第30回 リーダーの信念と一貫性

皆さん、こんにちは! 
ゴールデンウィーク明けから季節が一気に進み、定着したクールビズの姿を多く見かけるようになりました。
まだ決着を見ないTPP問題や集団的自衛権の問題等日本だけの都合で進まない課題が山積ではありますが、4月以降、消費税増税があった割には混乱や景気への影響も最小限にとどまっているようですね。
皆さんの会社の状況はいかがでしょうか?

来月に迫ったサッカーワールドカップのメンバーが発表され、TVのスポーツ番組を中心に関連ニュースや特番が増えているようですが、今回は日経新聞5月19日朝刊に掲載されていた『迫真:W杯頂点を目指して/ザックが磨く「日本式」』から組織の能力を高めるリーダーのあり方を考えてみたいと思います。

■迫真:W杯頂点を目指して/ザックが磨く「日本式」 日本経済新聞5月19日朝刊
上記の記事では、リーダーとして日本代表監督を務めているイタリア人・ザッケローニ監督の考えていることを紹介しているのですが、まずは文章を抜粋してご紹介させていただきます。

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~前略~
雇い主(日本サッカー協会)からは大会のノルマとして「1次リーグ突破」(日本サッカー協会・原博実専務理事)を課されている。
ノルマ達成に手堅さも必要だが、小さくまとまったサッカーをさせる気はない。

「現実の試合では攻めようとして攻めきれない時もあるだろう。そういう場合の準備はもちろんやる。それでも自分たちから仕掛けることを忘れさせたくはない」

攻撃的なサッカーには過去、何人もの監督が挑戦しては志半ばで終わってきた。
「史上最強」「黄金世代」とうたわれた06年のチーム(ジーコ監督)の挫折は特に強烈な記憶である。それでもザッケローニ監督の信念は揺るがない。

「監督の仕事は必勝のパターンや戦術を編み出すことだと思われているが、そんなものは存在しない。選手たちの能力を最大限に引き出す。そこに全精力を傾けるのが私の仕事のやり方。それで出した答えには確信めいたものがある。ブラジルでは日本サッカーのさらなる成長につながるものを残すつもりでいる」

~後略~

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これを企業経営の一般論に読み解くと、「成果は出さなければならないが、だからと言って成果を出すための手段に走るわけではない。過去にはうまくいかなかったこともあるかも知れないし志半ばの状態があったとしても、本質的なリーダーの仕事は社員の能力を最大限に引き出す努力をすることで、成長に繋がることは一貫した信念として持ち続ける」と言い換えることができるのではないでしょうか。

■リーダー自身の「一貫性と継続性」
先日、ある企業の社長さまと幹部社員の皆さんとのお話を伺う機会がありました。
この社長は叩き上げの創業者であり、今までは「個人経営」で事業として一定の成功を収めてきた方でした。
ただ、この先、さらに企業としての成長をしていくに当たって「組織経営」に舵を切って衆知を集めた形で進めていきたいとの想いを持っておられます。

今回、幹部社員の皆さんにあらためてご自身の想いを投げかけ、今後の協力を仰ぎたい旨をお話しされ、それに対する意見交換がなされたわけですが、一言で言うと、残念ながらその社長の想いは全く信用されておらず、幹部社員の心にはなかなか響かない状態になったままでした。

社長の想いや意図が響かない理由として皆さんに確認させていただいたところ、過去から少なからず想いは聞いたことがあるものの実際の仕事の中で、その想いとはかけ離れた判断が横行し、もう信じられなくなってしまっているという状況でした。

もちろん、業績(結果)を維持・向上させ続けることは容易なことではなく、その時々で色々な判断や意思決定が行われるわけですが、社員にとっては「結果が出ていても、言っている事の実践の結果ではない」という事実に、その社長の想いに対する猜疑(さいぎ)心が形成されてしまっている典型的な例だったように思います。

結果的に、リーダーが成し遂げたい想いがあるにも関わらず、自身の「一貫性や継続性の欠如」という事が自らブレーキをかけてしまう形になっているということになります。

■他者から見た「範」
先の日経新聞の記事の続きでは、以下のように記述されています。

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東アジア各国のサッカー協会関係者に「あなた方にいい影響を与えている組織は何ですか」と尋ねたところ、中国がその一つに「日本サッカー協会」の名を挙げたという。~中略~アジアの範と認められた「一貫性と継続性を大事にする(ジャパンズ・ウェイ)」。
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やはり、リーダーのブレない「一貫性と継続性」が人の心を動かし、「範として見習おう」と言う気持ちにするという好例のように思います。
規模の大小や業績(結果)の是非ではなく、「一貫性と継続性の確保」そのものが、他からの「範」に繋がっているところがポイントなのではないでしょうか・・・。

■無意識を意識する
前述の経営者の方も、ご自身が叩き上げで積み重ねてきた経験や成功体験を数多くお持ちです。
それがあるが故に、ご自身のお考えや思考性に「間違いない」との想いが無意識のうちに形成されてしまっているのだと思います。

「無意識」だからこそ厄介であり、あえてその「自分の無意識を意識していく」必要があるということなのでしょう。
そういう意味での「リーダー自身の頭の柔軟性」が求められ「可謬主義の実践」が組織を変えていく最初の一歩だと言えるのではないでしょうか。

自分の思考性の中の「無意識」「常識」になっていることを、あらためて振り返る機会を定期的に持つことも必要だと思います。

さて、6月から始まるワールドカップでザッケローニ・ジャパンはどのような組織能力を見せてくれるのか楽しみにしたいと思います。

引き続き、よろしくお願いいたします。

次回は6月18日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピュータ営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績に繋がる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員育成のあり方を考える バックナンバー

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