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第27回 ソフトウェア試験の国際標準規格ISO/IEC/IEEE 29119が公開
~「ソフトウェア試験の概念」-監視と管理-~
前回は試験の計画が必要という話をしました。試験マネジメントプロセスでは、計画を策定したら、各試験が計画どおりに実施されて進捗しているかを監視して必要に応じて管理することとしています。当然のことですが実際には運用されていないケースが多く見られ大きなトラブルのもとになっています。試験における監視とは、試験の状況、内容、成果物に問題ないかチェックすることです。
問題として着目するポイントは【1】試験活動の進捗状況で日程どおりの量を消化できているか否か、【2】内容として目的どおりの試験が実施されているか否か、【3】成果物として期待値通りの結果と成果物としての試験文書が書かれているか。以上の内容を試験計画書の他、組織レベルの試験方針と試験戦略に照らし合わせて判断します。試験実施時の監視が適切に機能していないと、以下のような事態を招く可能性があります。
- 試験はスケジュールどおり終了したが、試験の目的は達成できていない
- 見かけ上の試験は順調に進行しているが、実際には遅延が生じている
- 見かけ上の試験により製品リスクを軽減できているが、実際には製品リスクは変化していない(リスクが潜在して残っている)
- 残り期間に対して試験の残件が多すぎ、日程内に消化できる見込みがない(試験終盤になって突然判明し、品質が担保できなくなりリリース遅れの原因となる)
監視の結果、試験活動に問題が認められた場合(試験計画からの逸脱が認められる、既知のリスクが発現している、新規のリスクが識別された、など)は、問題を是正するための措置が必要となります。これが管理です。管理活動は、試験活動の責任を割り当てる、上位レベルのマネジメントからの指示を実施する、などの作業も含みますが、ここでは説明の便宜上計画と実績の乖離の是正に焦点を当てています。
管理として行わなければならない主な作業は以下の通りです。
- 計画と実績との乖離を正すための措置を打つ(試験計画書の変更、要員の変更などを含む)
- 既知のリスクの変化や新規に識別されたリスクに対処する(特定の作業への要員のシフト、テスト完了基準の変更などを含む)
ソフトウェア試験におけるPLAN、DO、CHECKであると置き換えて考えると分かりやすいと思います。
次回は6月25日(木)の更新予定です。