第9回 在庫評価からの「商売の見極め」

鉄鋼流通加工業には、自動車や家電製品の主な材料となる鋼材の流通・加工機能とは別に、もう一つ大きな機能として在庫機能があります。
特定のお客様の材料になる原コイルやコイル・製品の在庫を持つことで、鉄鋼メーカーとお客様の間での需要と供給のギャップの調整を行います。
製造業のモデルケースとして頻繁に紹介される自動車メーカーの、必要なときに必要なだけ材料を調達する「かんばん方式」は、この在庫機能無しに成立しないとまでいわれています。
 
しかし、すべてのお客様が自動車メーカーのような生産計画に沿ったリピート発注をしているのではありません。
業種・業態により発注方法には特性があり、例えば上述のリピート発注を行うお客様と都度発注(発注ごとに種類・数量が異なる)のお客様とでは在庫状況の評価方法も分ける必要があります。

一律での在庫量による在庫管理の良しあしという評価はないのです。
在庫の特性に応じた在庫状況を総合的に評価することが更なる企業力のアップを目指す上で重要となります。

例えば、リピート発注のお客様の場合は、生産計画の増加に伴い在庫が増加するケースが一般的です。
同様に生産計画が減少すれば在庫も減少します。

しかし、都度発注のお客様の場合、発注が一時的に増加したため在庫が多く払い出されたのか、今後もスポット発注の継続の可能性があり在庫の減少傾向が続くのかを見極め、仕入・販売へ反映させることが重要となります。

システム化以前、在庫内容の分析は多くが数少ないベテランの経験値にゆだねられており、販売量に対し大体だいたい約2ヶ月分の在庫などという表現を用いて自社在庫量を評価、その上でいろいろな理由付けが行われていました。

しかし、各種システムが発達した今日では、細かい集計等はシステムに任せ、ベテランは集計結果の分析結果から即座に現状を把握し「商売の見極め」に専念することが可能になっています。

昔聞いた、「在庫の多い少ないは何をもって判断するのか。いくら在庫があっても全部販売しきり、販売する在庫がないくらいであれば在庫は少ない」という在庫を多く抱えた「豪傑」の言葉を思い出します。

今のこの恵まれたシステム環境が有効に活用できるのであれば、当時より少しはまともに在庫管理の評価に対するアドバイスが豪傑にできたのではと思います。

次回は9月21日(金)更新の予定です。

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この記事の著者

三由 浩司

株式会社CANVASは 2018年12月、株式会社日本金城印へ事業を移管いたしました。
鉄鋼流通・コイルセンターにおける業務全般(営業・生産・IT)のコンサルタントを中心に製造業全般の提案活動を実施。国内外における複数コイルセンターの標準化システム構築実績有。
株式会社日本金城印

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