第35回 究極の自己満足

皆さん、こんにちは! 
10月は大きな台風が2週続けて日本列島を通過し、被害も各地であったようですが、皆さんはご無事でお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。

最近、私はある大手企業のある部門を含め、幾つかのお客様の人財開発にまつわるワークショップを担当させていただいています。一言で言うと、「“働く目的”を深め、自分が所属する会社で働く意味・意義を見出していただく」といった内容でしょうか。それぞれの会社によって特徴があることは事実ですが、逆に共通している傾向があることも事実です。今回は、こうしたワークショップを通じて「究極の自己満足」というものを考えていきたいと思います。

■あなたは、どんな人ですか?
ワークショップでは、「初対面の方に自分のことを紹介するには?」を考えていただいています。一般的な自己紹介ではありません。年齢・職歴・担当業務・趣味等を話すのではなく「自分は、どんな人間か?・何を目指し、自分らしさ・私ならでは・何が私を奮い立たせ、何を大切にしているのか」といった「自分自身の拘り」を考えていただく内容になります。

「自分のこと位、分かっているよ」という声も聞こえてきそうですが、これが意外と答えられない方が多いものです。

「7つの習慣」の著者スティーブン・R.・コヴィーの有名な言葉に「一番大切なことは、一番大切なことを、一番大切にすることである」があります。
枕詞に「自分の人生において」をつけてみて下さい。「自分の人生において一番大切なことは、自分の人生において一番大切なことを、自分の人生において一番大切にすることである」になります。これは「自分らしく生きる」と同義語に他ならないのではないでしょうか。

あなたは「自分の人生において一番大切なこと」を大切にしていますか? もっと言えば、そもそも「自分の人生において一番大切なこと」が何だと認識しておられますか?

この問いに答えられないというのは自らの「自分らしさ」を理解していないとも言い換えることができるのかも知れません。

■「真の自分らしさ」を考える
あらためて、「真の自分らしさ」を考えることは、そんなに簡単ではないのかも知れません。ただ、これを見出せないと「大切なことを大切にしていく」ことが困難になってしまいます。

では、どんなふうに考えていくのか?
色々なやり方があると思いますが、私は「過去を振り返る」という中に自分を見出すことができるのではないか、と考えています。

自分の価値観の形成に大きな影響を与えた人は誰か? 人生最大の試練や困難な出来事は何だったか? それを乗り越えられたのか? 乗り越えられなかったのか? その経験から学んだ教訓はどのようなことなのか?・・・

誰しも、これまでの人生が何事もなく波風なく来た人はいないのではないかと思います。そうした紆余曲折の経験を通じて、自分なりの価値観なり、大切にしていくものが形成されていっているのではないでしょうか。もちろん、大切にしたかったのに、止むを得ず、手放してしまったことも含めて・・・。

そんなことを振り返りながら、「真の自分らしさ」と向き合っていただくことは大切なことではないでしょうか。

誰にもこうした経験はあるものですが、日常の忙しさに流されているうちに、意外と本来のこうした思いというのは、自分の潜在意識下に追いやられ、自分でも何だったか分からなくなってしまっているケースは多いように思います。

■究極の自己満足
ソフトバンク・孫正義を知らない方はおられないと思いますが、彼は以前出演したテレビ東京「カンブリア宮殿」の中で「何のために働くのか?」に関して下記のように言っておられます。
↓ ↓ ↓
20代前半で会社を興した孫社長、会社の方は順風満帆なのですが、若くして、慢性肝炎での闘病生活を送ることになってしまいました。

会社を始めてすぐのころというのは、大きい会社にしたい、家も立派なものが欲しい、車も格好いいのが欲しいと、やはり若いなりの欲望がいっぱいありましたよ。だけど、あと五年くらいで俺は本当に死ぬのかと思った時には、もう本当にどうしようか、と。その時も病院を抜け出して、一日おきぐらいに会社に行っていたんです。そうやって身を削り、命を削りながら、なんで俺はこういうことをやっているのかと考えるわけです。

そうすると、やはり最後は自己満足のためにやっているんだなと本音で思いました。人のためとか、会社のためというより、結局、自分は自己満足のために命を削って働いている。すると自己満足というのはなんだろう、と思うようになるんです。究極の自己満足というものを考えると、もはや家とか車とか、会社の利益というようなことは、ちょっと程度が低いなあ、と思うようになりました。

究極の自己満足とは、結局、人に喜んでもらうことじゃないか。人が心から喜んでくれて、笑顔で「ありがとう」と言って感謝してくれたら、それが一番の自己満足だなということを、その時に心の底から思ったんです。それはもうずいぶん泣きはらしたあとのことですが。
↑ ↑ ↑

もちろん、誰もが孫正義氏のような成功を掴めるわけではないですし、正解があるようなものではありません。

ただ、私たち一人一人が孫さんのように突き詰めて「自分と向き合って自問自答をしている」のか? と言われると、なかなかできていないのではないでしょうか。

ワークショップにご参加いただいた方の多くが、「自分と向き合っていないことに気づいた・本来の目的を考えるきっかけになった」と仰って下さいますが、残念ながら、気づいただけでは何も始まりません。それをきっかけに「何をどうするのか?」という行動に繋がるところを是非、このワークショップを企画して下さった経営者や幹部の方には継続してサポートしていただければ、と願っています。

従業員一人一人が自分の生き方を考え、理解すること。これは本当に大切なことだと思っています。ただ、同時に、彼らにそれを求めるのであれば、そんな彼らと共に生きていこうとしている経営者の私たち自身が、少なくとも彼ら以上に、「自分の人生における大切なこと」を明らかにしておかないといけないかもしれませんね。

引き続き、よろしくお願いいたします。

次回は11月19日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピュータ営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績に繋がる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員育成のあり方を考える バックナンバー

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