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第5回 正確な在庫分析を行うために、在庫精度の向上を!
在庫改革の実現には、「在庫分析による問題の原因把握と改善策の立案・実行」が必要です。ただ、コンピューター在庫と実在庫があっていなければ、在庫分析をしても徒労に終わります。棚卸時に在庫差異の発生原因を対策することにより、3~6カ月で在庫は合致します。
正確な在庫分析を行うために、在庫精度の向上を!
在庫精度の向上
在庫の適正化(過剰在庫の削減と欠品アイテム数の抑制)を実現するためには、「在庫分析による問題の原因把握と改善策の立案・実行」が必須となります。
しかし、コンピューター在庫と実在庫に誤差があれば、在庫分析をしても徒労に終わってしまいます。私の経験則(過去訪問先)では、半数以上の企業で在庫があっていないと言っても過言ではありません。
改善の第1歩は、在庫差異(コンピューター在庫数と実在庫数の差異)を無くすことです。
まず、在庫差異の可視化を行いましょう。
棚卸し時に在庫差異リストを出力しましょう。
そのリストに、在庫差異金額[(現在庫数-コンピューター在庫数)×在庫単価]を新設し、昇順に並び変えてみましょう。
例えば、受注数よりも多く納品した場合等の誤出荷をした場合に、実在庫が減少してしまいます。また、不良品が判明して廃棄したにも関わらず、コンピューターに入力を忘れていれば、実在庫が減少してしまいこれも在庫差異の原因になります。
この様に、在庫差異の原因はさまざまな場面・部署で発生しています。なぜ在庫差異金額が、大きくなったのか検討を行いましょう。
ただ、発生原因の検討が難しいケースがあります。
例えば、皆様の企業が年2回の棚卸しをしていたとしましょう。この場合は、半年前からの棚卸し差異原因の追及をすることになります。ですが、実際には追いかけきれずに推測レベルになるのが現状ではないでしょうか。
この様な時は、棚卸し頻度を上げて毎月もしくは毎週、毎日棚卸しをすることをお薦めしています。棚卸し対象は、全アイテムにする必要はありません。差異の大きい商品や、入出荷が多い商品カテゴリー、仕入先等で数十アイテムを選定し棚卸しを行います。
このやり方だと、その日もしくはこの1週間、1カ月に起きた原因分析をすれば良いわけですから、在庫差異の原因をより正確に掴むことができます。
実在庫がコンピューター在庫より過剰な商品も、同様に原因分析を行います。(在庫差異金額で降順に並び替え)
在庫があわない企業の共通点は、棚卸し差異の原因分析が中途半端で終わっているところです。
全ての発生原因を把握・対策を施さなければ、永久に在庫精度は高まりません。
この様な手順で対策を継続すれば、3~6カ月で在庫精度は急激に改善されます。
次回は4月25日(火)の更新予定です。