第59回 医療機関の経営管理手法 その3

「経営計画」、「環境分析」、「財務管理」と続き、今回は「安全管理」についてお話します。「安全」といっても、医療機関の経営という観点からは経営のリスクも考えられますが、最も重要なことは「患者の安全」ということです。
また、政治や経済に関する外部環境の変化のリスク(医療法等、医療制度、診療報酬制度変更など)も考えられますし、医療機関の職員、人材に関するリスクも考えなければいけません。

医療安全について

医療安全については、医療安全管理体制の整備が重要です。具体的には、医療安全対策検討会議の開催/運営、医療法施行規則改正対応、診療報酬改定内容の対応が考えられます。患者の安全対応には、医療法などの法律で規制されることもありますし、診療報酬改定で安全について対応を求められる場合もあります。最近のニュースであった神奈川県の病院の点滴事故(事件)のようなことがあると、その後そういったケースの対応策が出てくることが非常に多いです。

医療事故の防止~リスクマネジメント~

リスクマネジメントは、「把握」「分析」「対応」「評価」というプロセスで行われます

さらにリスクマネジメントについては、院内にその考え方などを定着させることがポイントです。そのためには、管理者が事故防止に関する強い意志を全職員に向けて示すことやリスクマネジメントの目的、対象範囲、活動内容を職員に理解しやすい形で明文化すること、事故(アクシデント)およびインシデントについて、オープンに議論できる風土を形成すること、リスクマネジメントに関する組織(専門部署や委員会)を設け、その組織責任者の権限を明確にすること、事故防止に有用な情報は職員全員で共有すること、医療の質を向上させるための院内の他の活動と連携することが重要です。

リスクの分析について

図1:リスクの分析方法

リスクの分析方法には、定量分析と定性分析があります。定量分析は、収集した事例の要素(診療科、診療行為、深刻度、発生時間等)を数値化して集計・分析する方法です。定量分析は、一定期間におけるインシデントの傾向等を把握するために役立ちます。
一方、収集したインシデント事例について、さらに詳細な要因を探るためには、定量分析のみでは足りず、定性分析を行う必要があります。
インシデントの定性分析の手法には、RCA(根本原因分析)、SHELモデル、4M-4E方式、FMEA(失敗モード影響分析)等があります。
各医療機関で分析を行う際は、投入できるコスト(人材、労力、資金、時間)を考慮して、取り組みやすい、負担が少ない手法を選択すれば良いでしょう。

皆さんは、どう思いますか?

次回は11月16日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
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