第12回 品質の見える化の事例

今回はソフトウェアから少し離れて品質の見える化の成功事例についてお話しします。

一番身近な事例は、特定保健用食品いわゆる「特保マーク」による食品の効果のみえる化です。
2013年6月現在の認可は1,063品目となっています。1997年に1,300億程度の市場でしたがピークの2007年には6,800億の市場にまで成長しました。
これをピークに現在は5,000億強の市場として推移しています。
どのような効果があるかで整腸、コレステロール、血圧、骨ミネラル、歯、血糖値、体脂肪の7分類されています。
当初は整腸効果の商品が大きく売上実績を伸ばしていたようですが2011年以降は血圧や体脂肪に効果のある商品の売上が伸長し全体の市場も回復しているようです。

企業にとって4,000万から1億円かかる申請費用は大きな負担となりますが、販売価格が2~3割高く設定ができる特保商品は収益性が高く投資回収が容易であるばかりか、健康に配慮している企業だということでイメージのアップにつながる効果も期待できるようです。
コンビニで若干高くても思わず特保マーク付の商品を選んだ経験を多くの読者の皆様はお持ちだと思います。

これが「品質の見える化で業績UP」です。

ISO/IECの規格認証を使った品質の見える化もかなり行われています。
ソフトウェア会社が品質マネージメント規格ISO9001を取得して名刺に入れるケースは一般的ですが商品の製造現場でも取得して工場の外壁に大きく認証工場と表示しアピールしています。
運送業において最近増加しているのが環境マネージメント規格ISO14001の取得です。
トラック運行でCO2の排出をしていますが環境には十分考慮している企業であることをアピールするためと言います。
特に食品関係の物流に携わる企業は必須とまで言われています。
健康に効果がある商品は健康に害を及ぼさない環境マネージメントを構築している企業が運んでいるというトータルイメージを大切にしていることを「見える化」している事例です。

業界団体の取り組みとして安全性・環境という品質を見える化した事例が自転車協会が行っているBAAマーク(自転車安全基準)の付与です。
粗悪品による強度不足から利用者の安全を守るだけでは無く、使用されているは部品の環境負荷物資を検査しています。
これは、自転車を廃棄した場合環境に悪影響を与えなる物資(鉛(Pb),水銀(Hg),カドミウム(Cd),六価クロム(Cr6+),PBB(ポリ臭化ビフェニル),PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル等)が基準以上に含んでいないかを検査しています。
商品の品質マネージメントとは企画から製造で終わりではなく廃棄までを一貫して考えることにあります。
自転車協会様の取り組みは非常に有意義と言えます。
蛇足ですが販売実績にどの程度効果があったかは調査資料がないので不明です。

私見ですが、これからの「品質の見える化」は業界団体が主体となって行われると考えています。
国内の高品質を証明する目的もありますが利用者によりわかりやすい選択の情報を提供することが必要と考えられるからです。
スーパーマーケットが行っている野菜の生産者を「見える化」するような取り組みから、業界全体の取り組みみえと大きく変化しています。
IT業界でいえばスマホを中心にあらゆる家電がつながってきますがその接続性に関する認証マークを付与しようとする計画もあります。

読者の皆様もそれぞれの業界の「見える化」を是非ご検討ください。

次回は8月29日(木)の更新予定です。

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この記事の著者

日本ナレッジ株式会社 代表取締役社長

藤井 洋一

1957年生まれ。大学卒業後、金融機関を経て27歳で創業。業種に特化したパッケージソフトウェア開発を中心にビジネス展開し、2005年からソフトウェアの品質向上の手法として、第三者検証の有効性と必要性を説き事業化。
一般社団法人 IT検証産業協会 会長
一般社団法人 コンピュータソフトウェア協会 理事兼PSQ品質基準委員会 委員長
著書:
「スポーツでの映像システム活用法」 日本文化出版
「IT検証技術者認定試験 知識試験テキスト」 BCN
日本ナレッジ株式会社

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