第11回 もうひとつの統合効果

最近の鉄鋼業界では、新日鉄住金株式会社の誕生を筆頭に企業同士の統合・業務提携の動きが相次いでいます。
事業のグローバル化と両社の融合による更なる技術力向上、コスト競争力の強化を目指した統合により、以前とはまったく違ったスピードで業界の地図が塗り替えられています。

大手メーカーに限らず、中小企業の多い鋼材加工・流通業においても企業統合による再編成は最近増加の一途をたどっています。
国内の限られたマーケットの中で物流ネットワークの効率化、新規取引先からの受注の取り込み、設備の有効活用などを行い自社の競争力をより強化する、まさに生存をかけた再編成が多く見られます。

このような状況のもと、鋼材加工・流通業の企業統合に関わる場面で仕事をしていると、当初の想定を超えた思わぬ成果が得られているケースに出会います。それは、統合する企業同士の文化の混じり合いから生み出される相乗効果です。

例えば仕入→加工→売上までの物理的な流れは同じでも、具体的な仕事の進め方にはそれぞれに違いがあり、統合後にどのようなやり方をするか検討が必要となります。
各社ともそれなりの理由があり育まれたものなので、すぐに調整・統一することはなかなか困難です。
しかし、このような場合、衝突を避けて安易にそれぞれのやり方を続ける選択すると、せっかくの統合効果を放棄することになりかねません。

実際には仕事の目的や前後の仕事のフローを見直すことで、それほど大きく衝突することなく仕事の標準化が可能となるケースは数多くあります。
さらに、各社がお互いに標準化は難しいと認識しているものを深く掘り下げることで、意外な結果がわかることがあります。
なぜ異なるやり方を行っているのかを議論することで、自社の持つ他社とは異なる特別な強みに気づくことがあるからです。

統合した企業同士が共通の認識を持ち、標準化された形で仕事を行うことで、各社の持つ特別な強みを会社全体で共有しさらに伸ばすことが、統合効果を実現する一つの方法だと思います。

もちろん、仕事の見直しのチャンスは統合するときだけとは限りません。
しかし経験的に、劇的な環境の変化に合わせて、全員が一体となって課題に向き合うことでより大きな結果を生み出すことが多くあります。

次回は11月16日(金)更新の予定です。

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