第63回 企業と社員を守るために 2020年、今年こそBCPの策定を

令和元年、振り返れば自然災害が多い年であった印象が残ります。地震や台風、豪雨などの自然災害に加え、情報セキュリティ事故などの緊急事態、さらにはインフルエンザをはじめとする感染症が流行した際など、さまざまな事態を想定したBCP(事業継続計画)の策定が求められています。また、政府でも2020年中に大企業でほぼ100% の、中堅企業で50%のBCP策定率を目指しています。企業と社員を守るために、今「BCPの策定」は急務です。

企業と社員を守るために 2020年、今年こそBCPの策定を

BCPを「策定している」企業は15.0%、依然として策定進まず……

帝国データバンクが公表した「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2019年)」によると、自然災害や情報セキュリティ事故などに備えてBCPを策定している企業の割合は15.0%にとどまっていることが分かりました。また、『策定意向あり』(「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の合計)でも45.5%と半数に満たず、依然としてBCP の策定が進んでいない実態が浮き彫りとなりました。

BCPの『策定意向あり』とした企業のうち、事業継続が困難になると想定しているリスクでは、地震、風水害、噴火などの「自然災害」(72.5%)が最も高く、「設備の故障」(40.9%)、「火災・爆発事故」「自社業務管理システムの不具合・故障」(いずれも34.5%)が続きました。事業中断リスクに備えて実施・検討していることでは、「従業員の安否確認手段の整備」(72.2%)「情報システムのバックアップ」(61.5%)「緊急時の指揮・命令系統の構築」(47.2%)が上位となりました。

災害は、いつ・どこで発生してもおかしくない

同調査において、『策定意向あり』とした企業を都道府県別に見ると、高知(72.5%)が最も高く、7割を超えました。以下、滋賀(58.4%)、和歌山(55.6%)、岐阜(55.2%)、奈良、鳥取(いずれも53.3%)が続き、今後大地震が想定される地域に所在する企業は、BCPを策定する意向が高い傾向が見られました。

日本は、世界の国土のわずか0.25%であるにもかかわらず、マグニチュード6以上の地震回数は20.8%、活火山数は18.3%と非常に高い割合になっています。つまり、常に災害と隣り合わせであり、建物の損傷やシステム障害、停電、交通機関の混乱などにより、平常どおりの事業が継続できないリスクにさらされています。

また、昨年を振り返っても、台風や豪雨などの地震以外の自然災害とその被害が多く、全ての都道府県の企業にBCP策定が必要であるといえます。しかし、いまだにBCPを策定していない企業は多く、その理由として「策定に必要なスキル・ノウハウがない」「策定する人材を確保できない」と挙げる割合が多く存在します。また、4社に1社はBCP策定の「必要性を感じない」とも答えています。

しかし、企業と社員を守るために、今「BCPの策定」は急務です。まだという企業は、一日でも早いご検討を。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 マーケティング本部

井川 雄二

1997年 大塚商会入社。主に複合機をお客様に提案する営業担当から始まり、現在はその経験を生かしてマーケティング本部として営業支援を行っている。ITにまつわる情報収集に長けており、全国各地のイベントでは年間数十回のセミナー講演を実施し、その情報を余すことなくお客様に伝えている。その講演内容がとてもわかりやすいと評判。

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