第136回 病院移転大全~その3~

前回コラムでは、「患者移送」「医療機器移設」「什器移設」の三つの分野に分けた「患者移送」について解説しました。今回は「医療機器移設」「什器移設」計画について、誰が搬送するのか、移設物なのかどうかなど、整理する方法を解説します。

病院移転大全~その3~

医療機器、什器の搬送計画

患者以外の医療機器、什器の搬送計画については、右の図のように整理して考えます。誰が搬送するのか、移設物なのか新規購入の物品かどうかで整理します。

  • * 株式会社FMCA作成

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新規購入物品については、販売業者が搬送、搬入を担当します。従って、いつ、どこから、どのルートで搬入するのかをコントロールする必要があります。搬入は移転先の新病院に直接されることになりますので、建物や廊下などに傷つけないように細心の注意が必要です。特に重量物の搬入には注意してください。

搬入する時期ですが、移設物を搬送するタイミングと同時期だと煩雑になりがちですので、搬入時期、あるいは搬入時間帯をずらしたほうが良いでしょう。搬入先のレイアウトにも注意が必要です。搬入先の部屋の手前に大きな物品を先に搬入してしまうと当然ですが、後から物品を搬入できなくなってしまいます。部屋ごとに新旧搬入物の順番を考える必要があります。

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搬送業者が旧病院にある医療機器、什器を搬送するパターンに属するものは、搬送業者と打ち合わせをしながら、搬送計画を作成します。搬送する順序、順路、時間などを具体的に決めていきます。

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移設物の中には、搬送業者が搬送できない物品があります。代表的なものは放射線関連の機器などです。それ以外にも搬送業者が搬送に困難を示す物品がありますので、事前に搬送業者が搬送するものとそうでないものとを明確にしておく必要があります。搬送業者が搬送できない物品は、誰が搬送するのか。その搬送は有償か無償かをはっきりさせます。以下にそれらの情報全てを取りまとめる一覧表見本を示します。

搬送機器一覧表

画面拡大画像(JPG)[96.7KB]

  • * 株式会社FMCA作成

マスタースケジュールの作成

個別の搬送計画と同時並行で進めなければならないのが、全体のマスタースケジュールの作成です。マスタースケジュールには以下の内容が含まれます。

1. システム関連

電子カルテや各部門システムが含まれます。ソフトの延長契約や新設/更新をスケジュール化します。

2. 設備整備関連

新規購入と移設とに分け、それぞれ搬送計画をスケジュール化します。対象は医療機器、什器だけではなく書籍やその他のものも含まれます。また残地物や廃棄物の対処方法などもスケジュール化しておく必要があります。

3. 移転計画

移転、引っ越し全体の体制、スケジュール、ルート、方法などの計画です。想定されるリスクに対する対処法も考えておきます。内覧会のスケジュール化もお忘れなく。

4. 業務移行計画

業務運用に対する計画です。全体、部門運用などです。これは委託業務も含みます。
部門間の運用、医療機器の運用、システム運用、物流運用、その他として施設管理、リスクマネジメント、感染管理、経営などにも配慮が必要です。特に運用の部分では移転の前後で運用を変更するケースが多いため、移転前、移転中、移転後などに分けて計画を立てます。運用計画が決まりましたら、リハーサルの計画も立案してリハーサルの結果で運用を微調整していきます。

皆さんはどう思いますか?

  • * 移転に関してのご相談は以下にお願いします。
    【株式会社FMCA】fujiimca@gmail.com

次回は5月10日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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