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第53回 「新元号」「消費税増税」…… 2019年、企業がまずやるべき課題と対策とは?
「元号変更」「消費税増税」により、システムの改修が必要になるため、企業は自社のシステム環境や、改修の対応状況などを早期に確認することが求められています。利用中のシステムの対応について、早急に確認してみましょう。特にチェックすべきポイントは5点です。
「新元号」「消費税増税」…… 2019年、企業がまずやるべき課題と対策とは?
2019年4月30日で「平成」の時代が終わり、同年5月1日から新元号の時代が始まります。さらに同年10月1日には、消費税10%への増税、ならびに軽減税率の導入が予定されています。この「元号変更」「消費税増税」により、システムの改修が必要になるため、企業は自社のシステム環境や、改修の対応状況などを早期に確認することが求められています。
システムの新元号対応は大丈夫?
2019年5月1日より、元号は「平成」から新元号に変更されます。元号の公表スケジュールについては、1カ月前となる2019年4月1日に公表することで調整が進められています。
一般的に世界中のシステムの大半は、西暦で日付を計算していますが、日本国内では官公庁や金融機関など、和暦を使用しているケースも少なくありません。役所や銀行などで書類に記載する際、西暦の場合と和暦の場合があるのはそのためです。
一方、西暦を用いることの多い民間企業ですが、その対応は決して他人事ではありません。例えば、社会保険系の帳票、年末調整、税関連の申告書等、役所や金融機関等へ提出する書類には、実は多くの元号が用いられています。そうした書類を扱う給与システムや会計システムには、新元号対応に向けた早急な改修が必要となります。
複雑な消費税増税のしくみ……
2012年8月に「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」により、消費税法の一部が改正され、消費税率の引き上げが決まりました。2014年4月に8%に引き上げられ、さらに2019年10月には10%へ引き上げられると同時に、軽減税率の導入も予定されています。
軽減税率とは、標準的な税率とは別に低い税率を設けることです。生活必需品である食料品などを低い税率(軽減税率)にすることで、低所得者の負担を軽減します。軽減税率が導入されると、8%変更時よりも業務やシステムに与える影響は大きくなります。軽減税率が実現する場合、商品ごとに税率が異なるということになります。複数税率で正しい仕入れ税額計算をするため、請求書などに商品ごとに適用税率と税額とを記載する「インボイス方式」が採用されると見込まれています。
利用中のシステムの対応について、早急に確認してみましょう。特にチェックすべきポイントは次の5点です。
- 税率二桁対応(消費税が初めて二桁に)
- 経過措置対応(増税前の税率も適用可能に)
- 複数税率対応(8%・10%の混在が可能に)
- 商品副税率対応(同一商品でも8%・10%の管理)
- 請求書対応(軽減税率対象品目とそれ以外を区別して記載)
次回は2月上旬の更新予定です。