第143回 情報収集力

情報収集をしなければいけない場面は多いと思います。定常業務を行いながら、効率よく情報を収集するにはどのようにすればよいのか頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。そこで今回のコラムでは、情報収集力の向上のポイントを考えます。

情報収集力

「○○について調べておいて」と言われたときなど、○○について情報を集めなければいけない場面は多いと思います。特に人から言われなくても、現在だと医療関係者であれば、来年度の診療報酬改定がどのようになるか情報を集めたいのではないでしょうか。

しかし、そもそも情報をどのように集めたらよいのか。偏った情報にならないようにするにはどのようにすればよいのか。また、多くの皆さんは日常定常業務を行いながら情報収集を行いますので、効率よく情報を収集するにはどのようにすればよいのか頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回のコラムでは、情報収集力の向上のポイントを考えます。

情報収集に取り掛かる前の確認事項

いつまでに完成させるのか

完成させなければいけない日から逆算して段取りすることができます。期限が短い場合は、いったん期日に報告を行い、その後、必要に応じて情報収集を続け、追加で報告するなどします。逆に期日が非常に先の場合は、途中報告するなどします。その途中報告の内容によって、追加の情報収集指示がある可能性もあります。また期日前であっても即報告しなければならないような情報の場合は適時報告するのは当然です。

どの程度の精度が求められるのか(現在分かっている範囲など)

情報収集に割ける時間と求められる精度によって、収集する情報の量と質が違ってきます。また収集する情報の鮮度にも注意しましょう(古い情報にあまり価値はありません)。

情報収集の目的を明確にする(情報収集指示者の意図など)

指示者に忖度(そんたく)する情報を収集するのではなく、「何について知りたいのか」という目的を明確にすることにより、指示者も想定していなかった情報を収集することが可能です。さらに情報収集を単なる作業ではなく、頭を使って考えて情報収集する(場合によっては指示された内容以外の情報収集にもつながります)ために、事前に目的を明確にしておくことが重要です。
「情報収集は作業ではなく、考えることです」

情報収集した内容の報告形式(プレゼンテーション、報告書、口頭など)

報告形式によって作成のための時間が異なるため、事前に報告形式を確認しておきます。また、報告書は凝りすぎるのではなく、シンプルにかつ報告する相手に理解しやすいようグラフを活用するなど工夫することが重要です。

さらに報告時に予想される質問に対する回答も用意しておきます。必ずしも明確な回答がないケースもあると思いますが、そのよう場合は、自分の臆測で発言しないように気を付けましょう。報告する相手に間違った印象を与えかねません。場合によっては、この報告内容で経営的な(誤った)意思決定に影響を与えることも想定されます。自分の考えであるなら、はっきり「自分の考えである」ことを相手に伝えます。

情報収集の注意点

インターネットからだけの情報になってはいけない

主たる情報源はインターネットからになるのは、いまやしかたないことですが、だからといってインターネット以外の情報ツールに全くあたらないのは危険です。例えば、診療報酬改定についての情報収集であれば、厚生労働省のホームページからの情報収集が主となりますが、中医協(中央社会保険医療協議会)などは直接傍聴も可能です。筆者も長年、中医協や社保審(社会保障審議会)などを傍聴してきましたが、ホームページには表れない情報をたくさん見聞きしてきました。

情報収集の独自ネットワークを日ごろから意識して構築しておくことを強くお勧めします。このようなネットワークを持っていれば、短時間に質の高い情報を収集することが可能です。

信頼できない情報元の情報には頼ってはいけない

インターネットからの情報収集でもっとも気を付けなければいけない点です。情報の出典先を必ず明らかにします。また、たとえ信頼できる出典先の情報であっても最初から信用してはいけません(必要であれば内容をチェックしましょう)。さらに情報の見方も一方向からにならないように注意します。

前述した診療報酬改定を例に挙げれば、主となる情報は厚生労働省からとなりますが、さまざまな医療系メディアのコメントも同時に確認すると、多方向からの考え方があることに気付くことがあります。そのような場合、メディアの背景などを考慮するとより理解が深まります。

原則論や基本的な内容(既に誰でも知っているような情報)だけになってはいけない

情報収集の結果、新しい知見が得られなければなりません。そのために報告する相手がどこまで知っているのを確認しておきましょう。報告する相手が複数の場合、事前の周知内容レベルに差がある場合があります。そのような場合は、基本的な内容を事前に別途ブリーフィングしておき、レベルの差を低くします。

また、単純に収集した情報をまとめただけは、情報収集の最低限の能力と考えます。「収集した情報から、新しい発見が導くこと」が情報収集の大事な意義だと考えます。

皆さんはどう思いますか?

次回は12月13日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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