第34回 「自律性」を高める「ビジョンの効用」

皆さん、こんにちは! 
9月は何と言っても全米オープンテニスでの錦織圭選手の活躍が大きな話題だったのではないでしょうか。特に、準決勝のランキング1位のジョコビッチ選手との戦いに興奮しながら寝不足になってしまった方も多いのではないかと思います。

さて、私の方はというと、過日9月2日に、このERPナビWebサイトの読者を中心にした感謝祭イベントがあり、そこでワークショップを担当させていただきました。ご参加いただいた皆さんに厚く御礼申し上げます。

その時も「“自律的人財”を育む組織風土」というテーマで、皆さんとの対話を通じてご意見を色々と頂戴しましたので、今回は、その時のご意見のご紹介を通じながら、思考を深めていきたいと思います。

■「自律性」とは何か?
このコラムのテーマは「社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員育成のあり方を考える」となっていますが、そもそも「自律性」とは何なのでしょうか。

主体性や積極性、能動性、臨機応変性、柔軟性、チャレンジ精神、忍耐力、行動力、実行力、問題発見力、問題解決力、課題解決力・・・色々な言葉が浮かぶかとは思いますが、一言で言い表すことは簡単ではないかも知れませんね。

では、皆さんが考える「“自律性の高い”イメージの有名人」には、どのような人の名前を思い浮かべますでしょうか。

その場では、メジャーリーガー・イチロー選手、サッカー・本田圭佑選手、ゴルファー・石川遼選手といった名前が出ました。私たちは彼らのどのような振る舞いや言動から「自律性の高さ」をイメージしているのでしょうか。

「自律性」とはWeblio辞書によると「他からの支配や助力を受けず、自分の成し遂げる目的のために、自ら立てた規律に従って、自分の行動を正しく規制すること」と書かれています。

人間は、誰しも「弱い自分」と「自分を律する自分」が心の中に存在します。
朝、眠たくて、「遅刻しそうだけど起きたくないよォ~」という自分と「イヤ、眠たいけど、ここは起きて仕事に行こう」という自分・・・こんな話も自律性の概念には含まれると思います。

一言で言うと「自分で考え、自分で決めて、自分で行動する」ということでしょうか・・・。

■自分の成し遂げる「目的」
ここでポイントになってくるのが「自分の成し遂げる目的のために・・・」という部分にあるように思います。

イチロー選手・本田選手・石川選手等は、皆さん「小学校時代の作文」が有名で、一人のプレーヤーとして、個人として「自分の夢の実現」のために妥協せずに努力・邁進してきたという意味で非常に有名です。

ただ、このコラムの読者である皆さんは、ビジネスパーソンであり、経営者やチームリーダー、メンバーといった、会社という組織の中の従業員の一人として属している方が大半だと思います。

だとすると、従業員が、会社の方向性や方針を無視して「自分の成し遂げる目的のため」だけに進まれてしまうわけにはいかないのではないでしょうか。

そこで「組織の目的」である「使命」であったり「ビジョン」であったりというものの必要性がクローズアップされてきます。

■使命・ビジョンが規定する「考える幅」
ドラッカーはその著書の中で下記のように言っています。

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自らをマネジメントするためには、強みや仕事の仕方とともに、自らの価値観を
知っておかなければならない。  

組織には価値観がある。そこに働く者にも価値観がある。
組織において成果を上げるためには、働く者の価値観がなじまなければならない。
同一である必要はない。だが、共存出来なければならない。                          
さもなければ、心楽しまず、成果も上がらない。
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つまり、従業員の「自律的な言動」を促すには、その組織(会社)が「何を大切にし、どこを目指しているのか?」という「価値観」に対する共感が必要だということになります。ゴールが明確で、従業員が把握・理解し、共感しているからこそ、その実現に向けて「自分の行動を正しく規制すること」が出来るのではないでしょうか。

ある時に、私はこんなことを言われたことがあります。
「サッカーが好きなんでしょ?! パスが100本でも何本でも繋がるけれど、1点も入らず勝敗もつかないサッカーは楽しいか? ゴールがある場所が分かっているから、今はボールを後ろに回そうとか、ゴールに向かって一直線に進もうとか考えるから楽しいんじゃないの?」

「従業員に、自律的になってもらいたい」と思うのであれば、自分たちの会社が何を大切にし、どこに向かおうとしているのか?それが従業員に伝わっているのか?共感を得ているのか?・・・その辺りから、今一度、振り返ってみてはいかがでしょうか。

錦織圭選手の目標は、勿論「グランドスラムでの優勝」だと思いますが、若くしてアメリカIMGというテニスの英才教育を受ける環境に飛び込み、ガンバっている目的は「日本人でもグランドスラムで優勝できることを証明するため」だそうです。
その実現のために、彼は自分を律して、次の挑戦に向かうのだと思います。応援したいですね。

引き続き、よろしくお願いいたします。

次回は10月15日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピュータ営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績に繋がる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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