第31回 「品質を管理する」ということ

日本の多くの製造業において企業の方針や管理目標として採用されているキーワードに「Q・C・D」があります。
そこで今回は、鋼材加工を行うコイルセンターにおける品質(Q)管理の取り組み方のポイントについて説明させていただきます。

この品質(Q)、コスト(C)、納期(D)の3要素は、今では製造業だけにとどまらず、様々な業界で企業運営の指標などとして社内のポスターなどに掲示されるケースが増えています。
特に最近ではこの「Q・C・D」が単なるスローガン的な意味合いから具体的な製品やサービスの評価基準ひいては企業価値の評価基準へと変化しています。
すなわち企業の優劣をわかりやすく評価できる指標となりつつあります。

それでは、この3要素の中でも最初に挙げられる「品質」を管理する上でのコイルセンターにおける客先に保証しなければならない一般的な鋼材の品質保証条件はどのようなものか。
要約すると下記のようになります。

[コイルセンターでの一般的な品質保証内容]
a.受注鋼材に関し取り決められた規格の鋼材
b.受注鋼材に関し取り決めされた製品寸法
c.受注鋼材に関し取り決めされた外観(許容範囲外の形状・キズ等がないこと)
(今回は鋼材自体の品質に限定するため、梱包仕様・荷姿等のその他仕様要件は除きます。)

もちろん、大前提となるのは客先の要求品質を充分把握して取り決めた仕様以外のものを混入させないことです。
その上で仕様以外の不良品があった場合、速やかに不良品として別管理を行い、早急に発生原因を特定することが重要となります。
これはコイルセンターで発見される不良品の発生原因が、自社で対応できるものか(社内起因)製鉄メーカーや運送中でのものか(社外起因)で、対策が大きく変わってくるからです。

また不良品に対する早期原因特定と対応によっては、今後の不良品の発生率を大きく低減できる可能性があります。
そのためにも自社内で対応できる社内起因の不良品の発生は極力抑える必要があります。
そしてその方法としては今まで以上に一生懸命検査をするといっただけではなく、実際の切断実績から不良品の発生の芽を事前に摘み取るということです。

具体的な例としては、自社切断加工にて日々の切断実績を記録している場合、この実績をもとに自社切断設備の公称の切断可能精度と実際の切断精度との比較を行うことで自社の切断精度の能力はある程度把握できていると思います。
例えば切断加工で公称切断可能精度プラスマイナス0.5mmに対し、実際の加工実績が切断精度プラスマイナス0.2mmの範囲内である場合、客先要求の切断精度に対して常に安定した品質管理内での切断精度を提供できていることになります。
そしてその日々の切断実績を観察することで、実際の切断精度がいつものプラスマイナス0.2mmから変動した場合、公称切断精度の範囲内であっても切断設備のどこかに変化がないか点検を行いメンテナンスすることで、不良発生の予防につながる場合もあります。

このように品質を管理するということは、取り決められた要求品質が正しく守られ、客先に常に満足に提供されるかというだけではなく、どのような状況でも要求品質を守るために一歩先を考え、不安要素を先取りして取り除くことが品質を管理することになると思います。
品質に限らず、コスト・納期などの重要課題はその時その時の一時的な結果にとらわれず、永続して成果を出し続けるといった長期的な思考回路を持って取り組むことが最終的にはより大きな効果につながるのではないでしょうか。

次回は7月11日(金)更新の予定です。

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