第17回 銀行出身者を採用して財務経理担当にすると

企業において、財務経理担当者が銀行出身者であるケースを時々見ます。

特に、銀行から多く融資を受けることが必要な企業では、銀行出身者を探し、財務経理担当にすることが多いです。

元銀行員は、銀行がどのような企業に融資を出すか、もしくは出さないか、分かっているものです。

また元銀行員は、何百社もの決算書を読んだ経験があります。入社した企業の決算書が、どのように変化していけば融資が出やすくなるか、分かります。なおこれは、粉飾を行うという意味ではなく、経営により決算書がどのように変化していけばよいのか、という意味です。

そして特に力を発揮するのが、銀行と交渉する場面です。銀行員の心理を読みながら交渉するので、銀行が融資をしやすいようになるにはどう交渉すればよいのか、どういう資料を提出すればよいのか、考えて実行することができます。

なお銀行出身者でも、融資業務の経験や、得意先係で法人をまわった経験がある人でなければなりません。職務経歴書を見れば、銀行内でどのような業務を行ってきたか、チェックすることができます。

また元銀行員でも、経理財務業務の経験があるわけではないので、財務経理担当として銀行交渉以外に経理財務業務まで行ってもらおうとするのであれば、その業務のやり方を教えなければなりません。教えてもなかなか覚えられない人もいるので、その人にどこまでの業務を任せようとするのかを考え、仕事ができる人かどうかまで見極めなければなりません。

■銀行出身者を採用することのメリット・デメリット

銀行出身者を採用するにあたって、考えなければいけないのが給料です。

元銀行員といっても、それはメガバンクなのか、地方銀行なのか、信用金庫なのかの違いもあります。メガバンクは給料水準が高く、信用金庫は給料水準が低いです。

また銀行の中でどこまでの役職になったのか。役職が上になればなるほど、給料は高くなります。地方銀行やメガバンクの支店長クラスになると年収1,000万円はいくでしょう。

そして年齢もあります。銀行は年功序列ですので、年齢が高いほど給料は高くなります。

銀行出身者を採用しようとする時、中小企業では銀行でもらっていた給料と同じ金額まではなかなか出すことができません。

ただし銀行員が銀行を退職する場合、銀行に不満を持って辞めるか、やりがいがなくて辞めるかの場合が多いですから、転職してある程度、給料が下がることは覚悟しているものです。

出せる金額を提示し、それでも来てくれるのかどうか、問いかければよいのではないでしょうか。

また銀行は従業員何千人、何万人規模のところが多いため、経営者によっては、そのような人が自社に来てくれるのに気後れしてしまう人もいるものです。

しかし銀行出身者は、銀行員時代に、多くの中小企業と接触しているものですので、中小企業についてよく知っています。知った上で自社に来てくれるので、気後れする必要はないでしょう。 

まとめると、銀行出身者を財務経理担当にするメリットは、銀行が融資をしやすいようにしてくれること。デメリットは給料水準を銀行員時代の給料から検討されてしまうこと、財務経理の実務に必ずしも強くないことです。

次回は2月17日(火)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社フィナンシャル・インスティチュート 代表取締役

川北 英貴

早稲田大学法学部卒業後、97年大垣共立銀行入行。法人営業部にて主に中小企業向け融資業務を手がける。その時、こうすれば銀行と良好な関係を築いて資金繰りがラクになるのにという思いを味わった。この経験と知恵を中小企業経営者のお役に立てたいという思いを胸に、同行を退職後2004年に起業。東京を本社に、大阪・名古屋・福岡の4事務所にて事業再生コンサルティング、売上向上コンサルティングを行っている。
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