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第3回 欠品アイテムの抑制により、お客様の満足度を向上し、機会損失をなくす
在庫金額の削減は、多くの企業の経営テーマになっていますが、実現できている企業は多くないと思われます。改善の第一歩は在庫の可視化です。在庫保有日数目標を設定し、過剰在庫を可視化してみましょう。
欠品アイテムの抑制により、お客様の満足度を向上し、機会損失をなくす
欠品抑制への取組み
前回執筆の過剰在庫の削減とともに、欠品アイテムの抑制も企業の大きなテーマのひとつと言えます。
ただ、「売れ筋商品の欠品ゼロ」にばかり注力しすぎると、答えを出せずに疲弊してしまいます。
売れ筋商品の欠品をなくすためには、「市場の需要予測」と「外部環境の変化」を敏感にとらえることが必要となります。
特に競合商品の将来動向を察知することは難しく、自社シェアの予測をたてるのは極めて困難と言えるでしょう。
また、取扱商品が流行に左右されるものであれば、市場でどのくらい販売ができるか予想するのも至難の業です。
正確に販売数を予測するのはほぼ不可能に近いのが現状だと思います。
たとえ、国内のシェアを50%持っている商品でも、どんなに優秀な社員を投入しても販売数予測は不可能と言えるでしょう。
ですが、欠品抑制が全く出来ないかというと、そうではありません。
売れ筋商品の欠品抑制は困難でも、売上ランキングがそれほど高くないB・Cクラスの欠品抑制は実現できるのです。
まずは、欠品・品薄商品の可視化から始めてみましょう。
まず、販売管理システム内の「入出荷数データ」や「在庫データ」を基に、商品ごとに上記のようなデータをExcelで作成してみましょう(在庫保有日数は、前回を参照ください)。
Excelの並び替え機能を利用し、全商品を在庫保有日数の昇順に並び替えます。
在庫保有日数の少ない商品からの順位表が出来上がります。上から順に、発注が必要な商品かどうかを判断します。
1点注意しなければならない点があります。それは、このデータの中には、「発注が不要な商品」が混在していることです。
「発注が不要な商品」とは、「売上低迷し、発注をしないと判断した商品」や、「季節変動商品でシーズン終了間際のもの」等がそれに該当します。
間違いなく判断するために、その情報は商品マスターの「商品特性」にあらかじめ、「売切り品」「夏期シーズン商品」というように登録しておくことをお勧めいたします。もちろんデータにも付与します。発注判断時には「発注の必要が無い物」とし、Excelの抽出機能を利用し除外します。
欠品の発生理由
このデータをもとに単品別に発注の検討をします。
このデータには、売れ筋商品の欠品(品薄)、B・Cクラスの欠品(品薄)が混在します。
前者は、今後の売れ行きに注意し発注を行います。
後者の出荷数は安定している傾向があるため、一定量の発注を行います。
ただ、徐々に売上が増加しているのを気が付かずに発注忘れをしている場合が多くあります。
発注担当者の勘で発注量を決めている企業は、この様な欠品を起こしているケースをよく見ます。
また、在庫があると思っていたのに、出荷しようとすると在庫が無いこともよく聞きます。
まとまった先納期の受注があれば見落としも起こしやすいですし、営業取り置き(例:得意先別確保在庫)の場合にもこの可能性があります。
いずれも、社内ルールの順守と在庫管理システムの構築が出来ていれば欠品抑制はできます。
次回は3月28日(火)の更新予定です。