第6回 「ムダ」ってどうやって見つけるのですか?(時間研究:タイムスタディ編)

皆様、こんにちは。
前回は、動作をキーにしたムダの見つけ方について書きました。
今回は、もう一つのムダを見つけるアプローチである「タイムスタディ」について書いてみたいと思います。

タイムスタディ(Time and Motion Study)は、時間研究・時間分析とも呼ばれる手法で、フレデリック・ウィンズロー・テーラー(Frederick Winslow Taylor)により開発されました。

その特徴は、計測した時間をキーにしてムダを見つけることにあります。

テーラーは、自分自身の鉄鋼会社での作業経験から「最も効率的な作業方法は、誰が行っても同一になるのではないか?」と仮定し、それを元に複数人の作業を観測しました。

テーラーが行った実験の中で有名なものとして「ショベルすくい量の実験」があります。
この実験は、鉄鋼会社での鉄鉱石、石灰、灰などを運搬する作業で、一回当たりのショベルのすくい量をどのくらいにすれば一日のすくう量(運搬量)が最大になるかを研究したものです。

使用するシャベルは種類が統一されておらず、大きいものから小さなもの、重さもまちまちであり、作業者はおのおの自由にショベルを選び作業を行っており、作業量のばらつきがある状態でした。

テーラーはショベルすくい作業の最適を求めようと観測を行いました。

ショベルの大きさを変えながら、すくう量と作業量の関係を調べる。

まず、一日当たりの作業量が最大化する一回あたりのすくい量を導き出しました。
次に、すくい量を標準重量として、対象物の重さに応じて適したショベルの大きさを調査しました。調査の結果、軽い対象には大きなショベル、重い対象には小さなショベルが適していることが分かり、対象に応じて適したショベルを8種類選定し、標準の道具としました。
そして、標準の道具を使用して、すくう時間(差し込む速さ、投げる時間)の時間計測を行い、最良の作業時間を求めました。

一回のすくう動作が速すぎると、疲れて続かなくなりますし、逆に遅すぎると一日の作業量は最大化できません。
テーラーは、作業者が疲れず、適正な作業速度を求めるために、数多くの時間計測を行い、最良の作業時間を求め、その時間を標準時間として設定しました。
ショベルを8種類にした「作業標準」と、適正な作業時間を示した「標準時間」は現代でも行われている、作業管理の基本の一つです。

このショベル研究では大きな成果を出すことができ、労使ともに満足であったと伝えられています。

この大きな成果は言うまでもなく、標準を定めた効果によるものです。

さらに、標準を定めたことにより効率の向上だけでなく、仕事の問題点が明らかになる効果もあります。

標準より、作業速度が遅い場合「どの部分で」「どれだけ遅いのか」が明確になりますので、包括的な対処ではなく、具体的な対処を支持することができるようになります。

テーラーが研究を行った当時は、ストップウォッチでの計測を行っていました。

現在もストップウォッチ計測は行われていますが、当時とは現場の様子も大きく変わりました。
複雑な製造フロー(機械-人の協調作業)、多品種少量生産など、計測対象とすべきものが増えたとともに、計測の回数も増加しています。

そのような現場環境の変化に対応して作られたIE(Industrial Engineering)に特化したソフトウェア「OTRS」が開発されました。

「OTRS」はビデオデータをもとに時間計測、要素分解ができる、ソフトウェアです。

テーラーが行ったタイムスタディを簡単に行うことができるとともに、撮影動画を使用するので巻き戻しやスロー、早送りを使った時間計測も可能です。

ムダをどのように見つけるか?
その答えの一つは「ムダを見つけることができるよう標準(基準)を作ること」です。

そして、標準は自社、自工場で作成しなければ実用的ではないとの声もよく耳にします。

「現地・現物」という言葉がありますが、標準時間の作成においても重要なことだと思います。実際の作業現場で計測した結果から作成した「標準」は、作業現場のムダを見つけることに大変有効です。

現場観測のサイクルをイメージにしました。

このサイクルを適正に実行することで、効率向上しているクライアント様も数多くいらっしゃいます。

標準が更新されることで、改善が標準になり、特別なことではなく、普通のこととなります。新鮮な標準を維持することで、現場に適合した効率の良い計画の立案や、教育実施にも大きな効果が期待できます。

このことは製造業だけでなく、非常に幅広い分野で活用できます。
今回紹介したケースを参考に、皆様の現場改善が進むことを願っています。

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次回は6月9日(木)更新予定です。

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