第46回 運送業の労務管理のデジタル化~(11)「点呼記録簿」データのデジタル化

前回のコラムでは、働き方改革アクションプランの内容についてお話ししました。その中で、2024年問題の運送事業者について行ったアンケートでは、約30%もの会社が問題を抱えていることが分かりました。今回は点呼のデジタル管理について触れていきたいと思います。

運送業の労務管理のデジタル化~(11)「点呼記録簿」データのデジタル化

前回のコラムでは、全日本トラック協会から発表されている働き方改革アクションプランの内容についてお話しさせていただきました。2024年問題(運送業への働き方改革法施行)の運送事業者の対応についてのアンケート集計結果は、年間960時間を超える残業時間のドライバーがいる事業所は全体の約27%、有給休暇を年間5日以上取得できている運送事業者は全体の約82%と思ったよりもよい結果でした(私の主観です)。

しかしながら、この回答の逆数である20~30%の運送事業者は問題を抱えているということでしょう。冷静に考えて30%もの会社が問題を抱えているというのは、やはり社会問題と捉えて間違いありませんね。

今回は点呼のデジタル管理についてお話しさせていただきます。

「点呼」は法令により実施が義務付けられている業務

運輸支局などの監査による、もっとも多い違反項目は「点呼」のようです。

点呼には、「乗務前点呼」「乗務後点呼」「乗務途中点呼(以下、中間点呼)」があり、それぞれの実施内容が法令によって定められています(貨物自動車運送事業輸送安全規則第7条)。 運行管理者は運転者に対し報告を求め安全確保に必要な指示を出すほか、アルコールチェッカー(以下、アルコール検知器)を使用して酒気帯びの有無を確認しなければいけません。

また運行管理者には、異常な感情の高ぶりや睡眠不足に陥っていないか、安全な運転ができない恐れの有無を把握することも求められています。また記録については1年間の保管義務があります。

要は運行前と運行後に、安全・運行に関する指示と管理項目を確認し、しっかりと記録するようにという業務です。多くの企業では紙ベースの点呼記録簿が保管されていて、地場運行の企業では毎日の流れとして運用が定着しているため、しっかりと記録・保管がされている場合が多いようですが、長距離運行が多い企業では抜け漏れがある傾向があります。

点呼記録がしっかりとされていない企業は、管理全体がうまくいっていない場合が多いため、ここが監査項目のスタートになるケースも多いようです。

「運行指示書」→「点呼記録簿」→「運転日報」がつながっているか

点呼と大きく関連がある管理書類には「運行指示書」と「運転日報」とがあります。

運送管理では、「運行指示」どおりに、「点呼」で内容を伝達、状況・状態を確認したうえで出発、その結果を「運転日報」で報告するという流れになりますから、「点呼」が実施されているかどうかは重要ポイントです。

監査で求められる業務を管理するためには、この三つの管理書類を突き合わせてみる必要がありますので、一つでも紙ベースのものがあると大変です。逆にいえば、これが全てデジタルデータでつなげられるとすると、とても効率的かつ緻密な管理・指示ができそうです。

点呼のことだけを見ると、理想的には全て遠隔地点呼ができるような機器を使用し、全てがデータ化されていることです。しかし、これを全事業所に導入するとなると投資も大きなものになりますから、すぐできることとしては、点呼時にExcelなどの表計算ソフトに直接入力しておくことがおすすめです。デジタコなどから出力することができる日報データや、配車データなどから作られる運行指示データが存在していれば、その三つをつなげることが容易になります。

すぐにできるデジタル化としてやっておくと、近い将来の大きな効率化のための一歩になりそうです。

次回は5月26日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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