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過重労働の是正が急務の建設業界。報告書業務の課題を解決する方法とは
人手不足が深刻な建設業界では、過重労働がたびたび問題視されています。働き方改革関連法による時間外労働の上限規制にも対応しなければならず、さまざまな面から業務効率化に取り組む必要があります。
事務作業である報告書業務もその一つです。報告書を紙やExcelで管理している場合、デジタルツールを導入することで業務の大幅な効率化が期待できます。そこで本記事では、過重労働を是正する一つの方法として、報告書業務に焦点を当て、業務効率化を実現するための方法をご紹介します。
目次
建設業界が抱える過重労働。報告書業務が負担増に
建設業界においても2024年4月から働き方改革関連法に定められた時間外労働の上限などが適用されており、長時間労働の是正など、労働環境の改善に取り組んでいる企業も多いことでしょう。
国土交通省が公表する「建設業をめぐる現状と課題」によると、建設業の年間総実労働時間は全産業と比較して90時間長く、年間出勤日数は12日多いことが分かっています。法令遵守に加え、人手不足対策として働きやすい環境を構築し人材の定着を図るためにも、労働時間削減への取り組みは重要です。
しかし、建設業ではいまだアナログ業務が根強く残っているケースが多々あります。従業員の負担を増やす一因となっている業務をデジタル化し、労働時間の削減を図ることは急務といえるでしょう。
このような中で、特に注目したい業務に報告書業務があります。報告書業務をアナログで行っている企業も多く、報告書業務のために現場での業務が終了した後に事務所に戻り、紙に記しておいて報告書をExcelに転記するという作業を行っているケースも少なくありません。現場での業務の後にこのような業務をすることによって、時間外労働が発生することも多くあります。
報告書業務にある七つの非効率
法令遵守や従業員の負担軽減などを目的として長時間労働を是正するためには、報告書業務にあるムダを削減していくことが大切です。ここからは報告書業務でどのようなムダが発生しているのかを詳しく見ていきましょう。
書類の持ち運び
紙で報告書業務を行っている場合、帳票をプリントアウトして現場で手書きをし、それを持ってまた事務所に立ち寄るという手間が発生しています。また、書類の持ち運びは紛失や汚損、情報漏えいなどのリスクがあるため、持ち運びの際は慎重になる必要もあることから、業務にかかる時間だけでなく、身体的・精神的にも負担がかかっていると考えられます。
報告書の転記やチェック
手書きの帳票を事務所に戻りExcelに転記する、紙とExcelの帳票に違いがないかを確認するなど、紙の報告書には多くの手間が発生しています。さらには、転記ミスやチェック漏れなどのヒューマンエラーが発生する可能性も高まります。
報告書の保存・管理
紙の報告書の場合、保存や管理の面でも多くのムダが発生しています。紙で作成した報告書と転記したExcelの報告書のどちらも保存と管理が必要であることをはじめ、Excelデータは定期的なバックアップでファイル破損にも対応しておかなければなりません。
紙の報告書や付随する資料の保存・管理では、増えていく紙の書類の保管場所に関する問題もあります。
過去の報告書や関連資料の検索
過去に作成した報告書や関連資料の中から情報を取り出したいとき、紙やExcelの報告書・関連資料から必要な情報を探すことに多くの時間を取られてしまうケースもあります。
どこに必要な報告書や関連資料が保管されているのかを探し、さらにそこから必要な情報を取り出すことには大きな手間がかかってしまうでしょう。
写真台帳の作成・送付
写真台帳を紙で作成する場合、必要な写真を用意するだけでなく、表紙の作成や編集、補足情報の追記など、さまざまな業務が発生します。そもそも必要な写真の枚数が多いことから、写真台帳の作成自体が大きな負担となっているケースもあるでしょう。
Excelを使った作成方法もあるものの、写真をPCに取り込んで編集し、必要な情報を記入するなどの作業が発生するため、やはり負担は大きなものとなっています。
撮影忘れや記録漏れ
写真台帳を作成する際に、撮影忘れや記録漏れが発生していることに気が付くこともあります。この場合、現場での再撮影が必要になるケースもあります。現場での再撮影には大きな労力がかかるため、写真を撮影してから事務所で写真台帳を作成するという作業方法を見直す必要があるでしょう。
事務所に立ち寄っての報告業務
工事の進捗(しんちょく)状況の共有など、情報共有のために現場から事務所に立ち寄り、ホワイトボードなどに記入して、再び現場に戻るという作業が発生している企業も少なからずあります。
現場から事務所、事務所から現場への移動時間を削減することで、業務効率化を図れます。
報告書業務を効率化する二つの方法
前述した非効率な業務を改善する方法には、どのようなものがあるのでしょうか。ここからは、報告書業務を効率化する二つの方法をご紹介します。
情報共有のオンライン化
情報共有のオンライン化によって、業務時間中の現場と事務所との往復や書類の持ち運びの必要がなくなり、業務時間の削減、生産性の向上を実現できます。
具体的には、写真やファイルの送受信が可能なコミュニケーションツールの導入が考えられます。
このようなデジタルツールでは、現場と事務所や本社だけでなく、メーカーなど複数の関係者間での情報共有も可能になることが利点です。特に建設業向けのツールの場合、チャットなどによるコミュニケーションや写真・ファイルの送受信によるリアルタイムな情報共有に加え、ツール上で報告書の作成や管理なども可能です。
グループチャットで簡単に情報共有を行える施工管理アプリ「Kizuku」は、メッセージだけでなく、写真や図面、報告書などもチャット上にアップできるツールです。リアルタイムな情報共有で、施工現場を「見える化」します。
報告書の電子化
報告書の作成・保管・管理までを一貫して行えるツールを導入することで、アナログで行う報告書業務にあったムダを解消し、業務時間の削減や生産性向上に加え、データ管理やデータ活用も促進できます。
例えば、タブレットやスマートフォンで入力した帳票がクラウド環境に保存されるツールの場合、紙からExcelやシステムへの転記、報告書および関連資料の保管場所が不要です。
時間がかかっていた過去データの検索も容易になるほか、社内システムとデータ連携をすることで、過去データの活用も進みます。
また、現場で報告書を作成するようになることで、写真の撮影忘れや記録漏れを防止できる利点もあります。報告書の電子化によって、前述した報告書業務にある多くのムダを削減できるのです。
とはいえ、慣れている紙の帳票から異なる形式の電子報告書を浸透させるのには時間がかかってしまうこともあります。
「i-Reporter」なら、使い慣れた現場の紙帳票をそのまま電子化できます。「i-Reporter」の活用で、紙ならではのミスや転記の手間を解消できることも利点です。
Excelで報告書を作成している場合、「快作レポート+」の活用で既存のExcel報告書をタブレットやスマートフォンで作成・編集できるようになります。入力端末はマルチOSに対応しており、作成した報告書はiOS、Android、WindowsいずれのOSでも編集可能です。
報告書にかかるアナログ業務のデジタル化で業務効率化・生産性向上を実現
深刻な人手不足にある建設業界では、従業員一人一人にかかる負担を軽減するためにも、業務の見直しによる効率化や生産性の向上は喫緊の課題です。
紙の報告書をデジタル化できるITツールの導入で、業務時間や負担を削減できるだけでなく、ヒューマンエラーの防止やデータ活用の促進など、さまざまなメリットを享受できます。
大塚商会では、建設業向けのコミュニケーションツールや報告書業務をデジタル化するツールなど、各種ソリューションで業務のデジタル化やDX推進をサポートしております。ぜひお気軽にご相談ください。
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チャットをベースとした簡単操作で現場担当者から選ばれる現場管理アプリ「Kizuku」は、現場ごとのチャット画面から現場情報・図書・報告書・受発注業務まで一元管理できるため、浸透しやすく効率化が図れます。
紙やExcel管理だった報告書をタブレット・スマートフォンで手軽に作成できるシステム「快作レポート+」。報告作成の専用アプリで「ミスが少ない高品質の報告書」を作成でき、さらに「電子化による報告データの一元化」によって情報の共有化、管理負荷の軽減が図れます。
使い慣れた現場の紙帳票をそのままデジタル化し、紙ならではのミス・漏れ、集計・転記の煩わしさを解決します。ノーコードで簡単に作成・修正できるので、プログラミング知識がない方でも安心してご利用いただけます。
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