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第4回 Point1 目標が明確-査定権を持つ人が承認-
目標の承認は、2次評価者(承認者)が行います。2次評価者とは、部下から見れば上司の上司です。2階層上の人が最終承認者になっているのが、一般的な評価の仕組みです。2次評価者が承認をすることにより、その目標が確定します。
2次評価者の承認がなぜ必要かというと、その人が給与の査定権を持っているからです。査定権を持っている人が、目標の内容をよく見て承認し、確定させなければ、あとで評価し査定をすることができません。
ところが、目標の内容について、査定権を持っている人との合意形成がないままに走り出してしまうことが結構あります。中小企業でよくあるケースです。
中小企業の場合、給与の査定権を持っているのは、だいたい社長です。ところが、忙しさにかまけて、目標の承認を部長やマネージャーに任せてしまうことがあります。すると、どんなことが起こるでしょうか。社長へ評価が上がってきたときに問題が発生します。特に、目標の達成状況が高い評価で、給与が上がるようになっている時など、トラブルになります。評価を見た社長が、「え? 俺は、こんな目標は納得しないぞ。こんな目標が高い評価だという理由で給与が上がるなんていうのは許せない。もういい。俺が全部給与を決める!」
ということになってしまうのです。野球漫画「巨人の星」には、主人公である星飛雄馬の父・星一徹が怒って、ちゃぶ台をひっくり返す有名なシーンがありました。そのシーンと同じように、評価制度のちゃぶ台が、パーンと一瞬にしてひっくり返ってしまうわけです。
ですから、査定権を持っている人が、目標の内容をよく見て承認をし、確定することが大前提なのです。
2次評価者による目標の承認が重要だという理由は、もう一つあります。それは「甘辛の調整」です。目標のレベルは高すぎてもだめ、低すぎてもだめです。適切なレベルで設定しなければいけません。
目標を設定するとき、あとで目標を100%達成したことをアピールしたいために、低い目標を設定する社員がいます。そして、それでよしとしてしまう、部下に甘い上司もいます。その逆もしかりです。中には非常にストイックな人がいて、高すぎる目標設定をしてしまうこともあります。
そこで、2階層上の人に、部全体を俯瞰した公正な立場で甘辛の調整をしてもらうということです。2次評価者の目を介在させて、平等な目標、正当な目標設定に調整するわけです。
次回は1月16日(月)更新予定です。
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