第8回 銀行との付き合いが下手な会社

先日、私の会社に相談に来た中で、こんな会社を見ました。
 
年商 :1億8,000万円
借入金:500万円

これを見ると、一見、借入金は少ない、と見えます。しかし、実はこの会社、税金を1,500万円、社会保険料を2,000万円、滞納していたのです。

普通は、運転資金を銀行で調達し、税金や社会保険料の滞納は発生させていないはずです。
この会社の社長に話を聞くと、

「親の代から、銀行からの借入は極力するな、と言われており、それを守っている。」

と言います。しかしそれで税金や社会保険を滞納させてしまえば、本末転倒です。

次回は5月20日(火)更新予定です。

また税金の支払いは国民の義務であり、それを滞納させている会社は、国民の義務を果たしていないという事で、銀行から融資を受ける事は困難です。
この状態から税金・社会保険料の滞納を解消しようと銀行に融資を申し込んでも審査が通りません。

延滞には延滞税、延滞金がかかります(国税の場合、平成26年4月現在、納付期限後2ヶ月まで2.9%、2ヶ月を超えたら9.2%)。これを見ると、銀行から1~3%の低い金利で融資を受けている方がよほど良い事が分かります。

こういう事例を見ると、企業を経営するにおいて、資金繰りの知識を持つ、その中で銀行との付き合い方の知識を持つという事はとても重要である事が分かります。

日本人は、借入=悪い事、という価値観がありますが、企業経営においては銀行から融資を受ける事は大変重要であり、学び続ける必要があります。

また、銀行との付き合い方を学ぶのであっても、断片的な知識ばかりを求める経営者がいます。次のような会社を私は見ました。

グループ会社10社
グループ会社合計で年商2億円
 
年商2億円規模のグループで、10社あるのはあまりにも多すぎます。
そのグループの統括である経営者に事情を聴いてみたら、次の答えが返ってきました。

「知り合いの経営者から言われて、会社をたくさん作ると、その会社の数の分、多くの融資を受けられる事を教えてもらった。」

しかし、銀行はこれらグループ会社10社は、実質同一体として一つの会社と見ます。
会社の数をいくら増やそうと、融資は1社に対して行うのと同じです。
それに加え、このように関係会社の数が多い場合、銀行は、そのグループの実態はどうなのか分からなくなってしまいます。そうすると、融資に及び腰になってしまいます。実態がどうなのか、分かりにくい場合は融資を行わない事が一番ですから。

この例を見ると、資金繰りをうまく回していき会社を発展させていくための、全体から見た財務の戦略がなく、「関係会社をたくさん作るとそれだけ融資は多く受けられる」という戦術、しかも間違った戦術に走り、かえって融資が受けにくくなり資金繰りが厳しくなっている事が分かります。
 
資金調達というと「何かウルトラCの資金調達方法はないか。」と探し求める人がいますが、これこそ、戦術ばかり、しかもとっておきの戦術があるのではないかと探し求めている例です。

そういう戦術ばかり探す一方で、資金繰り表を作成する事による資金繰りの現状把握、そして資金繰り計画を立てるという事をやっていないから、将来は結局、資金繰りが厳しい状態に陥る事になります。
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