第4回 Webとリアルの融合~O2Oが流通を変える!~

現在進行形で進んでいる「IT」によるマーケティングの大改革。
今回は「“大革命”とは一体何なのか」について詳しく紹介したいと思います。

● 「クリック&モルタル」から「オンライン to オフライン」へ

「O2Oという言葉をご存知の方は挙手をお願いします。」
先日開催された大塚商会様のセミナー会場でこんな質問をしてみました。
約160名の方がいらっしゃった会場で、挙手された方=O2Oを知っているという方はたったの1名でした。

一般的な認知度はそれほど高くないにも関わらず、今、Web業界では、この「O2O」が大きな注目を集めています。
Web業界だけではありません。

いまや「O2O」は、消費やマーケティングの姿を変える…ひいては「流通構造」さえも大きく変えてしまう可能性のある大きな流れになると言われているのです。

「O2O」=「オンライン to オフライン」という言葉自体の意味は非常に単純明快です。
オンライン(Web)で情報を収集し、オフライン、つまりリアル店舗に足を運ぶ…オンラインとオフラインの購買活動が連携し合う、または、オンラインでの活動が実店舗などでの購買に影響を及ぼす、ということを示した言葉です。

例えば、デジタルカメラが欲しいと思えば、メーカーサイトで商品を見たり、比較サイトを見たりして、いろいろな検証をした上で、リアル店舗に足を運んで購買する…皆さんも似たような経験をしたことはあるのではないでしょうか?
ただ、これだけであれば、かつて「クリック&モルタル」と言われていた「ネットで調べて店舗で買う」という行動パターンにすぎません。

「O2O」ではそこから一歩進んだサービスが提供されます。
一部の大手ECサイトでは、検索時点における商品の在庫情報をリアルタイムで知ることができる(どの店舗に、どの商品が何個あるのか等)サービスの提供が始まっています。
我々消費者は提供される在庫情報を元に、確実にその商品に辿りつくことができるようになってきているのです。

ファッションブランドのサイトでも「O2O」のサービスが提供され始めています。
ECサイト内の「カートに入れる」ボタンの横に、「取扱店舗リスト」というボタンが新たに設置され、このボタンを押すと、自動的にポップアップのページが飛び出し、その商品を取り扱っている店舗の情報や在庫状況を知ることができるという仕組みになっています。

こうしたサービスが提供されることにより、これまでは「Webサイトを見る→店舗に足を運ぶ」だけだった購買行動が、「Webサイトを見る→自分の最寄りの店舗を知る+その店舗に欲しい商品があるのかないのかを確認する→購買に必要な情報を得た状況で店舗に足を運ぶ」というレベルにまで“進化”することを可能にするのです。

こうした購買の流れをシステムで考えると、ポイントとなるのは「商品在庫がリアルタイムで管理されていること」と「在庫管理のシステムからWebサイト(ECサイト)へリアルタイムで商品在庫情報を連動させること」二つです。
一見単純な仕組みではありますが、ファッションアパレル業界においては、このリアルタイム在庫管理すらいまだにできていない企業も多く、実稼働させるまでのハードルは他業種よりも高いと言えるでしょう。

● O2Oを加速させる「スマートフォン」

アメリカでは既に当たり前のように使われ始めている「O2O」。
「O2O」が加速度的に広まった背景には、「スマートフォン」利用者の急激な増加(スマートフォン市場の拡大)があります。

スマートフォンでインターネットをされたことがあればわかると思いますが、スマホを利用すると、端末のGPS機能により、自分の行きたい店舗がどこにあるのか、そして、自分が今いる位置からどれくらいの位置にその店舗があるのかをすぐに知ることが可能です。

いわば持ち運べるPCともいうべきスマホ経由でインターネットを利用する人々が増加すればするほど、「O2O」は“やりやすく”なるのです。

例えば、NYで「New Balance」と検索すると、自分の位置から何メートル離れたノードストロームには在庫が3点ある…などの情報をスマホ上で確認することができるようになっています。

国内のO2Oビジネスの現状について、IT分野のアナリストは「第3ステージの始まり」だという分析をしているそうです。

 ・ 第1ステージ:商品・サービスの価格比較や旅行予約などのサービス
 ・ 第2ステージ:クーポン等の共同購入サービス
 ・ 第3ステージ:ネット利用者を実店舗の集客につなげる取り組み、サービス

第1ステージ/第2ステージにあたる各サービスについて、今さらここで説明するまでもありません。例に挙げた、ユナイテッドアローズやNew Balanceのような第3ステージに該当するサービス…これらが“当たり前”の時代になったとしたら、消費やマーケティングの姿が大きく変わるであろうことはもはや誰の目にも明らかです。

● 「AIDMAの法則」から「AISASの法則」へ

「オンライン」の情報が「オフライン」の消費活動に大きな影響を与えることが明確になってきた今、ネット時代の消費行動モデルを表す新たな法則も生まれてきています。それは、電通が提唱しているネット時代の消費者の購買プロセス「AISASの法則」です。

消費者の行動モデルを表す法則として有名なのは「AIDMAの法則」です。そこでは

 A:Attention(注意)
  I:Interest(興味)
 D:Desire(欲望)
 M:Memory(記憶)
 A:Action(行動)

の5ステップの行動を経て、消費者が商品購入に至ることと解釈されています。

もちろん、今でもこの法則は十分に通用するものです。
それに対し「AISASの法則」では

 A:Attention(注意)
  I:Interest(興味)
 S:Search(検索)
 A:Action(行動)
 S:Share(共有)

インターネットの広がりにより「Search(検索)」という行動、そして昨今のSNSの広がりにより「Share(共有)」という行動が重視されています。

「AIDMAの法則」と「AISASの法則」の大きな違いは、最後の「Share(共有)」という行動にあると思います。今の消費者は商品を購入して自己完結するのではなく、購入した商品の感想をSNS等で共有して初めて、完結するようになってきているのです。

「オンライン」と「オフライン」の融合が進む中、ますます強い影響を持つようになってきたのは各種のSNSです。
次回は、SNSにおけるコミュニケーション…特に「口コミの威力」について詳しく紹介したいと思います。(4月上旬に更新予定)

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この記事の著者

株式会社アパレルウェブ 執行役員 事業本部 本部長

杉本 慎太郎

2004年にアパレルウェブ入社。西日本エリアのソリューション営業を担当し、2011年から現職。
株式会社アパレルウェブ

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