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第43回 最新の台湾IT事業 Part2 「台湾のシステム品質事情」
台湾の物づくりに対する考え方は日本人と、とても似ています。台湾のマーケットに興味がある方必読です。
最新の台湾IT事業 Part2 「台湾のシステム品質事情」
台湾のソフトウェア協会であるCISA(information service industry association of R.O.C.)を訪問してきました。昨年の7月(第38回参照)に続いて2回目の訪問となります。目的は、日本と品質で共通認識を持ち交流を深めることです。国際規格に準拠したPSQ品質認証制度の普及と相互承認への実績つくりが具体的なミッションでした。前回は概要しか説明できなかったので今回は実際に興味のある企業を集めてもらい案件として進めることができればと思い、説明会を開催しました。集まったのは15社20名と協会関係者が3名程度でCISAの会議室で行われました。台北市の中心より北に少し上がった、新しいオフィス街の承徳路二段にある大きなオフィスでした。邱月香理事長の挨拶がありました。邱理事長は女性ですが日本にも何度も来日して精力的に活動しています。
今年から世界的に活動するWITSA(world information technology and service alliance)の理事にも就任して世界デビューを果たした女傑で、祭総統とも友人であり台湾では女性の活躍が普通に行われています。この理事長のキャッチフレーズが「Soft Power is changing the World」です。大きな志で感心しております。
セミナーでは、台湾の皆様にソフトウェアの品質として国際規格があることを知っていますか? と問うたところ誰も知りませんでした。中国本土では、政府系のテスティングセンターがあって入札案件のシステム納品にあたってはこのセンターの検査合格を取らないとNGとなる話をしましたところ、この話は知っていました。いろいろなディスカッションをしてみると、台湾人の感覚は日本人と非常に近く、きちんとやるのが当たり前で製品に対する信頼感が強く、勤勉であることが分かりました。それが世界の精密機器の工場として活躍できている原点だと思いました。それに同じ島国であるため、外部の情報が入らないでガラパゴス化している傾向もありました。海外企業が持ち込んだ文化は上手に吸収して活用していますが、あえて国際規格を勉強して海外へ進出しようという企業は少なかったようです。それが今回のセミナーでは非常に積極的に質問があり2時間の予定でしたが質疑が終わらず3時間となり、終了後も2社ほど残って質疑を続けました。この反応に台湾の協会担当者も品質の大切さを理解いただいたようです。
IoT関連製品は日本より多く発表されています。それにも関わらず接続性やセキュリティ問題、責任範囲の明確化などの議論がされておらず、これを問題視していた品質担当者の皆様がセミナーを聞いてやっぱり取り組まないといけないと再認識していただけでも、今回のセミナーは成功だと思いました。
次回は3月30日(木)更新予定です。
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