第20回 ロボット技術で日本発の国際規格

4月28日の日経新聞に「生活支援ロボット」の分野で日本発の国際規格が発行され、その取得をしたという記事がありました。
まさにこれから日本の企業が取り組むべき課題を解決した快挙だと思います。

この快挙を達成したのはつくば研究学園都市にある「サイバーダイン」という医療や介護福祉を支援するロボットスーツ「HAL」を開発した会社です。
CEOの山海さんは筑波大学の教授であり研究者です。5年ほど前に筑波大学の講演会に参加した際に面白い考えをする研究者だと思いその動向に注目していました。
商品的にロボットスーツと表現していますが山海先生はロボットではなくサイボーグと言いたかったと思います。
というのは、講演会で「ロボットは脳まで機械である。自分が研究したい脳は人間である。鉄腕アトムではなくサイボーグ009が好きだ」と言っていました。人間は体に指令を出すときに脳からの微弱電気を出すそうで、その指令パターンを徹底的に研究しデータベース化することで動きを「HAL」へ正確に伝える事に成功し製品化されました。
「HAL」を装着すれば力の無い女性でも60kgの米俵を楽々持ち上げることができます。
体位交換や移動ごとのアシストが必要な介護の現場で相当の役割を果たすことができ、高齢化が進む日本に明るい話題となることでしょう。
そんなすばらしい製品ですが世に出す際に大きな障害がありました。安全基準や製品品質やその運用基準等の法整備がなく、市場に流通させる基準がなかったのです。
そこで山海さんは最も厳しい医療機器の品質管理規格を取得し欧州連合(EU)が規定している「CEマーク」、米国の「UL認証」等々の規格取得も行いました。
その上で国際的な安全規格と安全性を検証する基準や方法を決め「ISO13482」を作成し、正式に発行・取得することで問題解決しました。山海さんも「安全規格ができたことで、生活支援ロボット事業の参入障壁は下がる」とのコメントをだしていることでもその社会的意義の高さがわかると思います。

蛇足ですが、先の講演会で米国へ行った際のエピソードを思い出しました。
研究が進み、学会で発表しようと渡米したところ、ある組織から軟禁され事情聴取を受けたと言います。
ある組織の調査官は、山海さんの研究が軍事目的で利用されるのではとの懸念を強く持っていて、研究費がどこから出ていてどれくらいの投資がされているのか聞いてきました。
山海さんは、あくまで介護目的で通常の大学の研究費の範囲で数億での研究成果であると説明したところ全く信じてもらえなかったと言っていました。
米国では兵隊の負荷軽減の目的で数百倍の予算で研究しているらしいです。
映画の世界ではなく、ロボットスーツをまとった兵隊が戦争をする時代かもしれません。
それゆえ日本の平和利用の取り組みはもっと高く評価されるべきと思います。

次回は6月26日(木)の更新予定です。

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この記事の著者

日本ナレッジ株式会社 代表取締役社長

藤井 洋一

1957年生まれ。大学卒業後、金融機関を経て27歳で創業。業種に特化したパッケージソフトウェア開発を中心にビジネス展開し、2005年からソフトウェアの品質向上の手法として、第三者検証の有効性と必要性を説き事業化。
一般社団法人 IT検証産業協会 会長
一般社団法人 コンピュータソフトウェア協会 理事兼PSQ品質基準委員会 委員長
著書:
「スポーツでの映像システム活用法」 日本文化出版
「IT検証技術者認定試験 知識試験テキスト」 BCN
日本ナレッジ株式会社

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