第5回 手形割引での融資スタンスの変化

手形割引は、4種類の融資(証書貸付・手形貸付・当座貸越・手形割引)の中でも、最も銀行がやりやすい融資です。

なぜなら、返済は、手形の決済で行われるため、その手形が不渡りにならないかぎり、返済の可能性が高いからです。

ただし、もしその手形が不渡りとなった場合、割引を行った企業は手形を銀行から、買い戻さなければなりません。

そのため、手形割引の審査は、割引を行った企業に、手形が不渡りとなった場合に買戻しを行う能力があるかを第一に見られます。

そして第二に、そもそも割引を行う手形が、不渡りとならないか、手形の支払企業の信用が審査されます。

また手形割引を銀行から申し込んだ時、そのたびごとに審査がありますが、割引依頼企業に信用がついてこれば、銀行は極度を設定してくれます。

例えば、手形割引の極度額が3,000万円となれば、手形割引の残高がその金額に達するまでは、割引する手形の支払企業の簡単な審査のみで、手形割引ができるようになります。

なお、手形割引の対象となる手形の支払企業を、あらかじめ銀行から指定されるやり方もあります。

■銀行が融資スタンスを消極的にした場合の影響

銀行が、あなたの会社への融資スタンスを消極的にした時、手形割引においても、影響が出てきます。

その影響には、次のような例があります。

 ・手形割引の極度取引であったものが、極度をなくされ、都度審査(手形割引申込みの都度、審査される)となった。

 ・手形割引の極度額が減らされた(ただし、年商の低下や、手形取引の減少を理由とした受取手形の減少による極度額の減額もあり、その場合は融資スタンスが消極的になった影響とは言えない)。

 ・割引対象の手形の支払企業が、上場企業や優良企業に限定されるようになった。

手形割引において、このようになってきた場合、銀行はあなたの会社への融資スタンスを消極的にした、と考えてよいでしょう。

もし、手形割引を行っている既存の銀行がこのような融資スタンスをとってきた場合、企業が考えておかなければならないことは、手形割引を行う銀行の拡張です。

できれば、手形割引専用銀行、つまり今まで融資取引もなかった銀行を開拓し、手形割引を行うのみの銀行を確保しておきたいものです。

手形割引は、4種類の融資の中で、銀行は最も行いやすい融資方法であり、新規銀行との取引を開始しやすいです。

手形割引専用銀行を作っておけば、次のようなメリットがあります。

将来、既存の融資のリスケジュール、つまり融資返済の減額・猶予を行うこととなった場合、リスケジュールを行った銀行においては、その銀行にて行っている手形割引にも影響(手形割引を行ってくれなくなるなど)がありえますが、手形割引専用銀行があれば、他の銀行でリスケジュールを行う影響は手形割引専用銀行において少なくなります。

なお、どこの銀行も手形割引を行ってくれなくなった、その場合にとる方法は次のとおりです。

 ・裏書手形として、支払いにあてる。

 ・手形割引専門のノンバンクで割引を行う。

手形割引専門のノンバンクは、金利は銀行に比べて高いですが、資金繰りをまわしていかねばならない以上、やむをえないでしょう。

銀行は、手形割引は行いやすい融資方法である、といえども、銀行の融資スタンス次第で一気に割引できなくなることもあり、十分、注意しておいてください。

次回は年2月月18日(火)更新予定です。

★更新情報は「ERPナビ(大塚商会)Facebookページ」にて!

このコラム読者におすすめの製品