第137回 病院移転大全~その4~

前回のコラムでは、医療機器、什器などの搬送計画について解説しました。今回は、各診療科・部署ごとの移設対象物について、その特徴や注意点についてご紹介します。

病院移転大全~その4~

現場との打ち合わせ

病院の組織は、専門性に富んだ部署の集合体です。それぞれの部署に特徴がありますので、その特徴に合わせ、移転対象物品も異なります。移設対象物が異なれば、注意点も違ってきます。代表的な2部署の特徴と注意点を今までの実際の経験も交えてご紹介します。

放射線科

放射線科には、撮影機器と治療機器とがあります。いずれの機器も精密機器であり重量物です。放射線機器は移設する前後に相当の時間を要するという特徴があります。さらに重量物かつ精密機器ですので、いわゆる什器などを運搬する業者ではなく、機器の運搬、設置専門業者が移設も担当することが多いです。各機器のメーカーごとにその(指名)専門業者も異なることもあります。早めにメーカーに問い合わせておきましょう。

放射線機器(特に重量物)はそのまま移設するのではなく、いったん幾つかのパーツに分解し、その分解したパーツを移設し移設先で再び組み立てるというステップを踏みます。

パーツに分解して移設するといっても、パーツ単体が非常に重いため、どのような機材を使用してどのようなルートで移設するのか。その時、周辺道路の状況やタイルなどは大丈夫なのかなども検証する必要があります。従って、分解にどの程度日数を要するのか。移設、組み立てにどの程度日数を要するのか。さらに組み立て後、照射調整など調整作業が最も日数を要することもあります。機器ごとに詳細な情報を把握することが重要です。放射線を取り扱う機器ですので、移設後、組み立て、調整が終わっても、再稼働には点検など検査を受ける必要がある場合もあり、注意が必要です。

これら全てのトータルの日数が放射線機器の稼働不可日となりますので、機器の詳細情報を把握後に関連診療科の医師と打ち合わせが必要になります。放射線機器が稼働不可の影響は非常に大きく、診療にも大きな影響を及ぼしますので、各診療科の意見などを確認する必要があるのです。

放射線機器が稼働不可の対応としては、関連施設や他の医療機関に依頼することが最もよく採用される手法です。必要であれば事前に患者様へのお知らせも掲示します。移設を担当する(指定)専門業者への支払いも発生しますので、その点も事前に交渉が必要になります。

検査科

検査は患者様の身体を使う生理(生体)検査と、血液などの検体を使用する検体検査とに分かれます。生理検査に使用される心電図検査やエコー検査の機器はポータブル機器も多く、移設に関しては大きな問題にはなりにくいです。一方で検体検査の機器は実験台に置くことができる小さな機器、顕微鏡などから大型の検査機器まであります。さらに検査に必要なスピッツやスライドグラスなど、また、試薬は温度管理が必要なものもありますので注意が必要です。

検査科との打ち合わせで新旧のレイアウトを見比べて、どの機器から移設するか順序を決めていきます。卓上の検査機器を先に移設しても、機器を置く実験台がなければ地べたにいったん置かなくてはならなくなります。さらに大型の機器を先に部屋に入れてしまうと、そのほかの検査機器を部屋の奥に運び入れることが困難になることもありますので、移設する順序に気を付けることがポイントです。

また、病理検査や細胞診検査などは大量のスライド標本があります。スライドを保管するケースに入っていますが、移設の際にカチャカチャと動くとスライドが破損しますので慎重に運ぶ必要があります。以前、長年保管していたスライドグラスを運搬しましたが、部屋いっぱいのスライドグラスを運ぶのに半日要したこともありました。

さらに検査が終了した検体も保管しています。多くの検体は冷蔵か冷凍保管ですので、温度管理が可能な手段で運ぶ必要があります。特に冷凍庫の場合、事前に数時間から半日前くらいから電源を入れておく必要がありますから注意してください。

検体検査のなかには、複数の検査機器を検体搬送ラインで連結して運用する場合もあります。その際は移設先で搬送ラインの調整に時間を要することもあります。

検査機器の移設は放射線科と同様に、メーカー指定の業者による移設と、運搬業者による移設可能な機器とに分かれます。機器ごとにその情報を取りまとめておきます。さらに運搬業者が移設可能な機器であっても機器メーカーに移設、運搬に関しての諸注意を聞き取って運搬業者に伝えておくとトラブルも減少します。

移設後は、必ずすぐに現場の人による機器の稼働確認を行います。移設後すぐに稼働確認ができない場合も、なるべく早い時点で稼働確認が必要です。稼働が正常に確認できたら、確認のサインをもらいます。これも後のトラブル防止に役立ちます。

【参考】各部署へ打ち合わせのお願い文書見本

搬送、移設ルートについて

患者様、機器や什器の移送ルートについてですが、移設当日の衝突事故防止の観点から基本的な考え方は「一方通行」です。すなわち、旧病院から新病院へ向かうルートと新病院から旧病院へ戻るルートとは違うルートを使用するということです。

さらに患者様のルートと患者様以外のルートも別ルートあるいは、時間差を設けます。入院患者様の人数にもよりますが、複数の患者様搬送ルートを設けることもあります、さらに雨天時のルートもプランBとしてあらかじめ設定しておきます。

皆さんはどう思いますか?

  • * 移転に関してのご相談は以下にお願いします。
    【株式会社FMCA】fujiimca@gmail.com

次回は6月14日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
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