第37回 配慮範囲

皆さん、こんにちは!

2014年も年の瀬を迎えていますが、皆さんにとって、この1年はどんな年だったでしょうか?
経営者として非常に業績が好調だった、思うような業績に至らなかった。あるいは社員が成長してくれた、思うように成長してもらえなかった…。色々な視点で、夫々の思いが交錯しておられるかも知れませんね。

私は、今年も多くの経営者や会社と仕事をご一緒させていただく中で、やはり「因果応報」、どんな結果も、夫々に理由や意味があり、自らが「思うように招いている」ということを改めて感じた年だったように思います。

2014年最後の回になりますが、今回は「配慮範囲」ということを考えてみたいと思います。

■認知的焦点化理論(配慮範囲)
「認知的焦点化理論」というモノがあります。耳慣れない言葉だと思いますし、見るからに小難しそうな印象を持たれるかもしれませんね。
京都大学大学院工学研究科の藤井聡教授らが提唱している考え方ですが「プレジデントオンライン」でも紹介されていますので、下記に一部抜粋をご紹介させていただきます。

解明! 運がない人は、なぜ運がないのか(PRESIDENT Online Webサイト)

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【以下、一部抜粋】
私たちは「認知的焦点化理論」というものを唱えています。人が心の奥底で何に焦点を当てているか。そこに着目した心理学上の研究です。

ひとことで言えば、ある人が物事に向き合うときに、どのぐらい他人のことを配慮できるかという観点から、人を分類しようとする試みです。

図1をご覧ください。横軸は社会的・心理的距離軸を示し、自分を原点として、家族・恋人→友人→知人→他人……と、右に進むほど関係は遠くなります。他方、縦軸は時間軸です。物事の対処に当たり、思いを及ぼす時間の幅を示すもの。「現在のことだけ」か「2、3日先」か「自分の将来まで」か「社会全体の将来まで」か……と徐々に幅が広がっていきます。横軸と縦軸を結ぶ曲線で囲まれた面積は、配慮範囲の大きさを表しています。

例えば、極端に利己的で目の前の自分の損得のみに心の焦点を合わせている人は、横軸、縦軸とも目盛りゼロの原点付近に位置します。後先を考えずに怒りに任せて人に暴力を振るう犯罪者などがこれです。

逆に、自分から遠い存在である他人のことまで思いやる人ほど、あるいは遠い将来のことまで配慮する人ほど、曲線で囲まれた面積は大きくなります。幕末の志士など、人望あるリーダーがこちらに当てはまります。
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つまり、その人がどの範囲にまで関心・興味を抱くかによって、その「配慮範囲」の広さが変わり、それが「利己的~利他的思考」の何れになるのかを意味しています。

■個人の問題だけではなく…
私がこの「配慮範囲」を知った際に感じたことは、この考え方は、必ずしも「個人」にだけ当てはまるものではなく「人が形成している組織」即ち「会社」にもあてはまるのではないか、という事です。

「自分→家族・恋人→友人→知人→他人」という横軸を「自分→自社→取引のある顧客→潜在顧客→社会」にしたり「自分→自分の所属する課→気の合う同僚→顔を知らない社員→…」としたりしても、同じような事が言えるのではないでしょうか。

このコラムの「自律的従業員・イキイキした組織風土」というテーマに即して考えるのであれば、「社員一人ひとり」が「配慮範囲」を広くもち、社会に対して利他性を高めること、即ち「おもてなしの意識」をもった配慮範囲を広く持つ社員が多くなることで「組織として、会社としての配慮範囲」も広がっていくのではないかと思います。

それが「私たちの会社が社会的価値を生み出そうとするか否か」に通じるのではないかという視点です。

では、どうすれば、「社員一人ひとり」が、この「配慮範囲」を広げる思考性を身に着けることができるのでしょうか…。

■自らの問題意識と「他人に対する関心」
TEDでのスピーチで一躍有名人になってしまった「北海道/植松電機 植松努氏」という方がおられます。このTEDでのスピーチは社員17名の一介の市井の経営者ですが、その体験談に基づく「問題意識」が「社会に対する問題意識」として認識され、それを解決するために自らが取り組んでいる物語を見事に表現しています。

Hoping invites | Tsutomu Uematsu | TEDxSapporo(You Tube Webサイト)

(20分程のプレゼンですので、この年末のお時間のある時にでも、是非ご覧ください)

彼は、「ロケットの開発」、宇宙空間と同じ無重力状態を作り出す「微少重力の実験」、「小型の人工衛星の開発」、「アメリカ民間宇宙開発企業との協同事業」と四つの宇宙開発事業を行っておられますが、これを自ら「手段」だとおっしゃっています。そして、この方の本当の「目的」は「この世の中から“どーせムリ”という言葉を失くす」ことにあります。

この植松氏の姿を見ていると、まさに「配慮範囲」の広さを感じます。ご本人の姿を見ていても本当に輝いておられるように思います。そして、その「志」に打たれた従業員を含めた「仲間」が数多くおられることが容易に想像できるのではないでしょうか。

■自分の存在は、環境 
あるコラムで下記のようなものを見つけました。
↓ ↓ ↓
 自分の存在は ほかの人にとっては環境である
 人は 海や山から力をもらい 癒され 多くを学ぶ
 自然環境は雄弁で 力強く 優しく厳しい
 優れた環境のなかで 人は心を整え 成長する

 では人はどうだろうか どうも同じではないのか
 自分の存在は ほかの人にとってみたら環境そのものだ

 ならば せめて佳き環境でありたい
 明るく気持ちのよい環境でありたい
 人の役にたつ環境でありたい

 存在そのものが ほかの人の救いとなるような
 そんな環境でありたい…
↑ ↑ ↑
2014年の暮れになりますが、迎え来る2015年には少しでも、「自らの配慮範囲」を広げ、そのことを通じて従業員一人ひとりにも「自分の配慮範囲」ということを考えてもらう機会をつくっても良いのではないでしょうか。

来年も、引続き、よろしくお願いいたします。

次回は1月21日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピュータ営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績に繋がる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員育成のあり方を考える バックナンバー

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