいのです。

さて、典型的なH-1Bビザの取得者はインド人のコンピュータエンジニアといわれ、マイクロソフトのお膝元にある弊社のオフィス近くでは、多くのインド人の方を見かけ、オフィスビルのエレベータに乗ると、私以外の人は皆インド人ということもあり、インド人の方のパワーを感じます。
2011年のH-1B取得者を職種別で見てみると、エンジニア関連の職種の取得者が約67%、国別に見てみるとインド出身者が58%、続く中国が8.8%、日本は1.2%だそうです。

弊社が過去8年間アメリカの企業へH-1Bビザのスポンサーを伴い紹介をさせていただいた留学生の専攻はEngineeringか Accounting学部出身の学生でした。
日本国内も理系・技術系学部の学生の減少が言われていますが、アメリカへ留学してくる日本人も同じ、理系・技術系を専攻している留学生は全体の15%くらいかと思います。
ある中国人留学生が、中国人の親はEngineeringか Accounting以外の専攻を学ぶのなら、アメリカ留学にお金は出さない、“日本の親はよくそれ以外の専攻にお金を出しますよね。”といっていたのが印象的でした。

アメリカでEngineeringか Accounting以外の専攻を学ぶことにも、十分意味がありすばらしいことであると思いますが、もしアメリカに残って働きたいと思うのであれば、こうした専攻を選ぶのは検討の価値はあるかと思われます。

今年も4月1日が近づいてきました。
一人でも多くの日本人留学生がH-1Bビザを獲得し、アメリカン・ドリームの実現に一歩でも近づいてくれることを願っています。

次回は4月25日(月)更新予定です。

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この記事の著者

Global Career Partners Inc. General Manager

浜崎 日菜子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。日本で信販会社、人事マネジメントコンサルティング会社で7年間の勤務を経て渡米。2005年より現Global Career Partners Inc.の事業立ち上げに携わり現職。米国シアトルを拠点に日米両国の人材紹介・派遣、採用サポート事業に携わる。
アメリカ:人材紹介・派遣情報サイト 仕事探し.com
日本:留学生のための就職情報サイト 帰国GO.com

アメリカの就職事情、採用事情 ~シアトルからのレポート~ バックナンバー

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