ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第52回 深刻なCPU不足でパソコンの生産に遅れ! Windows 10への移行は間に合うのか!?
約1年後のWindows 7サポート終了を控え、Windows 10搭載のPCへ入れ替えを検討する企業が増える中、CPU不足による在庫不足や価格上昇など、さまざまな影響が出はじめています。今回は、深刻なCPU問題の現状と、あわせてWindows 10に移行した際のメリットについてお伝えします。(Windows 7のサポートは2020年1月14日をもって終了しました)
深刻なCPU不足でパソコンの生産に遅れ! Windows 10への移行は間に合うのか!?
今年の夏頃から表面化してきたCPUの不足問題。既にパソコンの生産や供給に遅れが生じるなど、深刻な問題となりつつあります。約1年後のWindows 7サポート終了を控え、Windows 10搭載のパソコンへ入れ替えを検討する企業が増えています。そのため、今後はますますの在庫不足や価格上昇などが懸念されています。
今回は、深刻なCPU問題の現状と、あわせてWindows 10に移行した際のメリットについてお伝えします。
国内パソコン出荷は好調! しかし……
電子情報技術産業協会(JEITA)は、2018年4~9月の国内パソコン出荷額が前年同期比6.9%増の3151億円であったと発表しました。サポート終了まであと1年余りに迫ったWindows 7の入れ替え、さらに働き方改革によるテレワークの推進でノートPCを導入する企業が増えていることが大きな要因を占めています。
一方、9月単体では前年同期比7.4%減の594億円と減少。主な要因として、パソコンに欠かせないCPUの供給不足が出荷にブレーキをかけたとみられています。なお、今年9月に米インテル社のボブ・スワンCEOは、「特にエントリー(初級)レベルのパソコンに対する供給が逼迫(ひっぱく)している」との書簡を発表しました。
在庫不足・値上がりが発生!? 早めの移行計画を!
国内の複数のパソコンメーカーは、「インテル製CPUの供給が世界的に逼迫しているため、納期遅延が生じています」という通達を、各販売店などを通じて出しています。CPUの不足により、製品の納期が遅れるのは異例の事態です。また、CPUを計画どおり調達できず、少ない台数で収益を確保するために「販売価格を数%値上げした」というメーカーも出てきました。
今後、パソコンの在庫不足や値上がりは、さらに深刻化する可能性があります。Windows 10移行に伴うパソコンの入れ替え・更新は、早めに着手したほうが良いでしょう。
今さら聞けない、Windows 10移行のメリット!
「最後のクライアントOS」と呼ばれているWindows 10。そのWindows 10を搭載したパソコンの導入には、幾つかのメリットがあります。
まず、「パフォーマンスの向上」です。Windows 8の登場時に多くの人が驚いたのは、起動時間の大幅な短縮化でした。Windows 7の約半分、Windows XPの約1/3に高速化された起動時間は、待ち時間の大幅な軽減、作業効率の向上に貢献します。Windows 10もそれは同様。わずか15秒程度の起動時間でも、無駄を省くことでコストの低減に貢献します。
そして、管理の効率化。これまでWindows OSは、数年ごとのメジャーバージョンアップにあわせて大幅な機能強化が行われ、そのたびに旧バージョンのOSサポート終了への対策が必要でした。Windows 10は、セキュリティ更新プログラムだけでなく、従来のメジャーバージョンアップで対応してきた大幅な機能強化や新機能の追加をインターネット経由で提供されます。煩雑な社内のOSバージョン管理、またはOSサポート終了に必要な機器の入れ替えなどの手間から解放されます。
次回は1月上旬の更新予定です。