第2回 販売管理システムのデータを活用し、過剰在庫を可視化する

在庫金額の削減は、多くの企業の経営テーマになっていますが、実現できている企業は多くないと思われます。改善の第一歩は在庫の可視化です。在庫保有日数目標を設定し、過剰在庫を可視化してみましょう。

販売管理システムのデータを活用し、過剰在庫を可視化する

過剰在庫の可視化

在庫金額の削減は、経営テーマとして毎年のように挙げられていますが、目標を達成している企業は極めて少ないのではないでしょうか。また、在庫金額目標を持っている企業は多くありますが、その目標金額の根拠を説明できる企業はほとんどありません。本来であれば、1品1品の商品特性、販売実績、発注リードタイム(発注してから入荷するまでの日数)を考慮し、在庫目標を設定しなければならないのでしょうが、そこまで時間をかけていられないのが実情なのではないでしょうか?

今回は、過剰在庫の可視化をテーマにご紹介したいと思います。

過剰在庫の可視化の手順は、それほど難しくありません。

販売管理システム内の「出荷数データ」と「現在庫数データ」を基に、現時点の在庫保有日数を算出することから始まります。
在庫保有日数とは、今の出荷ペースでいくと何日分の在庫を保有しているかという指数です。

<在庫保有日数=現在庫数÷出荷数(日平均出荷数)>

そして、単品ごとに商品特性、販売実績、発注リードタイムを考慮し、在庫保有日数の目標を設定します。
現時点の在庫保有日数が目標を1日でも超えている商品について、超過分の在庫数を過剰在庫と定義します。
単品ごとの設定が基本ではありますが、仕入先(もしくは工場)や、商品分類等でほぼ同じ在庫保有日数目標になることも多いので、第一段階では時間をかけずに算出する方法をいろいろと工夫して欲しいと思います。
ちなみに出荷数は、平均出荷数を採用しますが、企業によって大きく考え方が違います。過去3カ月分の出荷数の平均で計算する企業もあれば、1カ月、半年、1年と色々なパターンがあります。各企業の状況にあうように考慮して算出してください。

過剰在庫の可視化の方法と注意点

上記方法で、超過分の在庫を有する商品をExcelにデータ抽出します。販売管理システムに持っていない情報もありますので、Excelの計算式などで補います(参考:下表)。この表を、過剰分在庫金額の多い順に並び替えると、過剰在庫ワースト表ができます(下表は、全商品3ヵ月越えを過剰在庫と定義しております)。

現在庫金額は、「現在庫数×在庫単価」で算出します。過剰分在庫金額は、「(現在庫数-目標在庫保有日数×1日当たりの平均出荷数)×在庫単価」で算出します。中にはマイナスになる商品もあろうかと思いますが、その場合は“0”をセットします。

このようなデータが準備できれば、過剰在庫を可視化することができます。

現在お使いの販売管理システムの基本機能では、このような資料を出力できないかもしれません。
その場合は、社内SE様やシステム会社に依頼することになろうかと思います。
このデータを作成するプログラムは、情報さえそろっていれば、それほど難しいものではありません。私の顧問先では、過去最短2時間で作成されました。長くても1週間もかからないと思います。一度ご検討を頂ければと思います。

注意いただく点が1つあります。この方法だと、出荷が始まったばかりの新商品や、オンシーズン直前商品等のイレギュラー商品も過剰在庫という判断になってしまいます。これを防ぐために、商品マスターの登録に工夫をする必要があります。この件は、別の章で解説したいと思います。

次回は3月14日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンに分かりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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