第14回 トヨタ自動車が北米で売れる理由

日本のトヨタやホンダが北米で人気があることは周知のことと思います。
その理由はマーケットのうまさ、コストパフォーマンスもありますが品質と言われています。

今年の2月14日に発表された米大手調査会社JDパワー・アンド・アソシエイツによる調査結果「2013年米国自動車耐久品質調査(VDS)」によるとトヨタは18部門中7部門でトップとなっています。
米国のゼネラル・モーターズ(GM)が4部門、ついでホンダが2部門で3番目となり、日産とマツダ、現代、フォード、フォルクスワーゲン(VW)がそれぞれ1部門で首位となった。日本は何と11部門を制したことになる。
昨年も11部門、一昨年は9部門であったのでいかに日本車が耐久品質に優れているかを示す根拠であると考えられます。

この調査は新車購入後3年が経過した時点で直近1年間に経験した車の不具合について調べるもので37,000以上のユーザを対象としています。
VDSのスコアは100台当たりの不具合指摘件数によって算出され、スコアが低いほど耐久品質が高いと判断されます。
故障がいかに少ないかの指標となり平均126ポイント(以下Pとする)となっています。
昨年平均が132Pなのでレポートでは年々耐久品質が向上しているとしています。
ちなみに1位はレクサスRXで57Pとなっています。
米国自動車メーカーの平均は133Pであり耐久品質では日本が有利だと考えられていますがこの3年くらいで米国車は急速に改善され数年で同等になると予想されています。

米国自動車メーカーがこの調査結果にこだわるのは販売実績に直接影響するからです。
購入した車両に不具合を感じなかったとするユーザが次の購入時にも同じブランド車を購入する確率は54%であり、不具合を感じた場合の購入継続率は41%に下がってしまいます。
実に13%も次回のユーザ獲得率が落ちてしまうということです。

私は輸入車が好きで色々な車に乗りました。
その中で、砂漠のロールスロイスと言われたレンジローバーの不具合発生は最多でした。
車高調節ができるのですがエアーが漏れて車体が傾き、コンピュータ自動診断が勝手に作動してエラーが多発し、最後はブレーキがスカスカになりまったく機能しなくなりサイドブレーキで何とか停止したといった状況でした。
部品代金も高額であるばかりでなく取り寄せに時間がかかりイライラは最高潮でした。
ブレーキ故障の際のディラー担当者が言った言葉は「イギリスの車ですから、仕方がないですよ」でした。
ちなみに、DVSでもこのブランドは最下位で私もすぐ手放しました。

日本人はブランド力で自然に安心感を持ち、人的なつながりが購入時のポイントとなりますが、米国ではこのような客観的なデータが公表され、つまり「見える化」が第三者によって行われ購入時の評価となっています。

DVSにおけるブランド別の評価順位はレクサス、ポルシェ、リンカーン、トヨタ、ベンツの順となっています。
ホンダは7位です。スズキ、マツダも上位にランキングされています。

このように、高い品質を提供している会社は順調に業績を伸ばしています。
トヨタはプリウスのクレームで一時業績が低下しましたが、問題がないと判定した後は順調に回復しています。
その背景はこれまでの耐久品質に対する高い信頼感が根づいていると思います。

次回は11月28日(木)の更新予定です。

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この記事の著者

日本ナレッジ株式会社 代表取締役社長

藤井 洋一

1957年生まれ。大学卒業後、金融機関を経て27歳で創業。業種に特化したパッケージソフトウェア開発を中心にビジネス展開し、2005年からソフトウェアの品質向上の手法として、第三者検証の有効性と必要性を説き事業化。
一般社団法人 IT検証産業協会 会長
一般社団法人 コンピュータソフトウェア協会 理事兼PSQ品質基準委員会 委員長
著書:
「スポーツでの映像システム活用法」 日本文化出版
「IT検証技術者認定試験 知識試験テキスト」 BCN
日本ナレッジ株式会社

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