第10回 「予防保全」のすすめ

最近の鋼材加工業では、多くの会社で機械保全に対するさまざまな取り組みが積極的に行われています。
東日本大震災で被災した工場の復旧にあたり、自社の生産ラインの保全がほとんど機械業者任せになっているという現実がはっきりと認識されたためです。

この認識がきっかけとなり、社内でできることはないか検討した結果、機械保全への新たな取り組みが行われるようになったと聞いています。
なかでも、この機械保全への取り組みの多くは自社内での機械点検による予防保全強化とメンテナンス・スキルの強化に焦点が当てられているそうです。
そこで、今回は機械保全の中でも機械が故障してから修理する事後保全ではなく、機械が故障を事前に防止する予防保全について説明します。

具体的には、まず日ごろ生産活動を行っている自分たちの生産ラインの各部品の役割・機能と保全ポイントを担当者全員で理解します。

実際の理解には指導者が大きなポイントになります。この指導者は特に鋼板加工業の生産ラインの専門家である必要はありません。
社内で適任者に依頼できない場合は、公共の能力開発センター等へ相談されている例もあります。
その上で、チェックリスト・保全手順書を作成し、チェック内容・保全結果の確認や対策の実施実績の記録を行います。
以上の手順を実施することで、生産ラインの不具合箇所の早期発見・メンテナンスが可能となります。最終的には、故障発生時のライン停止による取引先への信用低下・機会損失の回避に加えて、早期メンテナンスによる修繕費の低減という効果も期待されます。

以前、自動車の免許取得には基礎的な自動車整備の知識が必要だったと記憶していますが、現在はあまり聞くことがありません。
自動車の故障が激減したのか、機能が高度化して素人の手に負えなくなったこともあるのかもしれませんが、個人で自動車の整備をしている人を見かけるとなぜかほほ笑ましく思えます。

同じように自分たちの生産ラインを職場のみんなでより一層理解し、みんなで大事にするという気持ちは大切だと思います。
この気持ちを大事にすることで、これからさらに進化が予想される機械保全のシステム化(点検履歴と保全実績の蓄積・保全計画策定)への無理のない取り組みも可能となると思います。

次回は10月19日更新の予定です。

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この記事の著者

三由 浩司

株式会社CANVASは 2018年12月、株式会社日本金城印へ事業を移管いたしました。
鉄鋼流通・コイルセンターにおける業務全般(営業・生産・IT)のコンサルタントを中心に製造業全般の提案活動を実施。国内外における複数コイルセンターの標準化システム構築実績有。
株式会社日本金城印

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