第58回 医療機関の経営管理手法 その2

前回は、「経営計画」や「環境分析」についてお話ししました。今回は「財務管理」についてお話しします。財務諸表などの数値は、経理課や経営者だけが知っていれば良いという時代は終わりました。職員であれば、どのような部署に所属されていようと財務の基本的な数値くらいは理解できていなければいけません。
最初に財務データの役割です。財務諸表等の財務データは、「事業活動の結果」を示すもののひとつです。事業活動の結果を示すものは財務データに限定されたものではないことに留意が必要ですが、財務状況が良くなければ事業活動そのものに制約がかかり、経営は持続できません。

  • 利害関係者に事業活動の結果を伝達する
  • 経営上の意思決定の基礎資料である

図1:財務データは事業活動のひとつ

会計の種類

会計はその目的や報告相手等によりさまざまな分類ができますが、「財務会計」と「管理会計」の分類が一般的な分類です。
財務会計とは、事業活動に必要な資金の調達活動と事業活動の成果である資金を分配する活動のために、主に外部の利害関係者に向けて、事業の内容を報告するための会計です。
一方、管理会計とは、経営者が経営資源を有効かつ効率的に配分し、その成果を測定・評価するなどの経営上の意思決定に用いられる会計です。財務会計は、外部の利害関係者が利用するための共通言語であることから、遵守すべきルールがあります。
一方、管理会計は、内部の経営管理に用いるための会計であることから、財務会計のようなルールはありません。

図2:経営分析に用いられる代表的な指標とは

管理会計の目的は、経営者が経営上のさまざまな意思決定を行い、実行計画を作成し、その計画の実現に向けてコントロールを行うことです。

経営計画の立案

戦略の実行管理編

PDCAサークル(デミングサークル)を用いて、戦略の実行管理を行うことができます。また、その戦略を実行に結びつけるマネジメントツールとしては「バランスド・スコア・カード(BSC)」があります。

事業展開のバランス

各部門のミッションを明確にし、計画を策定することが必要です。今後、成長が望まれる部門については、長期的な視点で投資をすることになります。ツールとしてはプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)が一般的に用いられます。

図3:PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

利益計画

売上目標、利益目標、コスト管理の指標には、「損益分岐点BEP:ブレーク・イーブン・ポイント」を活用
DPC/PDPS:(ダイアグノーシス・プロシージャー・コンビネーション/パー・ディーム・ペイメント・システム)などの包括支払い方式に対応するにも重要な考え方です。

原価の種類

  • 原価の形態別分類:材料費、労務費、経費
  • 製品との関連による分類:直接費、間接費
  • 経営活動の職能による分類:製造原価、販売費、一般管理費
  • 原価態様による分類:変動費、固定費、準変動費、準固定費
  • 収益との対応関係による分類:製品原価、期間原価
  • 原価の算定時点による分類:実際原価、予定原価(標準原価と見積原価)

皆さんは、どう思いますか?

次回は10月12日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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