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第51回 「働き方」が変わります! 月45時間以内、年360時間以内、その対策はできていますか?
働き方改革関連法の成立後、厚生労働省より「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」が公開されました。長時間労働対策、勤務時間・残業時間について、具体的な措置やより細やかな管理が必須となります。4分の1の中小企業が基準に抵触する恐れがあるという調査結果がありますが、どのような対策が必要でしょうか。
「働き方」が変わります! 月45時間以内、年360時間以内、その対策はできていますか?
働き方改革関連法の成立後、厚生労働省より「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」が公開されました。長時間労働対策、勤務時間・残業時間について、具体的な措置やより細やかな管理が必須となります。
今回は、2019年4月1日(中小企業は2020年4月1日)から導入される、時間外労働の上限規制についてお伝えします。
4分の1の中小企業が基準に抵触する恐れ……
エン・ジャパン社が運営する人事担当者向け総合情報サイト『人事のミカタ』は、「働き方改革関連法」に関するアンケートの調査結果を発表しました。まず、働き方改革関連法の施行により経営に支障が出るか否かについて、「大きな支障が出る」(9%)「やや支障が出る」(38%)を含め、47%が「支障が出る」と回答。企業規模別に見ると、規模が大きくなるほど「支障が出る」の割合が増加しました。さらに、「支障が出る」と回答した人に、経営に支障が出そうな項目を尋ねたところ、「時間外労働の上限規制」(66%)が最も多く、続いて「年次有給取得の義務化」(54%)「同一労働同一賃金の義務化」(43%)となりました。
また、AI(人工知能)を活用した人事評価クラウドを運営するあしたのチームが発表した調査結果によれば、中小企業の4分の1で長時間残業が常態化しており、「働き方改革関連法」に抵触する恐れがあることが分かりました。残業時間は、月平均で「10~20時間未満」「20~30時間未満」が約半数を占めた一方、「30~40時間未満」「40~50時間未満」「60時間以上」働いている人も23.2%いました。「働き方改革関連法」では、残業時間の上限を「月45時間以内、年360時間以内」としていますが、この基準に抵触する恐れがある中小企業がまだ4分の1もあるということになります。
時間外労働の上限規制への対策には何が必要なのか?
2019年4月1日から順次施行される働き方改革関連法。中でも注目すべきは「時間外労働の上限規制」です。
これまでの日本の労働時間規制の枠組みでは、時間外労働には上限が存在せず、事実上青天井で残業を強いられる環境にありました。施行開始後は、残業時間は月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別の事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度としなければなりません。また、原則である45時間を超えることができるのは年間6か月までとなります。もし違反した場合は、6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科される可能性があります。そうならないための対策として「労働時間の状況の把握」が必要となります。
厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」において、労働時間の状況を客観的に把握するよう企業に義務付けています。具体的には、使用者が始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること。記録する方法としては、「自ら現認、またはタイムカード、ICカード、PCの使用時間の記録等」という客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することが挙げられています。
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長時間労働が問題になり、ブラック企業の肩書きがつき、さらには罰則適用とならないために、早めの対策をおすすめします。
次回は12月上旬の更新予定です。