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第22回 物流システムを活用した物流改革の勧め【総まとめ】
物流システムの活用はあくまでも物流改革を推進する一手段ですが、標準化、スピードアップ、管理、分析には大きな効果があります。物流改善に物流システムをうまく活用することで、競合同業他社を上回る物流の構築が可能となります。
物流システムを活用した物流改革の勧め【総まとめ】
1. 物流コストの把握
「コンピューターのデータを活用すると、物流の問題点が見えてくる」ことは、第1回目の執筆で既に述べました。
その問題点を解決すれば、無駄な物流コストが削減できることになります。
しかし、物流システムには費用が発生します。
費用対効果を事前によく検証しなければ、システム導入に踏み切れません。
それを検証するために、下表のような物流会計の作成が必要になります。
まず第一歩は、物流コスト(物流人件費、保管費、輸送費、包装資材費、物流システム費等)を月別に集計することから始めます。
物流会計作成で特に注意すべきことは、物流人件費です。
人件費は、賞与や福利厚生費などを含めて年間総支給予想額を算出し、月別に均等分割しましょう。
そうしなければ、賞与月に物流人件費が増加し、物流コスト増の問題が分かりにくくなります。
さらに、マネージャー、社員、嘱託社員、派遣社員、パート等、役割ごとに細かく分けます。
細かく分ければ、物流改善を推進した結果、減少した人数や人件費が明確になるからです。
ただ、社員の給料がある程度分かってしまうので、この物流会計は一部の管理職のみで管理しましょう。
ここで、「物流人件費削減を目的とした物流システム導入」のコスト管理を例に、検証方法をご紹介します。
物流コスト削減のテーマ(例:ピッキング人件費の削減)と物流システム運用を決めたら、システム見積金額より月額発生費用が見えてきます。
改善効果は、該当テーマに関連する人数から人件費を算出し、改善率等(派遣社員をパートへ移行するなどの時給単価変更も考慮)を基に、物流人件費削減額が予測できます。
その効果が実現できる可能性を検証すれば、システム導入の是非が見えてきます。
システム導入後、物流システム費用を物流会計に加算し、物流人件費が当初の目的どおり達成できたかを検証しましょう。
2. 総まとめ
物流システムは、あくまでも物流改革を推進する一手段にすぎません。
しかし、標準化、スピードアップ、管理、分析には大きな効果があります。
物流改善の推進と物流システムをうまく活用することで、競合同業他社を上回る物流の構築を目指しましょう!!
約11カ月にわたりご覧いただき、ありがとうございました。
今回をもちまして、当コラムは最終回となります。
一つでも皆様の参考になれば非常に嬉しく思います。
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