第48回 サポート工数を削減する新しいテスト手法「マニュアルテスト」

今回は、私が最近注目している「マニュアルテスト」についてお話しします。マニュアルを見て手順どおりに利用者が使えるかを実験するテストです。利用者は、導入マニュアルでスムーズにいかないと、その製品に対する信頼性が低下します。

サポート工数を削減する新しいテスト手法「マニュアルテスト」

今回は、私が最近注目している「マニュアルテスト」についてお話しします。
どんな製品にも「操作手順書」いわゆるマニュアルが付属しています。あまり知られていませんがこのマニュアルにも国際規格があります。特に電化製品は、厳しく規制されており米国基準とユーロ圏のダブルスタンダードという面倒さです。ソフトウェア製品についても国際規格ISO / IEC 26514(JIS X 0153)があります。読むだけでも膨大な規格書です。
主なポイントはリスクに関して明記しなさい、という点です。それを「注意」「警告」「危険」という3段階で明記しなさい、とされています。この記述が無く、利用者に損害を与えたときは裁判で勝てないことが想定され、経営上の大きなリスクですがソフトウェア業界では、あまり認知されていません。

脱線しました。今回は「マニュアルテスト」の話でした。製品テストについては、読者の方はご理解いただいていると思います。このテストは、マニュアルを見て手順どおりに利用者が使えるかを実験するテストです。例えば、経理システムのパッケージを導入します。最近はクラウドでの提供となりますので、オンラインマニュアルに従ってインストールできるか試します。
利用する人材像を想定して20-50代までの4名に同じ条件のPCを準備して、時間を決めて設定作業をしてもらいます。概ね2時間程度で行い、「進捗度合い」「分からなかった言葉や表現」「使いやすかったか否か」等アンケートを行います。同じ実験を男女別、PCの経験値で分類して行うとさらに傾向が分析できます。

利用者は、導入マニュアルでスムーズにいかないと、その製品に対する信頼性が低下します。
実務においては、サポートセンターに問い合わせる回数が増え、企業にとって費用負担となります。さらに、マニュアルは同じ形式で作成されますので、その後の運用においても「分かりにくい」表現は継承されているため、利用者のイライラは募ります。結果システム導入の立ち上げが遅れたり運用ミスが発生したりして、そのつどサポートが呼ばれ、サポートセンターの負担が増加することになります。

この実験は、あるソフトウェア会社の製品に対して、専門学校生、大学生、社会人、主婦を使って行われ、指摘を受けた内容を修正した結果、サポートセンターへの問い合わせが3割以上軽減したという実証データがあります。ソフトウェア会社は、システム作成には膨大な費用を投入しますが、マニュアルは「おまけ」程度の内容であることが実情です。それは作成側ですから、「あたりまえ」に使えてしまい、利用者側の目線になっていないからです。
その結果、サポートの負担が増えても、直接の担当者でない限り改善するといった発想にならないとも思います。マニュアルの整備・改善は、開発費用から見れば軽微です。
一度見直してみてはいかがでしょうか?

次回は12月28日(木)更新予定です。

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この記事の著者

日本ナレッジ株式会社 代表取締役社長

藤井 洋一

1957年生まれ。大学卒業後、金融機関を経て27歳で創業。業種に特化したパッケージソフトウェア開発を中心にビジネス展開し、2005年からソフトウェアの品質向上の手法として、第三者検証の有効性と必要性を説き事業化。
一般社団法人 IT検証産業協会 会長
一般社団法人 コンピュータソフトウェア協会 理事兼PSQ品質基準委員会 委員長
著書:
「スポーツでの映像システム活用法」 日本文化出版
「IT検証技術者認定試験 知識試験テキスト」 BCN
日本ナレッジ株式会社

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