第1回 「コンサルタント不信」という先入観の社長のお話

はじめまして。ユニティサポートの小笠原隆夫と申します。
人事コンサルタントとして、様々な企業の人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングに携わっています。
このコラムでは、そんな人事コンサルティングの現場で見かけた会社や経営者、そこで働く社員の方々に関するエピソードを紹介させていただき、その中で何らかの気づきがあれば、皆様の会社の人事施策に役立てて頂ければと思っています。

第一回は、ある方からのご紹介でうかがった会社の社長様のお話です。

「どうも社員のやる気が感じられない」「その改善策があるなら話を聞きたい」とのことでおうかがいしましたが、この社長様いわく、基本的に「コンサルタント」と呼ばれる人間は信用していないのだそうです。
過去に何度か期待通りの結果が得られないという経験があったようです。ちなみに私自身も「コンサルタント」という響きにはうさんくささも感じるので、違う肩書きがあればと常々思っていますが、なかなか名案もないので「人事コンサルタント」の肩書きで仕事をしています。

そんな中で、この社長様からはとりあえず社内の現状に関するお話をいろいろうかがい、私なりの課題把握を進めていきましたが、先方のニュアンスとして強く感じたのは「やれるもんならやってみな!」「納得できたら使ってやるよ!」ということでした。
もちろんビジネスの話ですし、こちらは営業している立場なので当然といえば当然なのですが、「人事」という課題に「コンサルタント」として外部から取り組む立場で見ると、お相手がこういう姿勢の場合はまずうまくいくことがありません。

実際に「人事」という課題に取り組む中で、経営者や企業の担当窓口の方とコンサルタントとの関係は、“発注元と納入業者”ではなく、“医者と患者”“選手とコーチ”に近いものになります。
売り手と買い手というような一方通行の関係でなく、パートナーシップの考え方がないと、課題に取り組むこともそれを解決することもできません。
例えば、持病がある患者さんが医者に向かって「俺の病気を治せるものなら直してみろ!」とは言わないでしょうし、患者さん自身が医者の指示通りに薬を飲み、食事に気をつけ、生活改善をするなど、自分から治療に取り組まなければ病気は治りません。
人事コンサルティングの場合も同様で、コンサルタントは社内の方と一緒になって課題の原因を見つけ、改善方法を一緒に考え、様々な仕掛けをして会社での取り組みを促しながら、最終的にはそれを見守ることしかできません。
経営者や社員といった当事者の方々に、「課題を解決しよう」「自分たちが主体的に取り組もう」という意思がなければ、課題解決は絶対にできません。

こちらの会社に対しては、一度ご提案はしたものの「そんなことは自分でもできる」などと納得は得られず、結局そのままこちらから辞退させていただくことにしました。
納得を得られないのはこちらの力不足ですし、先方のコンサルタント不信をさらに増幅させてしまったかと思うと大変心苦しいのですが、「人事コンサルティング」は強引に売り込むたぐいのものではありません。
ご本人に病気である自覚も、直そうという意思もないのであれば、医者がどんなに頑張っても治療することはできません。

コンサルタントはパートナーの立場であるということを理解していただいた上で、企業の課題解決を一緒に取り組むことができれば、これが私たちの一番のやりがいでもあり使命でもあります。
もしも近い将来、先方の社長さんの「コンサルタント不信」が解け、今度はパートナーとしてご相談頂ける機会が得られたとしたら、こんなにうれしいことはありません。

次回は10月29日(火)更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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