育児・介護休業法対応

2025年から育児・介護休業法が改正されます。本ページでは、改正内容や対象となる従業員、対応すべき内容などについて解説します。

(2025年2月5日更新)

法改正対応についてのセミナー動画や、対応チェックリストをご用意しました。お気軽にご活用ください。

育児・介護休業法が改正されます

政府は、働く人々が育児や介護と仕事を両立しやすい社会の実現を目指し、より柔軟な働き方を可能にする環境整備を進めています。その一つとして、「育児・介護休業法」が、2022年の改正に続き、さらに進んだ内容で段階的に改正される予定です(2025年4月1日施行、2025年10月1日施行<予定>)。
育児・介護休業に関連する新たな義務が発生するため、全ての企業に何らかの対応が必要です。

  • * 本記事では2024年改正の「育児・介護休業法」「雇用保険法」「次世代育成支援法」の内容を中心に紹介します。

2025年から改正法が施行されると、どう変わる?

全企業に、以下に取り組む義務が発生します。

  1. 柔軟な働き方を実現するための措置等の義務付け
  2. 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
  3. 育児のためのテレワーク等の導入の努力義務化
  4. 子の看護休暇の取得事由及び対象となる子の範囲の拡大等
  5. 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務付け
  6. 育児休業取得状況の公表義務を300人超の企業に拡大
  7. 介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置の義務付け
  8. 次世代育成支援対策推進法の有効期限の延長
  9. 育児休業取得等に関する状況把握・数値目標設定の義務付け
  • * 参考

全ての企業が準備「義務化」のために対応すべきことは?

対象者の洗い出し

社内の「育児・介護休業法」の対象者を洗い出します。

  • 妊娠・出産を申し出た従業員
  • 1歳11カ月~2歳11カ月の子を育てる従業員
  • 3歳未満の子を育てる従業員
  • 小学校就学前の子を育てる従業員
  • 小学校3年生終了までの子を育てる従業員
  • 介護に直面した従業員
  • 要介護状態の対象家族を介護する労働者
  • その年度に40歳に到達する従業員       など

人事台帳のシステム化

社内の人事データベースのシステム化を行い、色々な条件ですぐに対象者が抽出できる体制を整えておくと便利

制度の個別周知や意向確認の準備

  • 「妊娠・出産等の申出時や子が3歳になる前」に、個別の意向聴取や配慮に対する準備
  • 「3歳以上就学前の子を育てる従業員」に柔軟な働き方を実現するための措置に関する周知や意向確認を個別に行う準備
  • 「介護」を申し出た従業員に対し、個別周知(制度の内容・申出先・給付金)や意向確認を行う準備
  • 「介護に直面する前の早い段階(40歳等)」での情報提供のための準備

ポイント

個別周知・意向確認(注1)
(1)面談
(2)書面交付
(3)FAX
(4)電子メール 等
のいずれかで行う
  • 定期的に行っている人事面談等とあわせて実施することも可能
  • 人事部からではなく、所属長や直属の上司からでも可能(事業主の委託を受けた者)
情報提供(注2)
(1)面談
(2)書面交付
(3)FAX
(4)電子メール 等
のいずれかで行う
  • (注1)(1)はオンライン面談も可能。(3)(4)は労働者が希望した場合のみ可能。
  • (注2)(1)はオンライン面談も可能。

オンライン面談をするには?

オンライン面談をうまく活用すれば、従業員の負担(時間や労力)を減らすことができる

就業規則や育児・介護休業法規程の文言修正

子の看護休暇、所定外労働の制限(残業免除)対象拡大、柔軟な働き方を実現するための措置といった就業規則等の文言修正が必要になります。テレワーク導入は努力義務ですが、導入する場合は同様に就業規則などの文言修正が必要です。

規程類の電子管理

規程類を電子化して管理することにより、改訂や版管理など文書の管理や、従業員への通知が便利に

従業員からの意見収集

柔軟な働き方を実現するための措置等が事業主の義務となりますが(2025年10月1日施行)、事業主が措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。

ポイント

意見の集約
労働組合がない場合は、労働者の中から過半数を代表する者を選出し、その従業員が労働者の意見を集約、事業主に伝える
意見聴取の方法
定めはありませんが、面談、書面、メールなどの手段にて実施
アンケート調査
自社の実態に合った制度とするために育児当事者等からの意見聴取や労働者へのアンケート調査の活用も並行して行うことが望ましい
意見聴取の時期
施行日より前に意見聴取を行うことが必要

エンゲージメントサーベイ

従業員の意見を労力をかけずに集める方法

従業員の会社に対する愛着や一体感、仕事に対する活力の高さを調査する(サーベイ)ことです。組織を改善するためには、定期的なエンゲージメントサーベイ実施による現状把握と、改善施策の実行、その効果測定が求められます。
ITツールを導入することで、質問の作成、従業員への配信、回答結果の分析までをひと通り時間をかけずに行えるので、定期的に従業員に調査を実施する際に手間をかけずに行うことができます。

育児・介護のためのテレワーク等導入の努力義務化

3歳に達するまでの子を養育する労働者、および要介護状態の対象家族を介護する労働者に関して、事業主がテレワーク等の措置を講ずることが努力義務化されます。 また、3歳になるまでの「時短勤務制度」が困難と認められる業務の代替措置としてテレワークが追加されました。

ポイント

基準
法令上、内容・頻度等の基準は設けられていない
対象者
事業所内でテレワーク等を講ずることのできない業種・職種がある場合、対象者を限定することが可能

テレワーク環境の整備

就業規則等の改訂、テレワーク環境の整備の必要性

企業が新たにテレワークを導入するにあたって、以下の三つのポイントを押さえると良いといわれています。

  • 労務管理・勤怠管理:労務管理ルールの見直し、自宅からでも打刻ができる仕組みなどシステムの見直し
  • コミュニケーションツール導入:ビジネスチャット、Web会議、グループウェアによる質の高いコミュニケーション維持
  • セキュリティ対策:セキュリティソフトの設定や運用ルールの見直しを行い、情報漏えいリスクを軽減

法改正対応、どうしたらよい?

全社に理解と協力を求めるには、どうしたらよい?

「育児・介護休業法」による支援は、妊娠・出産・育児や介護に関係する一部の従業員が対象です。大多数の従業員は、直接それらの恩恵を受けるわけではないため、対象外の従業員にも法制度の内容や背景、社会的意義を十分に説明し、理解と協力を得ることが重要です。
社内での対話を促進する場を設け、従業員からのフィードバックを積極的に取り入れましょう。懸念点やアイデアを共有することで、従業員の協力を得やすくなります。

「義務化部分への上乗せ」や「誰でも使える独自制度」の創設で、魅力的な企業へ

義務化以上の制度を企業独自で設計し、育児・介護休業法が対象外の従業員にも「何かしらの支援」や「柔軟な働き方」を提供するなど、全従業員が恩恵を受けられる形にすることで、全ての従業員が「育児・介護休業法改正」を受け入れ、協力してもらう環境を整えている事例もあります。また、「柔軟な働き方」が享受できる環境を整備することは、全社の経営方針や経営層からのメッセージとなり、採用競争力や定着率の向上に寄与するでしょう。全従業員が対象という観点から考えると、「福利厚生の活用」も一つの解決策です。
従業員一人一人のニーズにあわせて働きやすさをサポートするサービスや、管理者の負担軽減も考えられたサービスもありますので、自社のニーズにあわせて活用を検討してみてはいかがでしょうか。

管理部門担当者の業務負荷が増える一方だが、どうしたら?

従来の業務に加え、法改正対応や新しい制度の検討など、管理部門の業務は増える一方です。ただ、「柔軟な働き方」や「従業員を支援する環境」を整え、人財を大切にすることは、経費ではなく、「自社への投資」となります。人財の採用や定着の場面でも、高く評価されるポイントとなるでしょう。
このような重要な業務を担う実務担当者の負担を少しでも減らし、かつ効率的に業務を行うためには、業務フローの改善やシステムの入れ替えなどが有効な策となるかもしれません。大切な人財を守る、人件費の増加を軽減するという観点も含め、これを機にぜひ一度自社の業務体制を見直してみるのはいかがでしょうか。

大塚商会では、IT関連商材はもちろん、それ以外のサービスを含め、企業のDX支援に役立つソリューションを数多くご用意しています。ぜひ、ご相談ください。

法改正対応だけではもったいない! 人事労務の切り口から考える、これからの会社のミライ

社会保険労務士として企業の業務改善サポートや組織づくりに取り組む北條氏と株式会社SmartHR若手社員の当事者である碓井氏が、「会社のミライ」に必要なことを「人事労務」の切り口から考えます。

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関連ソリューション

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育児・介護休業法への対応してくためのチェックリストをご用意しました。実施すべき対応義務の項目から、配慮義務、努力義務の項目を施行日と併せてまとめています。対応スケジュールを計画する際にぜひご活用ください。

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