第4回 的確に在庫改革を推進するために商品マスターを工夫する

商品マスターに工夫をして在庫分析に使用。過剰在庫の可視化等で、異常値を取り除いたデータが抽出可能となり、在庫分析がスムーズに。改善のスピードアップが図れます。

的確に在庫改革を推進するために商品マスターを工夫する

商品マスターの有効活用

第2回、第3回でご説明をさせていただいた分析表ですが、商品ごとの特性を加味しなければ、異常値が入っており分析データとしては不的確です。今回は、販売管理システムの商品マスターに工夫し、的確な分析データを作成、的確な在庫分析ができる運用方法をご紹介します。(ご利用のシステムの項目の有無、項目追加の可不可などは、パッケージメーカーにお問い合わせください)

まず、販売管理システムの商品マスターに上記表のような項目をご用意ください。

在庫区分

在庫を持つ商品か、持たない商品なのかを判断します。

例えば、「取寄せ品」は在庫を持たないので入荷即出荷になります。しかし、よく売れている「取寄せ品」はまとめて発注すれば仕入単価が安くなり、会社の利益に貢献できます。よって、定期的に分析データで「取寄せ品」だけを抽出し、売上金額の大きい順に並び替えて「在庫品」にするかどうか検討する必要があります。

主要仕入先

仕入先ごとに「過剰になり気味な取引先」、「品薄になり気味な取引先」などの分析が可能となります。

仕入ロットなどの条件を見直す分析表を作成することが可能となります。

商品特性

これは異常値を排除するために使用します。平均出荷数から、過剰分在庫金額を計算する説明を第2回でいたしました。

仮に平均出荷数を直近6カ月で算出をした場合、「新製品」は入荷のタイミングによっては販売実績がほとんどありません。

よって、「過剰在庫」や「不動在庫」と判断してしまう可能性があります。

もうすぐ始まる「季節商品」は、在庫が多くても問題が無い場合もあります。

また、「廃盤品」、「売切り品」は、在庫が少なくなっても発注する必要がありません。

この様な商品特性をExcelの商品明細データに追加し、Excelのフィルター機能で除く設定にすれば、異常値が減少します。

ロケーションナンバー

作業フェーズの回で解説いたしますが、ロケーションごとの出荷量を見るために利用いたします。

目標在庫保有日数

非常に重要な項目です。販売管理システムの多くは、「発注点」を登録し、発注しないといけない商品を可視化することができると思います。しかし、「発注点」は出荷量が増減すれば、修正し在庫を適正化する必要があります。

目標在庫保有日数は、出荷数が増減しても商品マスターを修正する必要がありません。

目標在庫保有日数の目安は、業種によって大きく異なります。

国内品は、発注後翌日、もしくは翌々日に納品される場合、3日~2週間程度の目標在庫保有日数に設定すれば良いと思います。海外品は、発注から納品までのリードタイムが2カ月以上かかることが多いと思いますので、それに応じて設定をします。

本来であれば、目標在庫保有日数を単品単位で設定するのをお薦めしますが、最初の段階では時間をかけずに一律3~6カ月で設定して過剰在庫金額を算出するのも良いと思います

箱入り数

ケース(箱)に入った状態で在庫されているものの、1箱に入るバラ数を設定します。

パレット入数

パレット入数の登録を行うのも効果があります。

対象商品が1パレットにバラでいくつ乗るのかを登録します。

パレット入数を登録することで、現在庫が何パレットあるか、過剰分在庫が何パレットあるかなどを算出することが可能になります。過剰在庫を削減すれば何パレット分の倉庫スペースが削減できるかが見えてきます。委託倉庫を使用している場合は、保管費削減の目安にもなります。

次回は4月11日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンに分かりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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