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第3回 パッケージソフトウェア品質認証について
2012年10月2日~6日幕張メッセでCEATEC2012が開催されました。
その中のカンファレンスで「パッケージソフトウェア品質認証の必要性について」発表し100名近くの皆様に聴講いただきました。大変有り難う御座いました。
それでは今回より、具体的なパッケージソフトウェア品質認証制度(以下、PSQ認証という)についてお話していきます。
PSQ認証は、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(以下、CSAJという)が主体となって基準作成から審査、認定を行います。
CSAJは1982年にパソコンソフトウェア関連会社22社で設立された団体で、初代会長は、現在ソフトバンクの孫社長でした。
4年後の1986年に経済産業省に社団法人の認可を受け2012年に一般社団法人に移行しました。
1986年にはITS健保を設立し、その後基金も設立し3団体が三位一体となり活動しています。
健保の被保険者数は約33万人とIT系の大きな組織となっています。現会長はOBCの和田社長で勘定奉行がCM等で有名な会社です。
CSAJの最大の特徴はその会員構成で58%が社員数50名以下の会社で300名以下の会社を含めると実に83%が中小零細のソフトウェアベンダーで構成されています。
また、その大半がパッケージソフトウェア開発・販売を行っており、会員にとって生命線にかかる制度ともいえます。
それでは、どんな背景でPSQ認証を始めることになったのか?
- 渾身(こんしん)のパッケージソフトを開発し、販売ルートに乗せるべく大手販売会社と交渉したが実績がなく、品質を確認できないことを理由に販路に乗せられなかった。
- 大手ベンダーだが、金融機関にOEM供給する際に、再度テスト実行を指示され大きなコスト増となり収益確保が困難となった。
- 海外進出の際に、認証を求められることが多い。
- 購入者に製品の安心基準を提供したい。
等々の意見があがり、上記の問題を解決する手段としてPSQ認証をスタートさせました。
2010年4月に、技術委員会の研究部会として「品質基準研究部会」を発足し、パッケージソフトウェアの品質可視化と差別化、ブランド化、付加価値向上を目標としました。
実は、パッケージソフトウェアの基準であるISO/IEC25051という国際基準が存在していることすら私自身知りませんでした。
研究部会に参加した優秀なメンバーも知りませんでしたから、日本人が世界規格にいかに興味を持っていなかったかがわかると思います。
そのような状態でしたから、まず基準探しからはじまりました。最初の候補は一般社団法人日本情報システム・ユーザ協会(以下、JUASという)が経済産業省から受託してまとめた、「要求仕様定義ガイドライン」「非機能要求仕様定義ガイドライン」でした。
品質特性単位に要求される粒度を明確にし、スコアリングできる具体的なガイドラインを設定している貴重な資料です。
すばらしい出来栄えでしたが、大きなスクラッチ開発向けを想定しているため、パッケージソフトウェアへ適応させるにはかなりの労力が必要となると感じました。
並行して世界的にPSQ認証のような制度が存在しないか調査しました。
ドイツやカナダ、オランダなどで、民間ベースで認証しているケースは見つかりました。
その中で、国レベルで認証していたのが韓国の「Good Software」GS認証制度です。
韓国TTAという組織が運営し、日本では総務省と経済産業省が一緒に運営しているような組織で、巨大なテストベッド環境を有し、有望なソフトウェアテスト・検証を行い認証しています。
特筆すべきは、この認証を取得することのメリットが明確であるという点です。
認証を取得すると、企業規模に関係なく公共機関の入札に参加可能になり、不具合が発生してもその責任を問われることがないというメリットがあります。
損害保険に安価な金額で加入出来、銀行からも低金利で融資が受けられます。
国策として推進し必要な法律は大統領令として、適時発行できるスピード感も制度が成功している要因と思います。
基本方針として、中小零細は国内需要に応えるべく活動し、その中で世界に通じる優秀な逸品ができると、国が全面的にバックアップして海外進出を支援することも制度に盛り込まれています。
大変に参考となる制度で、2011年2月には、韓国から招聘(しょうへい)して、講演してもらいました。
その際に一番印象に残ったことは、韓国の制度の背景は、品質が悪いことをどのようにして改善するかを検討した結果、国策として対応したとの点です。
この点では、日本は全く異なります。
日本では品質が悪ければ売れませんから必要以上に神経質になって品質を追求しています。
この時点で私は「品質がよいことを認証して支援する制度にする」という方針を固めました。
2重3重に企業に負担をかけてはコスト高になり競争力を失います。
日本では韓国のような支援は望めません。
対象としている中小のソフトウェアベンダーを支援するにはどうしたらよいか?の苦悩が続きます。
次回は11月29日(木)の更新予定です。
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