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第19回 間もなく縮減!? 今からでも間に合う減税のコツ
2014年1月施行の「産業競争力強化法」における具体的支援策としてスタートした「生産性向上設備投資促進税制」。適用期限は2017年3月末までですが、優遇措置の即時償却(100%)が適用できるのは2016年3月末までとなり、4月以降の残り1年間は半分の特別償却(50%)と縮減されてしまいます(税額控除を選択した場合は、5%⇒4%に縮減)。
今回は、支援措置が縮減間近となった「生産性向上設備投資促進税制」についてお伝えします。
節税効果が高い、生産性向上設備投資促進税制の「先端設備」とは?
生産性向上設備投資促進税制は、産業競争力強化法で規定する生産性向上設備などの中より、一定の要件を満たす先端最新設備を導入する際に受けることができる減税措置です。設備を新しくする際に利用できる優遇税制の中でも、特に「先端設備」としての条件を満たす機械・装置やサーバー用電子計算機、販売・生産・顧客管理などのソフトウェアなどを取得した場合、その全額が即時償却することができるので非常に節税効果が高い税制と言えます。
しかし、優遇措置の即時償却(100%)が適用できるのは3月末まで。4月以降は特別償却(50%)になってしまいます。では即時償却(100%)と特別償却(50%)ではどのような違いがあるのでしょうか。
即時償却(100%)と特別償却(50%)の違いは?
即時償却は、普通償却費にプラスして残りの簿価分全てを償却費として計上できる仕組みです。このため、事業年度内のどの時期に取得しても償却限度額は同じ全額になります。しかし、特別償却を適用した場合は、償却限度額が「特別償却額+普通償却額」になるため、取得した月によって償却額が大きく異なってきます。というのも、普通償却額はその設備を取得した最初の年に取得した月から決算月までの経過月数分で月割計算するため、取得した月によって償却できる額が異なるからです。
例えば、300万円の先端設備に該当するサーバーを期首月に取得した場合の普通償却額は、耐用年数5年、定率法で計算した場合は120万円となりますが、期末月(決算月)に取得した場合はその12分の1の10万円となってしまいます。これに50%の特別償却額150万円をプラスすると、期末月の取得では160万円となりますが、期首月に取得した場合では270万円、取得額の90%が償却できてしまうということになります。
≪トピックス≫ 減税申告方法 ~ 証明書発行の流れ ~
本制度の適用には、ソフトウェアについては一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)、サーバーについては電子情報技術産業協会(JEITA)が発行する証明書が必要です。
次回は4月上旬の更新予定です。