第32回 自社分析のすゝめ(1)---「己を知る」ということ

グローバル化を含め日々大きく変動している製造業においては「差別化」が大きなテーマとなっています。そこで、今回から複数回に渡り、コイルセンターを例に自社分析と今後の自社の進むべき道の選択という点について説明していきます。

前回の「『品質を管理する』ということ」でも説明しましたが、現在のコイルセンターを取り巻く製造業では品質(Q)、コスト(C)、納期(D)の3要素をいかにサービスとして提供できるかが、客先からの取引先としての優劣を評価される指標となりつつあります。
このような状況下でコイルセンター各社は、客先からの高い評価を受けるために全社一丸となって客先要望をくみ取り、自社分析により自社の現状とのギャップを明確にしながらどうすれば客先から評価される存在になるのか、他社との差別化が可能になるのかの舵(かじ)取りを行っています。

そこで、コイルセンターの自社分析とそれに伴う舵取りの中での注意が必要であろうと思われる点について説明させていただきます。

下記の表は「Q・C・D」に関する客先要望とコイルセンターの認識とのギャップの事例を簡単に書き出したものです。

【Q・C・Dに関する客先要望とコイルセンターの認識】

このように客先・コイルセンターでの「Q・C・D」への認識は同じ評価の要素でありながら、立ち位置の違いによって大きなギャップがあります。この客先と自社とのギャップを知ることが自社分析の重要な一歩となります。
重要なのは客先が何をどのように望んでいるかを的確に把握して、自社がコイルセンターとしてどのような点で優位にありどのような点が劣っているのか客観的な目で自社分析を行うことです。そして、その分析をもとに的確な対応ができるかどうかが競合他社との差別化の大きなポイントになります。

前述の「Q・C・D」への認識事例を基に、客先要望とのギャップを埋めるためのコイルセンター側の対応事例をいくつか説明します。

【品 質(Q)】
*狙い:コイルセンター品質情報の客先との共有化における有効活用
【1】顧客サービスの一環として、詳細な検査実績情報の提供を提案
(要求品質を満たしているだけではなく、保障品質内での細かな管理内容についても情報を提供する)
【2】客先からのその他品質情報の提供要望の有無をヒアリング
【3】自社品質管理項目内容の分析と検査能力のスキルアップ

【コスト(C)】
*狙い:仕入方法および生産・販売コストの改善による価格競争力の強化
【1】客先仕入コストヒアリング(競合先仕入コストの調査)
【2】コイルセンター製造原価分析と生産性向上検討
【3】コイルセンター運賃等販売コストの分析

【納 期(D)】
*狙い:短納期・小ロット受注体制の強化と各種データの共有による全体効率の向上
【1】コイルセンター加工リードタイムの見直し(生産性向上検討含む)
【2】コイルセンター生産管理ルールの見直し
【3】コイルセンター加工負荷調整ルールの見直し
【4】客先発注情報・発注変更情報の電子データ化依頼(コイルセンターInput時間の削減)
【5】コイルセンター客先向け納品売上情報の電子データ化(客先Input時間の削減)

以上のような客先要望を的確に意識した視線での自社分析を行い、そこから得られる有効な自社の強み・弱みといった情報を基にした改善内容を、営業や生産といった役割や部署にとらわれず全社一丸となり実施していくことが、他社とは一味違った会社としての存在となるのではないでしょうか。

次回は自社分析への具体的な取り組み方についての説明を予定しています。

※次回未定
8月22日(金)更新予定でしたが、諸般の事情により休載させていただきます。
楽しみにお待ちいただいている読者の皆様には大変申し訳ございませんが
再開の折には本ページにてご案内いたします。

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