第2回 無意識のムダを意識することが改善の一歩

日ごろ、製造業種、非製造業種と色々なクライアントを訪問して、現場で改善活動のご相談を受ける際に、出てくる言葉があります。それは、「(大岡さん)うちの現場に無駄は無いですよ(あるいは、これ以上無駄はないです)」という言葉です。
確かにその通りです。プロの現場にムダはあまり存在しませんし、あったとしても問題のないレベルのものだと思います。
しかし「ムダ」が見つかります。
そもそも、辞書によると無駄は役に立たない、しただけのかいが無いことと記されています。

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むだ【無駄/▽徒】[名・形動]
1 役に立たないこと。それをしただけのかいがないこと。また、そのさま。無益。
「―な金を使う」「時間を―にする」(デジタル大辞泉)
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確かにプロの現場で「役に立たない動作」を率先して行っているとは思えません。

OTRSを使って見つかる無駄のほとんどが、率先して行っていないもので、無意識に発生しているものです。その証拠として、見つかったムダ動作に対して作業者は「確かにそうだ」と話をされます。
そしてその理由として「しかし、その動作になるには○○という理由があるからで、仕方ないです」と表現されることもあります。これを言い訳として捉えるのではなく、改善案の種として取り扱うのがOTRS分析のいいところだと話されるクライアント様も多くいらっしゃいます。

すなわち、無意識だからアプローチできないのであって、意識できればアプローチできるものになります。

ここでOTRS分析でのムダ動作の発見手順をご紹介します。
基本的なムダ動作発見手順
【1】作業現場を撮影
【2】OTRSに動画を取り込み、作業手順に合わせ動画を分割する
【3】分割した動画に作業・非作業のタグ(種別)をつける
【4】作業タグのついている動画の構成比を出し、時間の長いもの20%をピックアップする
【5】ピックアップした動画をスローで再生 →ここでムダを発見します。

ここで「何をもってムダ動作とするのか?」というご質問をいただくことがあります。
ムダ動作の定義は数多くありますが、筆者は以下の2点を定義の一つとしてお伝えしています。
【1】やらなくてもいいもの
【2】必要以上に行っているもの

この2点について判断がつきにくい場合は、動画比較(高技能者との比較や同一作業者の別時間撮影の動画との比較など)を行うことで気づきを得ることができます。


比較再生画面の例

ここで一つ、ムダ動作の発見の事例を紹介します。
ある食品会社の出荷部門でのことです。その現場は作業台と出荷台があり、作業者が作業台の前に立って一人で作業するスタイルです。作業は5要素。
【1】出荷用の箱組み立てを行う
【2】パック済み食品(4パック)と商品紹介チラシ(1枚)を組み立てた箱に入れる
【3】蓋をしてテープで留める
【4】蓋をした箱を出荷台に置く
1作業の時間は約40秒で、勤務シフト時間は4時間です(休憩時間1時間)

(見つかったムダ……4動作)
【1】の作業にて、組み立てる前の段ボールを右手で作業台に置き、そこから組立を始めている
 →作業台に両手で置き、同時に両手で箱を折る 7秒改善

【1】の作業にて、加工済み食品を右手で取り出し、左手で段ボールに入れている。
 →右手と左手で半数ずつ持ち、同時に入れる 4秒改善

【2】シールで留めた箱の向きを変えて、出荷台に置いている。
 →向きを変える必要はない。4秒改善

・出荷台に置いた後、袖から(キャップ式)ボールペンを取り出し出荷チェック表に記入
 →記入表付近にボールペンをつるした。ノック式に変更 5秒改善

個々の改善時間は少なく感じるかもしれませんが、その計は20秒、実に50%の時間短縮です。
4時間勤務でどれだけ生産性が向上したでしょうか?

このようにムダ動作の発見は時間短縮に効果があります。
しかし、筆者は時間短縮より、むしろ「作業の標準化」に有益であり、その結果時間短縮できるものと捉えています。

ムダ動作の発見の位置づけを時間短縮のためではなく、作業者の作業のしやすさ、負荷低減のためのアプローチとすることで、例にあげたような改善案が出てきやすくなり、実効性の高いものになります。

そもそも、ムダの発見だけでは本質的な意味ありません。見つけたムダを減らす、無くすことができて初めて効果が出ます。

また、作業のしやすさがポイントであれば、現場での自主的な改善活動のモチベーション向上にもつながり、継続的な改善につながると考えます。

作業のしやすさを第一に、無意識のムダを意識することが改善の一歩です。

次回は2月18日(木)更新予定です。

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