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第11回 メンタルヘルスとストレスマネジメント~その4~
前回はスタッフの方へのストレスマネジメントについてご紹介しました。今回はストレスが原因で起こる代表的な症状と、対策についてお伝えします。
メンタルヘルスとストレスマネジメント~その4~
新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、介護現場にも大きな影響を及ぼしました。
自分自身の感染予防に加えて、お客様の感染予防とメンタルヘルスに対するストレスマネジメントはwithコロナだけでなく、afterコロナにおいても離職防止においては重要です。
前回はスタッフの方へのストレスマネジメントのポイント二つをお伝えしました。今回は代表的な症状二つと、外部機関の活用とについてお伝えします。
代表的な二つの症状
うつ病
うつ病は心の風邪と呼ばれていて、誰でもかかる可能性のあるありふれた病気で、ほとんどの場合、脳の神経伝達に障害が起きて発症します。
要因としてはストレスや過労、性格などの要因が関与しており、遺伝病ではありません。うつ病の生涯有病率は10~15%で20代の後半でピークを迎えます。また、統計的に女性が男性の2倍かかりやすいことが分かっています。
- 症状
- ゆううつ、不安感、焦燥感、頭がさえない、ボーッとする、考えがまとまらない、何をするのも“おっくう”になる、睡眠障害(熟眠障害・早朝覚醒)など。
- 治療
- うつ病は焦らずにゆっくりと休養を取り、完全に回復したと主治医が判断するまでは服薬を続けることが大切です。うつ病は、必ず治る病気で、仕事復帰の際も段階的に勤務時間を長くしていくことが大切となります。
- 対応
- まず病気の症状や本人の辛さを理解し、受容的な対応を心がけるとともに、心身ともに十分な休養を保証することが必要です。
次に、「がんばれ」などといった叱咤激励(しったげきれい)をせず、逆に「休んでいても大丈夫だよ」という安心感を与えることが大切です。また無理に気晴らしに誘わず、まずは休養を十分に取り、自分から動き出せる時期を待つことが大切です。
燃えつき症候群
人一倍活発に働いていた人が、なんらかのきっかけで、無気力・抑うつ・落ち着きのなさといった抑うつ状態に陥るのが「燃えつき症候群」です。
認知症の方やがん末期の患者などと接する時間の長い介護職や看護師が、自己の無力感に苛(さいな)まれる現象として注目されています。その他にも現実の壁をまだ経験していない情熱的な初心者や、過剰な自意識を持ち、脅迫的なまでに期待に応えようとする献身的な人ほど発症しやすいといわれています。
専門家への相談について
気になるときには、専門家に相談することも大切です。
- 精神科・神経科・精神神経科
- 「心の病」を専門とする科である。
うつ病や神経症、統合失調症などの精神障害を扱う。診療内容は全て同じである。 - 神経内科
- 心の問題ではなく、神経疾患の難病をはじめ、脳や脊髄、神経の障害を内科的に治療する診療科である。
脳卒中、てんかん、認知症など。 - 心療内科
- 心の問題で起こる体の病気(心身症)を治療している内科である。
うつ病や神経症などのストレス病を治療の対象としている。 - カウンセラー
- 心の問題や生活上の悩みについてサポートする。
分からないときや抵抗感がある場合には、まず内科や心療内科を受診したり、相談してみたりするとよいでしょう。
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