ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第6回 在庫金額削減目標を設定し、在庫改善プロジェクトをスタートする
在庫金額削減目標をたてなければ、成果を検証することができません。過剰在庫金額を可視化し、削減目標を決めれば在庫改善プロジェクトがスタートできます。
在庫金額削減目標を設定し、在庫改善プロジェクトをスタートする
在庫金額削減目標の設定
在庫改善プロジェクトを発足しても、目標が無ければ成果が出ているかどうか検証ができません。
企業の在庫に関する一番のテーマは、売れ筋商品の欠品対策と思われますが、その対策が難しいことは当コラムの第3回で説明させていただきました。
第3回 欠品アイテムの抑制により、お客様の満足度を向上し、機会損失をなくす
いきなり難しい目標をたててもうまくいきません。成果が出る前に在庫改善プロジェクトが自然消滅してしまうこともよく聞きます。
そこで第一段階の目標としては、「過剰在庫の削減」をお勧めしています。
当コラムの第2回で説明させていただいた過剰在庫ワースト表(Excel)を、在庫保有日数(現在の出荷ペースで現在庫が無くなる日数)が大きいもの順に並び替えます。
第2回 販売管理システムのデータを活用し、過剰在庫を可視化する
次に、「在庫層別化分類」という新しい項目(列)を作成します。
この項目に、在庫保有日数を目で確認しながら、「在庫1年超」「在庫6カ月~1年」「在庫3カ月~6カ月」「在庫正常(1カ月~3カ月)」など、在庫の過剰状況を商品ごとに記載していきます。在庫の基準は、皆さまの会社の基準にあわせてご検討ください。ただし、「新製品」「廃番」等は、管理基準が違うためご注意ください。(「新製品」「廃番」と記載ください)
仮に在庫アイテム数が1万アイテムあったとしても、Excelのオートフィル機能などを利用すれば、それほど時間がかからず(早ければ10分程度で)登録が完了します。
次に、Excelのピボットテーブル機能を利用して、下記の表のように集計をします。
この表の、「過剰分在庫金額(1カ月超)」は、在庫保有日数目標を1カ月とした場合それを超えている分の在庫金額、「過剰分在庫金額(3カ月超)」は、在庫保有日数目標を3カ月とした場合それを超えている分の在庫金額を、集計し可視化しています。
計算例:過剰分在庫金額(3カ月超)=(現在庫数-月間平均出荷数)×3カ月×在庫単価
仮に在庫保有日数目標を3カ月とした場合、32,328千円+25,944千円+9,665千円=67,937千円が在庫金額削減目標になります。
この在庫削減を実現すれば、101パレット分のスペースが削減できることも確認できます。作業効率を向上するために、倉庫レイアウトを見直すことも可能となります。
次回は5月9日(火)の更新予定です。