第12回 中小企業の融資金利はどう決まるか

中小企業の融資金利は、短期プライムレートを基準に、その上乗せ幅を何%にするか、で決まります。

銀行の融資は、返済期間が1年以内は短期融資、1年超は長期融資と呼ばれますが、短期プライムレートとは、短期融資における最優遇金利と言って、その銀行において最も優遇した金利、ということになります。

最優遇金利ですので、銀行にとって最も融資をしたい企業、つまり財務内容や業績が良い企業向けの金利ということです。銀行ごとに、短期プライムレートを決めております。

そして短期プライムレートをもとに、企業の信用状況、担保や信用保証協会保証などの保全状況等を勘案してどれだけの上乗せを行うかにより、できあがりの融資金利が決まります。
 
銀行では企業の信用格付別、保全状況別に上乗せ幅の基準が決められており、その基準上乗せ幅を目安として、融資金利が決められます。

例えば短期プライムレートが1.475%であれば、ある企業への融資は、その信用格付と保全状況により基準上乗せ幅が0.500%であるものの、銀行はその企業への融資を推進していきたいため上乗せ幅は下げて0.325%とし、できあがり1.800%というように決まります。

そして変動金利の融資であれば、短期プライムレートが変動するごとに、金利が返済期間中でも上下することとなります。例えば短期プライムレートが1.475%、上乗せ幅が0.325%、できあがり金利1.800%の融資があれば、その銀行の短期プライムレートが0.200ポイント上昇して1.675%となったら、1.675%+0.325%=2.000%に変更されます。

また短期プライムレートは、メガバンクのものでしたら過去からの推移も含めて日本銀行のホームページで見ることができますし、あなたの会社が融資を受けている銀行に直接聞いても教えてくれることでしょう。

また短期プライムレートは、メガバンク→地方銀行→信用金庫と、規模が小さくなるほど高くなる特徴があります。金融機関の規模が小さくなるほど、運営の経費が相対的に多くかかるものですし、また金融機関の資金調達コスト、つまり市場からの調達金利や預金者からの預金金利が、金融機関の規模が小さくなるほど調達金利を高くしなければ資金を集められないからです。そのため規模が小さい金融機関は融資の金利を高くしなければならなくなります。

次に、長期融資、つまり返済期間1年超の融資には、長期プライムレートがあります。長期プライムレートも、メガバンクのものは過去からの推移も含めて日本銀行のホームページで見ることができます。

また長期プライムレートとは別に、新長期プライムレートがあります。新長期プライムレートとは、短期プライムレートに返済期間別に上乗せ幅を決めてできあがったものです。

例えばある銀行では、短期プライムレートからの上乗せ幅が、返済期間1年超3年以内は0.300%、3年超5年以内は0.500%というように決めており、短期プライムレートが1.475%であったら、返済期間1年超3年以内の新長期プライムレートは1.475%+0.300%=1.775%、返済期間3年超5年以内の新長期プライムレートは1.475%+0.500%=1.975%となります。

なお新長期プライムレートが、短期プライムレートから上乗せ幅があるのは、長期融資の方が返済期間が長い分、短期融資より銀行にとって貸し倒れリスクが高いからです。

そして銀行は、長期融資において、長期プライムレートよりも新長期プライムレートを使うのが主流となっています。なぜなら長期プライムレートは固定金利の融資のベースとなる金利ですが、新長期プライムレートは短期プライムレートをベースとして作られているため変動金利となり、銀行としては金利変動リスクを回避できるからです。

銀行は、固定金利での融資は、その間の市場金利が変動した場合のリスクが高いです。銀行の調達金利がその後の市場の変化により高くなってしまうと、調達金利の方が融資金利より高くなってしまう逆ざや現象が起きてしまいます。そのようなリスクを避けるため、銀行はなるべく変動金利での融資により金利変動リスクを回避しておきたいものです。

また短期プライムレートと同様に、信用格付と保全状況等により長期プライムレートもしくは新長期プライムレートからの上乗せ幅の基準が決まり、それをもとに融資金利が決まることとなります。

なお、実際の融資金利は、プライムレートは参考にするというものの、企業と銀行との交渉により決まります。優良な企業にもかかわらずプライムレートを大きく上回る金利となったり、優良とは言えない企業がプライムレートを下回る金利となったりすることもあります。

つまり、企業の銀行とのつきあい方、交渉の仕方により、金利は、信用状況が同水準である企業より、高くなったり低くなったりすることがある、ということです。

自社の取引銀行のプライムレートは聞いて頭に入れておき、今後の銀行との金利交渉に参考にしていきたいものです。

次回は9月16日(火)更新予定です。

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