従業員の家族の氏名や生年月日を人事管理システムに登録しておくことで、「令和7年4月1日時点で3歳未満の子を養育している従業員」などの一覧を簡単に作成することが可能です。
- * 右の画面例は、「SMILE 人事給与」にて対策を行った場合の対応例
2025年から育児・介護休業法が改正されます。本ページでは、改正内容や対象となる従業員、対応すべき内容などについて解説します。
(2025年2月5日更新)

目次
政府は、働く人々が育児や介護と仕事を両立しやすい社会の実現を目指し、より柔軟な働き方を可能にする環境整備を進めています。その一つとして、「育児・介護休業法」が、2022年の改正に続き、さらに進んだ内容で段階的に改正される予定です(2025年4月1日施行、2025年10月1日施行<予定>)。
育児・介護休業に関連する新たな義務が発生するため、全ての企業に何らかの対応が必要です。
全企業に、以下に取り組む義務が発生します。
社内の「育児・介護休業法」の対象者を洗い出します。
例
人事台帳のシステム化
社内の人事データベースのシステム化を行い、色々な条件ですぐに対象者が抽出できる体制を整えておくと便利
従業員の家族の氏名や生年月日を人事管理システムに登録しておくことで、「令和7年4月1日時点で3歳未満の子を養育している従業員」などの一覧を簡単に作成することが可能です。
ポイント
オンライン面談をするには?
オンライン面談をうまく活用すれば、従業員の負担(時間や労力)を減らすことができる
Web会議システムを利用することで、音声・ビデオ・画面共有などを活用した面談を開催することができます。パソコンさえあれば、自宅から面談に参加することも可能。会議室の空き状況を気にする必要はなく、交通費や移動時間も大幅に削減できます。利用するWeb会議システムやライセンスによっては、自動で議事録を作成したり、録画を行うこともできるため、業務効率も大幅にあがります。

子の看護休暇、所定外労働の制限(残業免除)対象拡大、柔軟な働き方を実現するための措置といった就業規則等の文言修正が必要になります。テレワーク導入は努力義務ですが、導入する場合は同様に就業規則などの文言修正が必要です。
規程類の電子管理
規程類を電子化して管理することにより、改訂や版管理など文書の管理や、従業員への通知が便利に
新規程の追加以外にも、法改正による名称変更、適用対象者の拡大などが実施されるため、就業規則などの改訂を行う必要があります。新旧の内容がすぐに分かるように電子化して管理しておくと業務効率があがります。機密文書は持ち出しや閲覧制限を設けることでセキュリティを高めることが可能です。
柔軟な働き方を実現するための措置等が事業主の義務となりますが(2025年10月1日施行)、事業主が措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
ポイント
エンゲージメントサーベイ
従業員の意見を労力をかけずに集める方法
従業員の会社に対する愛着や一体感、仕事に対する活力の高さを調査する(サーベイ)ことです。組織を改善するためには、定期的なエンゲージメントサーベイ実施による現状把握と、改善施策の実行、その効果測定が求められます。
ITツールを導入することで、質問の作成、従業員への配信、回答結果の分析までをひと通り時間をかけずに行えるので、定期的に従業員に調査を実施する際に手間をかけずに行うことができます。
3歳に達するまでの子を養育する労働者、および要介護状態の対象家族を介護する労働者に関して、事業主がテレワーク等の措置を講ずることが努力義務化されます。 また、3歳になるまでの「時短勤務制度」が困難と認められる業務の代替措置としてテレワークが追加されました。
ポイント
テレワーク環境の整備
就業規則等の改訂、テレワーク環境の整備の必要性
企業が新たにテレワークを導入するにあたって、以下の三つのポイントを押さえると良いといわれています。
「育児・介護休業法」による支援は、妊娠・出産・育児や介護に関係する一部の従業員が対象です。大多数の従業員は、直接それらの恩恵を受けるわけではないため、対象外の従業員にも法制度の内容や背景、社会的意義を十分に説明し、理解と協力を得ることが重要です。
社内での対話を促進する場を設け、従業員からのフィードバックを積極的に取り入れましょう。懸念点やアイデアを共有することで、従業員の協力を得やすくなります。
義務化以上の制度を企業独自で設計し、育児・介護休業法が対象外の従業員にも「何かしらの支援」や「柔軟な働き方」を提供するなど、全従業員が恩恵を受けられる形にすることで、全ての従業員が「育児・介護休業法改正」を受け入れ、協力してもらう環境を整えている事例もあります。また、「柔軟な働き方」が享受できる環境を整備することは、全社の経営方針や経営層からのメッセージとなり、採用競争力や定着率の向上に寄与するでしょう。全従業員が対象という観点から考えると、「福利厚生の活用」も一つの解決策です。
従業員一人一人のニーズにあわせて働きやすさをサポートするサービスや、管理者の負担軽減も考えられたサービスもありますので、自社のニーズにあわせて活用を検討してみてはいかがでしょうか。
従来の業務に加え、法改正対応や新しい制度の検討など、管理部門の業務は増える一方です。ただ、「柔軟な働き方」や「従業員を支援する環境」を整え、人財を大切にすることは、経費ではなく、「自社への投資」となります。人財の採用や定着の場面でも、高く評価されるポイントとなるでしょう。
このような重要な業務を担う実務担当者の負担を少しでも減らし、かつ効率的に業務を行うためには、業務フローの改善やシステムの入れ替えなどが有効な策となるかもしれません。大切な人財を守る、人件費の増加を軽減するという観点も含め、これを機にぜひ一度自社の業務体制を見直してみるのはいかがでしょうか。
大塚商会では、IT関連商材はもちろん、それ以外のサービスを含め、企業のDX支援に役立つソリューションを数多くご用意しています。ぜひ、ご相談ください。
法改正対応だけではもったいない! 人事労務の切り口から考える、これからの会社のミライ
社会保険労務士として企業の業務改善サポートや組織づくりに取り組む北條氏と株式会社SmartHR若手社員の当事者である碓井氏が、「会社のミライ」に必要なことを「人事労務」の切り口から考えます。
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